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湯田中の芸者さん

2016年11月30日

 へこりと at 10:45  | Comments(4)
霜月 7

善光寺から中央通りをまっすぐに下る。
昭和通りとぶつかるおおきな交差点のちょいと手前、
蕎麦屋の丸新さんの角を曲がって、せまい小路を歩いていくと、
料理屋の游月さんが在る。
同業の友だちの、お母さんと弟さんが営んでいるのだった。
先日、久しぶりにおじゃまして、友達と酌み交わした。
北光正宗を酌みながら、
友だちとお母さんとあれこれ話をしていたら、
こんばんわあと、着物姿の、
目の覚めるようなべっぴんさんが入ってきた。
見惚れていたら、湯田中の芸者さんだと紹介をされた。
名を夕霧さんといい、
今夜は、游月の常連さんからお声がかかったという。
ほどなくそのかたもお見えになって、二人で奥の座敷に落ちつく。
きれいな芸者さんと差しつ差されつ。
なんともうらやましいことだった。
湯田中の芸者というと、母方の祖父のことを思い出す。
善光寺門前、西町で大工をしていたのだった。
宮澤源三だから、屋号は宮源。
ずいぶん羽振りがよかったという。
ひと稼ぎしては、湯田中で芸者をあげて遊んでいたといい、
男っぷりが良く、わざわざ芸者さんがたが、
家まで訪ねてきたこともあったという。
若いときから色欲がつよく、祖母と所帯を持つ以前、
兄嫁に手を出して、身籠らせてしまったこともあった。
祖母と一緒になってからも、お妾さんを作っては、
ずいぶん祖母を泣かせていた。
近所でも評判だったから、当時高校生だった母は、
宮源のお嬢さんと声をかけられるたびに、
恥ずかしい思いをしたというのだった。
晩年は、
芸者上がりのお妾さんと善光寺の裏の一軒家に暮らし、
そこで亡くなった。
女にだらしのない血は、ちょっともらった。
男っぷりの良さだけ分けてもらえなかったのは、
孫として残念なことだった。
芸者をあげる甲斐性はないが、飲み仲間には、
芸者なみにきれいな淑女が幾人もいたと思い浮かぶ。
常日頃、ありがたいことと思うのだった。


  


秋の終わりの花火を

2016年11月26日

 へこりと at 08:50  | Comments(0)
霜月 6

11月の19,20日、
岩石町の西ノ宮神社の恵比寿講が開かれた。
境内へ向かう通りに、熊手やだるまの縁起ものの屋台が並び、
参拝客でにぎわう。
昔を知っている近所のかたがたは、もっとにぎやかだったといい、
人の出が、ずいぶん少なくなってしまったという。
それでも、仕事を終えた夕方にお参りに行けば、
すでに長蛇の列ができていた。
翌朝早くに出直して、お参りを済ませたのだった。
日をおいた23日の祝日、恵比寿講の花火大会が行われた。
今年で111回目を数える花火はすっかり有名になって、
県外からもたくさんの観光客が見物に来る。
打ち上げ場所は日赤病院の南側、犀川の河川敷で、
人混みを避けて、長野駅の東口の歩道橋から眺めていれば、
午後6時、澄んだ冷気の中に高々と花火が打ちあがった。
駅を行きかう人たちも足を止めて、
長野の初冬の風物詩に見入っていた。
毎年冷え込むときとはいえ、今年はことさらあたりがきつい。
眺めているうちにどんどん体が冷えてきて、
写真を撮ろうとカメラを構えても、
手が震えて、まともにシャッターも押せないありさまだった。
2時間、寒さこらえて楽しませていただいた。
すぐ近くの、馴染みの飲み屋のいいださんへ飛び込めば、
鼻水たらした青白い顔と、赤紫にかじかんだ両手を見て、
大丈夫ですかあと、すぐさまご主人に大声で心配された。
電話をくれれば熱燗を出前したのにと言われ、
うかつだった。来年はぜひそのように。
鼻をかみながら答えたのだった。




  


築地ワンダーランド

2016年11月17日

 へこりと at 11:44  | Comments(0)
霜月 5

権堂の松竹相生座で「築地ワンダーランド」を観た。
移転問題で揺れている、
築地市場の一年を撮影したドキュメントなのだった。
市場で魚を扱う卸売業や仲卸業の人たちに、
仕入れに来る料理人に魚屋が登場する。
活気のある市場の中で、
四季折々、旬の魚が売り買いされていくのだった。
売り手と買い手が魚を見ながら、言葉を交わして目利きをする。
どの人も、ひと様の口に入るものだから、
良いものしか扱えないという。
お客さんのためにという同じ思いが、お互いの信頼関係を作り、
長い間市場を支えてきたとうかがえる。
町なかから個人の店がつぎつぎと無くなって、
この市場のように、店の人と話をしながら、
食材を選ぶということがすっかりなくなった。
酒の造り手のかたと酌み交わせる機会があれば、
米やブドウの出来具合や、
今期の造りの、気苦労や工夫などを聞きながら杯をかさねたり。
馴染みの店で過ごす折り、酒の味について述べたり、
料理の素材や味付けのことを伺ったり。
そのひとときの余韻が残るのは、
良いものを提供したいという、
向かい合っているかたの良心が見えるからだった。
映画の中で魚屋の旦那が、
元気な人は、ちゃんとしたものを、
毎日ちゃんとした気持ちで食べていると言っていた。
毎日ではないが、ちゃんとしたものを食べさせてくれる、
お馴染みさんがあるのはありがたいことだった。
簡素な日々の晩酌でも、気に留めておきたいことだった。
幾度となく、でかいまぐろを切りさばくところや、
糊のきいた白衣の職人が、
柔らかい手つきで寿司を握る場面が出てきた。
休日の昼どきは、たいてい蕎麦屋の昼酒なのに、
さすがに今日は寿司でしょう。
駅前の寿司屋へ足が急いたのだった。

http://tsukiji-wonderland.jp/


  


秋の終わりに

2016年11月15日

 へこりと at 11:55  | Comments(2)
霜月 4

秋もすっかり深くなった。
今年は天気の塩梅が不安定で、
紅葉の色づきも、どうなることかと思っていたら、
善光寺界隈や周りの里山も、日ごと朱に赤に黄に、
きれいに色づいて目を楽しませてくれた。
先日お会いしたかたが、
上松の昌禅寺の紅葉がきれいですと教えてくれた。
早朝、ぶらりと眺めに行ったのだった。
城山公園の、落ち葉の連なる桜並木の下を抜け、
城山団地の中を抜けていく。
長野高校の五差路を北へ1キロほど上がっていくと、
曹洞宗の古刹に着く。
初めて入った境内は敷地が広く、
あちこちにもみじの朱が映えている。
ひと気のない、しずかな境内に身を置いて眺めていると、
さながら京都の寺にでもいるような、
趣きが感じられるのだった。
すぐ近くに、こんな好いところがあるとは知らなかった。
秋の締めに目にできてよかったと、
飽きることなく眺めていた。
毎年この時期になると、手描きのカレンダーを作っている。
今年撮りためた写真を眺めながら、
楽に描けそうな景色を12枚選んで描いている。
いつもはボールペンで描いていたのに、
今年は勝手が変わった。
春の誕生日に、文具店に勤める友だちから、
三菱鉛筆の、創業130年記念の限定販売の、
ハイユニのセットを頂いたのだった。
10Bから10Hまで、22本のセットに絵心もそそられて、
気遣いに感謝をした。
正月の草津に、春は飯山の菜の花や上田や須坂の桜と、
写真を振り返っていれば、
はるか昔のことのように感じられる。
年をかさねて、ほんとに光陰矢の如しの気分になる。
今週末は、近所の西ノ宮神社の恵比寿講が開かれる。
恵比寿講がすぎると、
長野の町に冬がぐっと近くなるのだった。


  


須坂と小布施で

2016年11月08日

 へこりと at 14:57  | Comments(0)
霜月 3

休日の朝、さっぱりと冷えこんで晴れた。
電車に乗って須坂へ出かけた。
駅を出て、臥竜公園へ上がっていけば、
池のほとりの桜の木は、紅葉の盛りをすぎて葉が散っていた。
園内では菊花展を開いていて、
丹精込めて作られた菊が、ずらりと並んでいる。
見事なものですと、菊を眺めながら進んでいくと、
突き当りの小山は、朱に黄色に、見ごろの色に染まっている。
砂利道を登って望めば、
彼方に、北信五岳の山並みがうすく見えた。
ふたたび下りの電車に乗って、小布施駅で下りた。
この地で銘酒「豊賀」を醸す高沢酒造のご主人と、
昼食の約束をしていたのだった。
午前中は米洗いでいそがしかったといい、
いよいよ今期の造りが始まった。
杜氏を営む奥さんと二人三脚の酒造りは、
今ではすっかり、長野を代表する味わいになっている。
泉石亭で、サントリーモルツととろろ蕎麦でひとときすごし、
中島千波館へ行った。
酒が好きで、ときどき酒器を買っている。
以前、善光寺門前の店で、
新井浩次さんというかたの盃を求めたことがあった。
そのかたの展示会をやっているのだった。
ギャラリーには、折よくご本人が居て、
並べられた器について、丁寧に説明してくれた。
荒井さんの盃は、見た目も持ち触りもやさしい。
初めてお会いして言葉を交わし、
人柄が、そのまま作品に出ていると思えたのだった。
工房は、飯山の菜の花公園の先にあるといい、
春になったら伺いたいものだった。
ギャラリーを出て、褪せたぶどう畑を眺めながら行けば、
雁田山が青空を背景に、爽やかに黄色く色づいていた。
みじかい秋の彩りを、今年もよくよく楽しんでいるのだった。




  


沿線の紅葉を

2016年11月02日

 へこりと at 17:03  | Comments(0)
霜月 2


軽井沢の紅葉を眺めた帰り道、小諸で途中下車をした。
昼どきの商店街に行き交う人の姿がなく、閑散としている。
さびれたスナックや飲み屋の看板を眺めながら上がっていくと、
浅間嶽を醸す大塚酒造さんのお蔵が在る。
近年、この銘柄も美味しくなって、
ほんとに長野に良い味が増えて、酒徒には喜ばしいことだった。
お蔵の前を通り過ぎて、昼のひとときにそば七さんへ伺ってみた。
初めての蕎麦屋でビールを飲みながら品書きを見れば、
酒は地元の浅間嶽、玉子焼きにやっこに鰊に蕎麦味噌と、
つまみの品揃えも好い。
お運びをしているお母さんに尋ねたら、
古くて趣きのある家屋は築200年という。
しずかな店内で、玉子焼きをつまみに燗酒を1合。
こしのある、すこし太めのもりで締めた。
以前来たときは、同行した友だちに、
別の蕎麦屋へ連れて行ってもらい、そこも好い店だった。
ゆっくりと昼酒をたしなめる、あたりの好い蕎麦屋が在るだけで、
気に入りの町になってしまうのだった。
蔵造りの街並みを眺めながら懐古園へ下りていくと、
行楽シーズンの団体客でにぎわっている。
園内の紅葉は来週あたりが見ごろの色づきで、
赤や黄色が城跡の石垣に映えている。
展望台から見下ろせば、ゆうゆうとした千曲川の流れが
すこしかすんで見えたのだった。
駅に戻って電車に乗って、上田で途中下車をした。
城跡公園にけやきの様子を見に行けば、
こちらも見ごろにはあとすこしの色具合だった。
相変わらず、真田丸効果の観光客があふれていて、
城門前の真田茶屋も繁盛している。
美味誰焼き鳥とビールでひと休みをして、
お堀のまわりを歩いてみると、
すっかり色ののったもみじもあって、
色づきはじめた朱に黄が爽やかに冴えている。
天気に恵まれた休日、
一日、しなの鉄道沿線の秋を楽しんだのだった。




  


雲場池の紅葉を

2016年11月01日

 へこりと at 15:10  | Comments(0)
霜月 1

日ごと秋がすすんでいる。
善光寺界隈も紅葉が見ごろになってきて、
ひとまわり、朝の散歩が楽しいのだった。
休日の朝、軽井沢へ出かけた。
長野ー軽井沢間のお得なフリー切符を買って、
しなの鉄道に揺られていく。
小諸を過ぎて、人のまばらな車内から眺めていれば、
御代田に信濃追分あたりの林も、
見ごろの秋の色づきになっていた。
軽井沢駅を出て歩いていくと、さすがに空気が冷たい。
目的地の雲場池に着いたときには、
手がかじかんでいるほどだった。
この夏に、汗をかきかき初めて来た。
カメラを抱えたおじさんたちが写真を撮りながら、
ここは紅葉も見事だからねえと、
話していたのを覚えていたのだった。
すでにたくさんの人が池のまわりにあふれていて、
人気の場所と合点がいく。
目にした風景はたしかに。
思わずすごいなあと独り言が出るほどの、
深く鮮やかな赤色が、池のまわりに連なっていた。
カメラを覗くおじさんたちに、賑やかな関西弁のおばちゃんたちに、
紅葉をバックに自画撮りをしているカップルに、
あちこちから感嘆の声が上がっている。
赤く揺れる水面に鴨がのんびりと浮いている。
池のまわりを行き来して眺めていけば、
そのつどちがう景色が現れて、飽きることがない。
春の桜と秋の紅葉は、見ごろどきをつかまえるのがむずかしい。
休日と、ため息が出るほどの盛りのときがかさなって、
まことにありがたいことなのだった。
名残惜しく池をあとにしていけば、
ひと気の絶えた別荘地にも、そこかしこに紅葉が見受けられた。
高い木々は葉も落ちて、
避暑地の秋はもう終わりの気配がある。
大賀通りの街路樹も朱に黄に染まり、眺めながら駅へと戻る。
矢ケ崎公園から見上げれば、いよいよ空は高くしずかに。
浅間山が清々と見えた。
二時間余り、秋の景色を楽しんだのだった。