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美術館へ

2011年02月24日

 へこりと at 13:21  | Comments(2)
如月 十二

休みの日、いつもより一時間おそく布団からぬけだして
障子を開けたら、はればれと青い空があり気持ちがいい。
向かいのお宅に軽トラックが停まった。
あたまにタオルをまいた小太りのおじさんが降りてきて
荷台の脚立を松の木に立て掛ける。
高々上まで登って剪定を始め、
小気味のいいはさみの音がひびきだす。
洗濯機のスイッチを押してから
ひと走り、町をランニングする。
日課にしているランニングも、寒い日がつづき
すっかりさぼり気味になっている。
一週間ぶりにいつものコースを走り、汗をかけば
なまった体も軽くなり気持ちがいい。
家に着いたら洗濯物を干してひと風呂浴びる。
さっぱりとした気分ではさみの音のひびく
松の木の下通り抜け、信濃美術館へと
荻原碌山の展覧会を観に出かけた。
穂高にある碌山美術館は、ずいぶん以前に
なんどか足を運んだことがある。
信濃美術館での展覧会には
碌山と、碌山と親交のあった彫刻家の方々の
作品が並べられていた。
平日の美術館はひとかげもまばらで、
静かな館内をゆっくりとまわった。
見覚えのある彫刻のほかにこのたびは、
はじめて目にする、風景や人物のスケッチに油絵も
見ることが出来たのだった。
館内のカフェでひと休み、
大きな窓際の席に腰を下ろし珈琲をいただく。
窓の向こうの中庭には、まだ雪がのこっている。
中庭の上の歩道を、犬を連れたおじさんや
年輩のご夫婦が歩いてゆき、
むかしのNHKの鉄塔が青い空に映えている。
今日のようにあたたかい日がつづけば、
歩道沿いの梅の木も開くのがはやい。
春の訪れがまちどおしい。
美術館を出てからひとつ用事を済ませば
ちょうどお昼どきとなり都合が好い。
馴染みの蕎麦屋さんでお銚子二本に
更科とせいろの相盛り食し家に帰ってくれば
すっきりさっぱり、松の木も風通しのいい成りになっている。





  


迷惑かけぬよう

2011年02月19日

 へこりと at 13:06  | Comments(0)
如月 十一

携帯電話は便利で良いが、
ひとつ困ることがある。
ひとりでお酒を酌んでいて、
ほろほろ良い感じに酔ってくると
ときどき親しい人に電話やメールをしてしまう。
遠くに住んでいる友だちだったり、
昨日会ったばかりの友だちだったり
しがらみあって音信不通になっている人にも
酔ったいきおいでしてしまうから
そのたび次の日に、
行儀のいいヨッパにならなきゃと反省をしている。
自分だけではなく、
飲み仲間のヨッパにも同じことをする輩がいて、
電話やメールをもらうこともある。
おそい時間、すでに沈没寸前の声で
どこにいるんですかあ。飲みに行きましょう~。
と電話がかかってきたり、
おれはほんとにダメな男です。と
なにやらせつないメールがきたり、
菅野美穂、じつにいい!と
まったくとうなずけるメールがきたこともある。
大雪の降る土曜日、
舘ひろしの時代劇を見ながら晩酌をしていたら
電話がなった。
年輩の飲み仲間の人がいる。
遠くの町に住んでいて、月に一度、
長野に戻ってきたときに一緒に一献酌み交わす。
ひとまわり年下の彼女がいて一緒に暮らしている。
その彼女からの電話なのだった。
むこうから電話がかかってくるのは初めてのこと、
めずらしいと思いながら話をすれば、
最近どうも相方の態度がつめたくて変だという。
もしかしたら他に新しく彼女が出来たんじゃないか、
知っているなら教えてほしいと問いただされた。
もとよりうかがい知らぬこと、
なにかの勘違いではと言っても、
隠さないで教えてほしいとくりかえし聞かれ困った。
電話の向こうでからんころん、氷の音がして
とくとくとく、お酒を注ぐ音がする。
おっ、やってますねえ。焼酎ですか、ウイスキーですかあ?
常日頃のやり場のないわだかまりを吐き出したくて
電話をしてきたとわかる。
話に熱がこもり、拍車がかかり、
携帯電話の電池が切れるまで延々と
話を聞いて答えていたら、すっかり酔いもさめたので
また飲みなおした。
長い間一緒に暮らしていても、
すんなりすっきりと毎日を送るのがなかなかむずかしい。
気持ちのやり場探したときに、
電話が出来る相手がいることが、つくづくありがたい。
迷惑かけぬよう、よくよくこころがけたい。


  


大きなものを抱えていても

2011年02月18日

 へこりと at 13:19  | Comments(0)
如月 十

美容師になったとき、駅前の大きな美容室に勤めていた。
あきらかに自分のキャラクターとそぐわない
ずいぶんあか抜けた店で、今から思うと
よくもまあ勤めさせてもらったとふりかえる。
昨年の秋に、世話になった先輩や同僚の方々と
OB会で久しぶりの再会をした。
今も店に残っている人に、独立して店を立ち上げた人、
主婦となり、家庭を守る人に、全然畑違いの仕事に就いて
がんばっている人もいた。
昔を思い出しながら、良い時間を過ごさせていただいた。
駅前をぶらぶら散歩していたら名前を呼ばれた。
振り返ったら、世話になった先輩がいた。
今、駅前で店を構えて仕事をしているという。
また遊びに来てくださいと声をかけてくれたのだった。
しばらくしてから、髪を切ってもらおうかと思い立ち、
どら焼きを手土産に、レコード屋のビルの二階にある
店まで足を運んだ。
白い扉を開けて、挨拶をして、鏡の前に座って
髪を切ってもらう。
以前大きな病気をされた方だった。
余命いくばくもなく、そんな状況にまでなったのに
負けることなく、今もばりばり仕事をしている。
病気をしたら、日々の暮らしへの向き方が
穏やかに前向きになったという。
つらいと思わず受け入れる。それができるようになったという。
先輩は、子供が二人いて、女の子と男の子、
女手ひとつで育てている。
女の子は料理を作るのが好きで、この春から
東京の料理学校へ進学するという。
家で料理を作っていても、たいてい彼氏に食べさせると言って
持って行ってしまうから、こちらの口にはあまり入らないと笑う。
男の子は、高校受験を控えていて、お母さんも気が気じゃない。
ときどき子供たちの話し声を耳にすれば
子供なりきに親の気持ちを考えてくれていて
成長しているのを感じるという。
仕事のこと、家庭のこと、口に出る言葉を聞いていれば
気合いを入れて前を向いているのが伝わってくる。
仕事への取り組み方はちがうものの、
こちらもがんばろうと元気をもらった。
はさみを動かす手さばきを見ていたら
毛束をはさんで、はさみを斜めに入れて切ってゆく。
この人は、むかしから
はさみを斜めに入れるのが好きだったなと
教わっていたころを思い出し、
ずいぶんと懐かしい。


  


高村光太郎の詩に

2011年02月15日

 へこりと at 13:08  | Comments(0)
如月 九

二月の連休は雪降りの日がつづいた。
朝からちらちら降り始め、夕方にいきおいを
増してくる。
みるみるうちに路地を白く埋めていっても
水気の多い湿った雪は
明日はきっと融けるのが早い。
降る雪の様子にも春の近さが伺える。
仕事を終えてひと風呂浴びて、
酒を燗につける。
窓を開けて、ひととき雪の降るさまを
眺めながら酌めば、澤屋まつもとの原酒の旨みが
よいなあとしみわたる。
仕事場をすこし模様替えした。
お世話になっている人に、書道の先生がいる。
善光寺の宿坊に勤めながら、書を書いたり
教えたりしている女性の方で、
目鼻立ち整った顔に、髪をきっちり刈り上げて
黒い法衣を着ている様は
なかなかにかっこよく見とれる。
正月に頂いた年賀状に、新年の挨拶と一緒に
高村光太郎の詩の一節が書いてあった。
奥ゆきのある文字が見ていて飽きない。
額に入れて壁に飾った。
高村光太郎の詩は、学生のころによく読んでいた。
前を向く言葉の列がそのころの気持ちに馴染み、
繰り返し読んでいたことを思い出す。
その当時付き合っていた女の子に、気に入った詩を
手紙に書いて送っていたこともあり、
若さというのはおそろしい。
今ならとてもじゃないがはずかしくてできない。
中学校の時、国語の教科書に載っていた
冬が来た という詩は気に入りのひとつだった。

きっぱりと冬が来た
八つ手の白い花も消え
公孫樹の木も箒(ほうき)になった
 
きりきりともみ込むような冬が来た
人にいやがられる冬
草木に背かれ、虫類に逃げられる冬が来た
 
冬よ
僕に来い、僕に来い
僕は冬の力、冬は僕の餌食だ
 
しみ透れ、つきぬけ
火事を出せ、雪で埋めろ
刃物のような冬が来た

この詩を読むたびに、白い冬の中に、
背筋伸ばして毅然と立つ。
そんな人間になりたいと思っていたのに
すっかりぼやけた春のような人間になってしまい
なさけがない。





  


けんかできるパワーがすごい

2011年02月12日

 へこりと at 07:54  | Comments(2)
如月 八

スリードアの冷蔵庫のいちばん上は、お酒専用になっている。
ビールに焼酎、日本酒で埋まり
眺めているだけでしあわせになる。
今晩はあたらしい瓶の封を切ろうか。
そう思っていたら、友だちがふらりとやってきた。
牛すじの煮込みを作ってきたから一緒に一杯やろうという。
それはちょうど都合がいい。
それにしても急に訪ねてくるのも珍しいと思ったら、
彼女とけんかをしてしまい、気持ちがへこんでいるのだという。
それは飲まずにはいられない。
付き合いましょうと急きょ宴のしたくをした。
宮城の吟醸の封を切り、酌み交わしながら話を聞けば、
思いもかけないことにあらぬ疑いをかけられて
けんかになってしまったという。
理屈で考えれば、怒る筋合いないことに
おさえきれない感情が先にたち、いさかいになってしまった。
このたびははでにやってしまいましてと
ポケットから出したのは、真っ二つに折られた携帯電話だった。
怒った彼女にたたき折られたといい、
思わずハードですなあと口に出た。
気持ちのくい違いあるときに、縁を続けていきたいと思うなら
相手を変えようと思うより、自分が変わったほうがいい。
以前そう言っていた人がいて、
お互いそんな気持ちになれればいいのにと話す。
相手の態度がどうこうよりも、まずは自分で信じること。
単純明快なことが、いくら歳をかさねても
なかなかできないのがつらい。
それにしてもと、折られた携帯電話を眺めながら
四十歳を過ぎてもそれだけ派手なけんかが出来るのも
たいしたものだとしみじみ感心をした。
次の日、こわれた携帯電話を持ってドコモへ出かけたという。
ちょっとこわれちゃってと携帯電話の残骸を見せたら
応対してくれたお姉さんが、あっ、と絶句して店長を呼んできた。
同じく店長も、あっ、と絶句して笑顔がひきつったという。
ドウスリャ コンナコワレカタヲ スルンダイ?
そんな顔で見つめられたものの、
彼女にこわされたとは恥ずかしくて言えなかった。
しばらくしてから電話があった。
携帯電話、復活しました。彼女とも復活しました。
今度けんかをするときは、携帯電話を隠しておくように。
よくよく伝えた。
  


蕎麦屋をはしごして

2011年02月10日

 へこりと at 09:45  | Comments(2)
如月 七

蕎麦が好きで毎日食べていてもあきない。
休みの日の昼どきは、
たいてい蕎麦屋でうだうだしている。
善光寺の灯明祭りが始まって、
本堂、山門、仁王門がライトアップされ、
界隈の路地や中央通りに行灯が並べられている。
いつもはなかなか入ることのない宿坊も
この期間は門を開けて、お客さんを迎え入れる。
灯明祭りの間、善光寺界隈の蕎麦屋さんは
スタンプラリーのイベントを行なっている。
今年は十二軒の蕎麦屋さんが参加していて、
全部の店をまわってスタンプをいっぱいにすると
特性の風呂敷がもらえるのだった。
いちどにたくさんまわれるように、
この期間蕎麦屋さんは、いつもの量の半分のざる蕎麦や
掛け蕎麦を三百円で提供している。
飲み仲間の蕎麦屋の御主人が、
たまには他の店の蕎麦も食べてみたいから
一緒にまわろうと声をかけてくれたのでお供した。
普段行くのは気心知れた馴染みの店ばかり。
この日は初めての店にもお邪魔した。
熱燗のお銚子二本に半ざる、このパターンで
四件の蕎麦屋をはしごした。
まわってみると、それぞれ店の個性が見える。
ひとりで入ってきたお客さんを、次々
壁際のカウンターに座らせている店があった。
目の前の壁を眺めて酒を飲み、蕎麦を食べる。
壁ぐらいならうちにもある。
お金払ってあじけない壁を眺めさせられるのも
いかがなものかと、この店にはひとりでは入れない。
入り口の戸を開けたら、
ホールにいた奥さんの声と一緒に
厨房から御主人のいらっしゃいませー!の
威勢のいい声が聞こえる店があった。
注文が入るたびに、はいよー!と
元気のいい声が聞こえ、はつらつと気持ちがいい。
一緒にまわった蕎麦屋の御主人は
一店一店かみしめるように味をたしかめている。
粉をこねすぎてるかな。機械で打っているかな。
風味が出ているなあ。蕎麦粉はあそこの粉屋さんかな。
その道の人と一緒にいれば、
ちょっとふかい話しを耳に出来るからおもしろい。
蕎麦屋にかぎらず、手に職の店の仕事には
その店なりきのやり方あつらえ方がある。
足運び、馴染みになれる店を見つけたら
つかの間、ほっとひとときの至福をあじわえる。
気がつけば、散歩でぶらぶらの距離に
そんな店がいくつか出来ていてありがたい。


  


大きな仕事を終えて

2011年02月09日

 へこりと at 08:19  | Comments(2)
如月 六

単身赴任をして、南の町に住んでいる友だちがいる。
大きな仕事にたずさわり、
年の暮れから年明けに、いそがしいやま場をのりこえて
ようやく少し落ち着いたという。
まるまる二ヶ月、飲みに出る暇もなかったというから
久しぶりの一献行きますかと町を下った。
今までにいちばん多く足を運んでいる店といえば
本屋、居酒屋、蕎麦屋とつづく。
居酒屋にいちばん多く付き合ってくれている
友だちなのだった。
善光寺の灯明祭りが始まった日で
この日は人の出が多い。
人ごみぬって、中央通りを歩いていけば
たくさんの灯明が並べられ、ボランティアの方々が
灯をともしている。
いつもはさびついている権堂のアーケードも
人の流れがある。
一緒に歩いていた友だちの奥さんに
男同士の内緒話をごゆっくりと見送られ
千酔さんへと向かった。
ビールで乾杯をして、鮟鱇のから揚げと
豚の角煮に銀杏を注文する。
仕事は一段落したものの、まだばたばたしているという。
合い間合い間の話を聞けば、
思いがけないアクシデントに見舞われたりして
ずいぶん神経をすり減らしていた。
大きな仕事をやり終えて、
この三月で南の町をあとにする。
ほんとにごくろうさんと、金目鯛に平目に
甘海老の刺身も頼んで、ゆるゆる日本酒の盃をかさねた。
久しぶりの友だち飲みにごきげんになり、
そのあと二軒はしごした。
歩いて帰る、我が家の前でのわかれぎわ、
そこからまだ歩いていく友だちの足取り心配して
家に着いたら電話をよこせと、声をかけておきながら
電話を待つ間もなく、部屋に入るなり爆睡してしまい
付き合い長くてもいつも失礼ばかりをしている。
おととしの春に南の町に友だちを訪ねたことがある。
温泉にゆっくり浸かり、友だちの社宅で宴をして
したたかに酔い、次の日は、
大きな寺の見事な桜を愛でて、
ソースカツ丼で腹を満たしてきた。
単身赴任の終わる前にもう一度訪ねてみたい。  


dancyuにそそられて

2011年02月06日

 へこりと at 13:13  | Comments(0)
如月 五

定期購読している料理の雑誌のdancyuは
毎年三月号は日本酒の特集と決まっている。
朝いちばん、仕事場の掃除を済ませてから
近所のセブンイレブンまで買いに行く。
今回は、 日本酒よ、世界に誇れ と
力づよいタイトルが付いている。
洋食和食、いろんな料理がたくさんあって、
淡白な魚や、油を使った肉料理まで、
いろんな味に彩り添える、そんな酒の特集なのだった。
ページをめくっていけば、
自分のふだん好んで口にしている銘柄が
そこかしこに載っている。
伯楽星に御湖鶴に、松の司に山和とつづき、
澤屋まつもとに惣邑と、
好きな銘柄十傑のうち、六つも載っているから
それだけでうれしくなる。
酒の専門家の方たちのコメントを読めば、
たしかにそんな味わいと、適した表現に合点がいく。
近頃は、フレンチのような料理にも合う銘柄も増え、
フランスのレストランの中にも、日本酒を扱う店があるという。
日本人がワインやウイスキーを好むように
美味しい酒は国境を越えて、老若男女の心を満たす。
宮城の伯楽星の蔵元の新澤さんが載っていた。
三年前に酒屋の友だちの峯村君に連れられて
訪ねたことを思い出す。
ずいぶんとおんぼろな蔵の中を案内してもらえば
その外観とはうらはらな、
バナナのような吟醸香が満ちていたのが印象的だった。
行きつけの飲み屋へ行って日本酒を所望する。
店によって出し方もいろいろで、
いいださんは、小ぶりの利きじょこで、
ひ魯ひ魯さんと千酔さんは、ワイングラスで出してくれる。
べじた坊さんは丸いティスティンググラスで出してくれ、
みちのかさんは、店のおしゃれな雰囲気に合わせ
カクテルグラスで出してくれる。
うまい具合にこの夜は、
久しぶりの友だちとの飲み会が入っていた。
朝からこんなブログを書いていたら
仕事もせぬうちから夜の予定に気が行って
世間さまに申し訳がない。


  


酌処 べじた坊さんにて

2011年02月05日

 へこりと at 08:30  | Comments(0)
如月 四

二月になり、日中寒さのやわらぐ日がつづく。
固まっていた路地の雪も少しづつ溶け始めている。
このままの陽気ですぎてくれればと
安易なことを考えている。
べじた坊さんへ出かけた。
中央通りを下って行ったら、酒屋の軒先から
鬼は~外! 威勢のいい声がして
今日は節分の日だったと思い出す。
日本酒が好きだから毎日酌んでいる。
晩酌で酌む馴染みの定番もあれば
毎年初めて口にする銘柄もあり楽しい。
べじた坊さんは日本酒の品揃えがいい。
店に入れば奥のいれこみで賑やかに
サラリーマンのおじさんたちが宴会をやっていて
なかなかいそがしい。
カウンターに腰を下ろして、まずはサッポロ黒ラベル。
石垣さんと乾杯をする。
カウンターの上、カセットコンロにお湯の入った鍋が置かれ
燗酒の準備万端なのも冬らしくていい。
さて、日本酒をと、最初に伯楽星の純米大吟醸を
サービスでいただいた。
常連さんが持ってきてくれたといい、
この酒は、友だちの酒屋のみねむら君が扱っているから
気に入りのひとつになっている。
ここの蔵元はどんなに米を削っても、
食中酒としての自分の味を出してくる。
華やかさの少ない味わいは、
お通しの煮物とピーナッツを食べながら酌んでいたら
程よい厚みの中庸な味になる。
この酒を酌むたびに、みねむら君の結婚式を思い出す。
鏡割りに使われたのがこの酒で、
ずいぶんとぜいたくな酒に酔った祝いの席だった。
この日も初めての銘柄をいただいた。
栃木の仙禽は和紙のラベルに仙禽の文字が
あでやかに踊っている。
口に含めば、きれいな酸味を感じさせる味わいで、
これもまた料理を食べながら飲んでも美味しいと、
前の晩、さんざん食べた焼き肉に合いそうと思い出す。
その次に、これまた名前だけは知っていた
山形の鯉川をいただいた。
鯉川、好みの味ですよ。
石垣さんの言葉に期待して口にしてみたら
香りそれほどつよくなく、すっと入ってすっと切れる。
まさに好みの味わいでこれはいい。
値段を聞けば、一升二千円とのことで、
味のわりに値段も手ごろ。
晩酌に酌むのにぴったりとうなづいた。
ラベルもなかなか味がある。
小さな子が一生懸命に書いたような律儀な文字で
鯉川と書いてあり愛らしい。
今年も早々に旨い酒に会えました。
うれしくなって杯を重ね、
石垣さんにヨッパの相手をしてもらいながら酩酊したのだった。


  


焼き肉いっぱい

2011年02月04日

 へこりと at 14:59  | Comments(0)
如月 三

焼き肉屋へ出かけた。
毎月定例の飲み会がある。
いかつい顔の蕎麦屋の旦那と
丸くて大きい蕎麦屋の若旦那と三人で
毎月交互に幹事になって、
それぞれ自分の馴染みの店で一席設け
宴を開いている。
今月の幹事は若旦那で、
体格どおりに食べるのが好きだから
焼き肉屋での宴会となったのだった。
こんなことでもなければ足を運ぶことがない。
ちょっと遠くになりますが、
美味しい肉を食べさせる店があるという。
僕が運転していきますからと、若旦那の好意がありがたく、
黒くて大きいアウディの後部座席に乗り込んで
ちょっとVIPな気分で焼き肉屋へとむかった。
着いた店は 馬山苑。三才駅のそばにある。
ずいぶん昔からここで商いをしているという。
人数の多い通りではないのに長々商売できるのは
味が良いせいかと久しぶりの焼き肉に期待が膨らんだ。
焼き肉は大勢で食べるのが楽しいと、
この日は飲み仲間のひろみちゃん姉妹と
その友だちにも声をかけてあるという。
店に入れば、すでに酒豪の女性陣は
チャンジャをつまみにゆうゆうジョッキを空けていて、
さすがと感心をした。
肉がくるそばから若旦那がせっせと焼いてくれ、
うまいうまいと口にほおりこみ、
ビールを飲むペースも早くなる。
ひろみちゃんのお姉さんにはこの日初めてお会いした。
美味しい焼き肉のために、旦那と子供に留守まかせ
電車に乗ってはるばる山の町からやってきたという。
ひろみちゃん姉妹は二人そろって手が大きい。
にこにこと同じ手つきでジョッキをつかみ
同じテンポで空にする。
その友だちはまだ独身だというから、
こうしてこまめに焼き肉奉行をしてくれる、
やさしい人はどうでしょうと、
若旦那を薦めたい。
ビールからウーロンハイに換えて、
肉の旨さにつられているから
鏡月のボトルもみるみる少なくなっていく。
それを眺めながら、さてこちらはとメニューを見れば
芋焼酎の品揃えがいい。
久しぶりの 海 をロックでいただいて
箸休めのキムチに手を伸ばす。
さんざん食べて飲んで腹いっぱい。
帰りも玄関先まで送ってもらい、
ぜいたくで楽しい宴の席だった。
焼き肉でパワーをつけたから、
もうひと月、寒さをしのぎたい。  


春からのスタートに

2011年02月03日

 へこりと at 13:03  | Comments(0)
如月 二

しゅうちゃんとひろみちゃんに子供が生まれた。
長女につづいてこのたびは長男の誕生がめでたい。
送られてきた写メールを見れば、
ひろみちゃんにそっくりの大きな瞳をしている。
おかあさん似の美男子になることまちがいない。
悠に人と書いて、ひろひと君という名前をつけたという。
ひろひと君にお祝いを贈る楽しみができた。
友だちの子供は成長するのが早い。
ついこの間まで床にころがっていたかと思ったら
すたこら歩き回るようになり、
小学校に入ったかと思ったら、
いつのまにか中学校で部活にあけくれているという。
久しぶりに顔を会わせれば、
男の子はたくましい顔つきになり、
女の子はすっかりきれいになっている。
しばらくぶりにえりちゃんが訪ねてきてくれた。
友だちの娘で、この春から社会人になるという。
高校を卒業したあとに市内の短大に進み
保母さんになるための勉強をしていた。
ときどき訪ねてきたときに、
学校の勉強がたいへんなこと、彼氏と別れたこと
新しい彼氏ができたこと、居酒屋でアルバイトを始めたこと、
おとうさんがわがままで困ること、
いろんな話をしてくれる。
短大の二年生になり、就職活動を始めるころに電話があった。
教育実習のときにお世話になった保育園からで、
実習の時の働きぶりがとてもよかったので
うちに勤めませんかと声をかけていただいたのだった。
悩みごとを抱えていても、いつも明るくはきはきと。
人柄を認めていただいて、無事の就職と相成った。
社会人になったら一緒にお酒を飲みましょう。
おじさんを喜ばせるようなことも言ってくれるから
応援せずにはいられない。
毎日寒い日がつづいても、
夕方の五時を過ぎてもまだ明るさのこる空を眺めれば
陽が伸びて、少しづつ春に近づいているのがわかる。
春からの新しい一歩を、小さい子も大きい子も
みんながんばってもらいたい。


  


燗酒日和

2011年02月01日

 へこりと at 13:06  | Comments(0)
如月 一

この冬はほんとに寒いと訪ねてきた人がいう。
毎日日記を書いている。
その日の気温も欠かさずつけていて、
昨年の今ごろに比べると、
今年のほうがずっと寒いという。
軒先にぶら下がって、いつまでも溶けないつららを眺め、
昨年は目にすることがなかったと思い出す。
毎晩こたつで丸まって、燗酒ばかり酌んでいる。
寒さにつられ、燗の温度もこの頃は熱めになっている。
冷やでも燗でも旨い酒があれば、
燗にしてより味の上がる酒もある。
冷やではとても飲めないが、
燗にすればどうにかなるかと温めたら
よけい勘弁してくださいの味になる酒もあり、
銘柄によって、ほんとに味もいろいろと思う。
酒を温めるときは湯煎でやっている。
ストーブの上のやかんにとっくりを浸してじっと待つ。
少々時間がかかるものの、
そのやり方がいちばん美味しくいただけると思っていた。
ある日、下諏訪の御湖鶴の杜氏さんと
一献交わす機会があったときに、
燗酒は、電子レンジでチン、で全然かまわないといわれ
おどろく。
チン、では酒の味が荒くなるとずっと思っていたから
要は酒を対流させればよいのだからといわれ
目からうろこの思いだった。
次の日さっそく口の広い片口に酒を注ぎ
湯煎で、電子レンジで温めて飲み比べてみたら
ちがいがあるような、ないような、
さぐりながら盃を重ねていたらすっかり酔っ払って
どちらでもよくなってしまった。
それからは、杜氏さんのお墨付き、しかも手軽さがいいと
電子レンジで燗にすること多くなる。
それでも、やかんがしゅんしゅん湯気をたてれば
たまにはと思いとっくりを浸せば、
酒が温まるまでの間が、晩酌の気分を
ゆっくり静かにさせてくれるから、
やはり急かさず湯煎でやるのも好いものと思う。
馴染みの飲み屋で燗酒をたのめば
どこも湯煎で温めてくれる。
鍋に湯をはりとっくりを入れて、
料理を作る合い間に、ときどきとっくりの底に手を当てて
燗の頃合いを確かめる。
御主人のそんな姿を眺めて酌んでいれば
それも好い酒の肴になっている。
行きつけのおでん屋は、女将さんがいそがしいときは
ストーブの上のやかんに、
自分でとっくりを突っ込んで燗にする。
飲み仲間との話しに夢中になって熱くしすぎぬよう
そればかり気にしているから
気もそぞろに話を聞くはめになり申しわけがない。