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御開帳もひと月

2015年04月30日

 へこりと at 08:13  | Comments(0)
卯月 十一

陽気も好くなり、目覚めもはやい。
日の出まえ、ひとまわり、走ったり歩いたりしている。
駅前から、なだらかな中央通りを上がって行くと、
えんえんつづく街路樹の緑のむこうに、
善光寺の屋根がちいさく見える。
なかなか風情のある眺めなのだった。
御開帳がはじまって、そろそろひと月が経つ。
連日、朝から晩まで参拝客が途絶えない。
ともなって、救急車も、毎日サイレンを鳴らしてやって来る。
参拝客にはお年寄りが多い。
気分がわるくなったり転んだり。
御利益を授かるのも楽ではないのだった。
仲見世をうろついているうちに、
仲間とはぐれて迷子になる人もいる。
いましたよ~!
おばあさんの腕をかかえた土産物屋の御主人が、
バスの前で、困った顔で待っていた、添乗員に叫んでいた。
宿坊は、どこも団体の泊り客でいそがしい。
知り合いの書道の先生は、御朱印書きを頼まれて、
あっちの宿坊、こっちの宿坊と駆けずりまわっている。
おやきにソフトクリーム、
食べ物屋の前には人だかりができて、
どこの蕎麦屋も、開店前から行列ができて、
開けたとたんに目のまわるいそがしさになる。
うらはらに、こちらは仕事がひまになる。
道が混むのをいやがって、
訪ねてくるかたがいなくなるのだった。
路地沿いの仕事場にいれば、
おもての通りの騒々しさもとどかない。
鳥の鳴き声と、善光寺の、のどかな鐘の音を聞きながら、
ばか面こいて、神社の緑を眺めている。
夕方、なじみの蕎麦屋の店長が来た。
くずれるように座るなり、ふうっとため息をつく。
・・・ここ、・・・しずかだね・・・
すでに疲労困ぱいなのだった。
晴ればれと、黄金週間もはじまった。
無事にこなしていけるよう願うのだった。


  


飯山へ

2015年04月28日

 へこりと at 14:27  | Comments(0)
卯月 十

飯山へ出かけた。
うつらうつらと一時間、飯山線に揺られていく。
飯山は、このごろ新幹線が開通した。
たくさんの観光客をと意気込んでいるのに、
いまひとつ盛り上がらないという。
この日も降りたのは五人。
ぴかぴかのホームがさみしい。
駅の観光案内所では、レンタサイクルをしている。
貸してくれたのは、イタリアのビアンキのクロスバイクで、
貸し自転車にも気合が入っている。
ひと気のない通りを行けば、
すでにふるい駅舎がこわされていた。
商店街を抜け、城址公園へと上がったら、あてがはずれた。
桜を眺めに来たのに、このところの陽気の好さに、
すっかり葉桜になっていた。
しんみりした敷地で、ちょうちんが、所在なげに揺れている。
千曲川沿いに国道を走っていけば、
右手に菜の花が揺れ、残雪の山並みがはるかに映える。
左手の桜並木も葉桜となり、さかんに花びらが散っている。
道の駅でソフトクリームを食べてから、飯山街道へ出る。
洋品店、いなだセンイのさびれた店先で、
マネキンが、ぽつんと通りを見張っている。
寺と仏壇屋の並ぶ街道で」、つばめがにぎやかに風を切る。
大聖寺の境内に入れば、となりの飯山学園から、
子供たちの、元気な声が聞こえてきた。
閑散とした町の中で、高橋まゆみ人形館は、
今日もお年寄りたちでにぎわっている。
駅にビアンキを返してから、市立城南中学校の前を通り、
蕎麦屋のしおいりさんへおじゃました。
エビス大瓶600円。水尾の生酒、1,5合で700円。
消費税が上がったのに、
値段は以前のままだから、良心的なことだった。
エビスを飲みながら冷や奴をつまめば、ごま油の風味がして、
ひと手間、粋なことをなさってくださると御主人を見た。
漬物で水尾を酌んで、さっぱりとせいろで締めたのだった。
対岸の菜の花公園は、来週あたりが見頃という。
ゴールデンウイーク真っ盛り。
二週つづきの飯山詣でと決めた。



  


ひとまわりして

2015年04月26日

 へこりと at 09:12  | Comments(0)
卯月 九

好い季節になった。
氏神さんの新緑が、朝の空に冴えばえとしている。
万佳亭のそばのあずま屋から、
もうすぐ日の出の空を見た。
ここから望む、菅平の端正な山並みが好い。
道を下りて、車の走るひろい通りを上がって行くと、
目を引く家がある。
おおきなガラスのむこうには、ちいさな赤いスポーツカーと、
おおきな赤いバイクが並んでいる。
道沿いの高級マンションは、
すっかり年季が入りすぎて侘しい。
城山団地の入り口に、あたらしい店が出来ていた。
カフェ・エルフは、普通の住宅のような佇まいで、
玄関先にメニューが出ている。
ランチセットが850円、チーズケーキは430円、
コーヒーは350円なのだった。
ビールは、残念ながら載ってない。
五差路を渡って、坂道を上がって行く。
上がった先の三差路を右に行くと、
市街を見下ろせる公園と、結婚式場と、
友だちが務める料理屋がある。
料理屋では、懐石コースと、すき焼きコースと、
しゃぶしゃぶコースを提供している。
この間、日本酒が二合で3900円と聞かされて、
ぶったまげたところだった。
長らく工事をしていた善光寺の雲上殿は、
長い階段がとりこわされて、
ゆるやかなスロープが出来ていた。
お年寄りにやさしくなったのだった。
あたらしく、きれいなお堂も出来ていた。
となりの墓地では、世話になったおじさんが眠っている。
ご無沙汰しててと、手を合わせた。
道の先々に、山吹が咲いている。
林の新緑が高だか茂り、うぐいすが鳴いている。
りんご畑を眺めながら下りて行くと、
往生地公園がある。
春になると、ちいさな敷地に桜が満ちて、
人もあまり来ないから、しずかな花見ができる。
この春は、愛でに来るのをすっかり忘れていた。
参拝客でにぎわう善光寺に手を合わせ、戻ったら、
路地をつばめがかすめていった。
今年の巣づくりが始まったのだった。




  


ようやく暖かく。

2015年04月23日

 へこりと at 21:24  | Comments(0)
卯月 八

冷え込んだ日がつづいた。
桜が咲いても、花見の気分が盛りあがらず、
城山公園の花見小屋も、所在なげに建っていた。
つめたい雨の日もあって、冬さながらに寒くなる。
春雨じゃ、濡れて行こう。
月形半平太のように、のんきな気分になれないのだった。
二十四節季、穀雨初侯、ようやくさわやかに晴れた。
散歩に出たら、裾花川の土手沿いに、
菜の花が、日の出まえのしずかな気配に映えている。
マルコメ味噌の工場前の桜並木は、葉桜になっていた。
歩く先ざきを、散った花びらが淡く染めている。
あやとり橋を渡ってUターンをしたら、
飯縄山のてっぺんに雪が残っている。
山の桜は、これからが見ごろなのだった。
世話になった理美容学校の前をすぎて行くと
パン屋のサンクスから、好い匂いがただよってくる。
ここのパンは旨かったと思い出した。
駅の東口へひらいた、
道路のわきにマンションが建ち、
完売御礼の幕が、でかでかと下がっていた。
地下道を抜けて中央通りを上がっていくと、
善光寺へ向かう人の姿も増えてくる。
晴天の参拝日和になり、なによりだった。
緑を増す木々の間から、
うぐいすの澄んだ声が聞こえる。
玄関先のガマズミもすっかり葉が茂り、
向かいのお宅のつたの葉も、
つやつやおおきくなっている。
プランターで、ぶどうの苗木を一本育てている。
ぶどうを栽培している友だちにもらったのだった。
育てているといっても、
はじめの頃に水をまいたくらいで、
伸びるにつれ、支柱を立てたり、添え木をしたり、
剪定をするのは、友だちまかせだった。
晩酌でつぶれて爆睡してる間に、
こっそり作業をして行ってくれたこともあったから、
申しわけのないことだった。
この頃になり、枝のあちこちに、芽がふくらんで、
不純な天気にひるむこともなく、
健気なことと、毎朝眺めているのだった。
しばらくは、暖かな日がつづくという。
芽吹きの季節をむかえているのだった。




  


幻舞の蔵元さん

2015年04月21日

 へこりと at 10:30  | Comments(0)
卯月 七

善光寺の御開帳が始まって二週間が過ぎた。
連日、たくさんの参拝客でにぎわっている。
酒造業を営む千野さんに、駐車場を貸してくれと頼まれた。
御開帳の期間中、取り引きをしている土産物屋のわきで、
酒を売るというのだった。
千野さんでは、跡取り娘さんが杜氏となって、
地元銘柄の桂正宗と、
特約店のみで販売される、幻舞という銘柄を造っている。
幻舞は首都圏の酒屋でも販売されて、
今ではすっかり、
長野を代表する銘柄のひとつなのだった。
多くの酒蔵さんが今季の造りを終えた中、
千野さんでは、青葉繁れるころまで造りがつづく。
このたびは若手のスタッフ三人に、
それぞれ、タンク一本の酒造りをまかせたという。
ときどき宴を供にする、蔵人のかたを思いだし、
どんな味に仕上げてくるか、楽しみに待っているのだった。
お酒の売れ行きはいかがですかと、尋ねてみたら、
それがなかなかきびしくてと、渋い顔をする。
四合瓶一本でも、重い、荷物になると言われ、
買っていってくれないという。
たしかに眺めていれば、参拝客はたくさん来ているのに、
土産物をぶら下げている人の姿は多くない。
顔馴染みの土産物屋の奥さんも、
売上が、ぜんぜんだめとこぼしていた。
みなさん、財布のひもがかたい。
長野の地酒、美味しいですよ。
呼び込みをしてあげたくなってしまう。
晩酌で、千野さんに頂いた、
幻舞の純米吟醸の無濾過生原酒を酌んだ。
上品な味わいは、冷やでやるのはさることながら、
温めてみたら、旨みの幅が増してずいぶんと好い。
花冷えの夜、ゆるりと癒されたのだった。



  


59醸(ゴクジョウ)

2015年04月18日

 へこりと at 12:15  | Comments(0)
卯月 六

毎晩日本酒を酌んでいる。
FacebookやTwitterを覗いてみれば、
顔馴染みのお蔵さんがたも、ようやく、
きびしい冬の間の造りを終えたと知らせている。
折りにふれ、出来た新酒を利いてみれば、
このたびも、より一層の好い味に仕上げてくださった。
酒徒にはありがたいことなのだった。
気に入りの銘柄に、長野市の、西飯田酒造の積善と、
飯山市の、角口酒造の北光正宗がある。
ともに酸と旨みの案配がよく、きめの細かい味わいは、
飲み飽きせずにするするいける。
身近な飲み仲間の中にも、積善が好きという人に、
北光正宗が好きという人もいて、
すこしづつ、愛飲するかたも増えているのだった。
それぞれ、お蔵の跡取り息子さんが造りを担っていて、
東京農業大学の同級生で、三十歳と若い。
そのおふたりが、このたび同じ歳のお蔵さんがたと、
日本酒を広める活動を始めたという。
積善、北光正宗、福無量に本老いの松に勢正宗。
五蔵が手を組んで、
昭和59年生まれだから、59醸(ゴクジョウ)という。
頂いたチラシには、
ピーク時の三分の一にまで減った日本酒の製造量、
日本酒を中心に進む若者の酒離れ・・・
生まれた時から衰退する業界を目の当たりにしてきました。
それでも長年に渡り親しまれてきた日本酒を
1人でも多くの人に好きになってもらいたい。
この年代だから造ることのできるモノを生み出そう。
日本酒と人との”極上”の未来・文化をつくるために
挑戦しますとある。
つらいときもかなしいときも、うれしいときもたのしいときも、
いつも、極上の酔いのひとときを過ごさせていただいた。
だらしのないヨッパのおじさんも、
良き酒醸す、若い造り手の活動を応援したいのだった。






  


臥竜公園へ

2015年04月15日

 へこりと at 11:02  | Comments(0)
卯月 五

朝いちばん、電車に乗って須坂へ出かけた。
ひと気のない通りを上がって行くと、
必死の形相で駅へと走る、お母さんと娘とすれちがう。
旬菜古民家ゆるりの前に、ふるい丸型ポストが立っていた。
めずらしいと眺めて行けば、、
中華料理屋、利来の角にも立っていた。
須坂高校の桜の木が、すっと空に映えている。
ベージュのコートのおねえさんが、見上げながら過ぎて行く。
桜のように美しいかただった。
臥竜公園の桜も見頃を迎えた。
日中、花見の客でにぎわう桜の名所も、
平日の朝は、まだ人の姿がすくない。
入り口のしだれ桜の下で、野球帽のおにいさんが、
じっくりカメラを構えている。
たこ焼きやクレープの屋台は、
ひっそりとシートがかぶったままだった。
外人のおにいさんが、もくもくと池のまわりを走っている。
5月10日は春の写生大会。雨天の場合は5月17日。
お知らせの札が立っている。
陽あたり加減で、池を囲む桜の具合もまちまちで、
すっかり開いている枝もあれば、まだつぼみの枝もある。
りっぱなカメラを抱えたおばさんたちが、
おもいおもいに写真を撮りはじめた。
池のまわりのおでん屋も、まだ開いている店はない。
ほんとうは、桜の下でおでんとビール。
そのあとは、ちいさな美術館で時間をつぶして、
蕎麦屋で昼酒と、もくろんでいたのだった。
ところが今日は、午前のうちから雨が降るという。
うらめしくあきらめて、早々の花見としたのだった。
滝の流れる小山に上がり、桜を見下ろした。
残雪の、飯縄山と黒姫山と妙高山がはるばると見えた。
公園を出て歩いていけば、
穀町の公会堂の前にも桜が咲いていた。
川沿いの桜並木の下を、男の子が自転車で過ぎて行く。
さびれた風情の劇場通りを下りていたら、
ぽつぽつと降ってきた。天気予報がよく当たる。
駅へ急ぎ足になる。





  


桜も盛りで

2015年04月14日

 へこりと at 08:20  | Comments(0)
卯月 四

早朝、散歩に出た。
早足で一時間歩くときめる。
今日は天気が良いという。
花見客の姿も多くなると、城山公園の桜を眺めていく。
城山団地の坂を上がり、友だち夫婦の家の前を過ぎていく。
昨晩、宴に招いてくれたのだった。
杯をかさねながらいただいた、
奥さん手作りのつくねが、たいそう旨かった。
思いだし、ふたたびつまんで一杯やりたくなる。
しずかな校舎を背景に、
長野高校の、桜並木が青空に映えている。
広い通りをまっすぐ行って、信号を左に曲がる。
母校の長野吉田高校の、
校舎と体育館を右手に見て、道を渡れば、
浅川沿いの土手に出る。
体育の時間には、よくこの土手を走らされたものだった。
晴耕雨読の後輩たちは、今も走っているのだろうか。
湯谷小学校の前を過ぎたら、
家並みつづく、裏道を下りていく。
造園屋の前を過ぎてそのまま行けば、
善光寺のうらから桜並木のつづく、桜坂に出るのだった。
坂のふもとの栄心堂では、もうもうと湯気が立ち上がり、
朝から和菓子とおやき作りにいそがしい。。
善光寺では、すでに本堂にも境内にも人があふれ、
御開帳の賑わいも、いよいよいきおいを増してきた。
駒返り橋の前で、
きれいなお姉さんが、案内板を持って立っていた。
宿坊の、薬王院のガレージで、
パンとスープの朝食を提供しているとのお誘いだった。
スープは、クリームとトマトのどちらかで、
ロールパンがふたつ付いて八百円也。
クリームスープを飲みながら、パンをかじっていれば、
顔見知りの案内人さんが、
お参りを済ませた泊り客を引き連れて、帰ってきた。
腹を満たして時計を見れば、もうすぐ七時。
県会議員の選挙の投票日、
城山小学校の体育館の前には、
すでに、おじいさんたちの列ができている。



  


だんだんと賑やかに

2015年04月09日

 へこりと at 13:47  | Comments(0)
卯月 三

善光寺の御開帳が始まって、まもなく一週間。
まだ、人も車も混みあっていないものの、
連日、門前界隈に人の姿が多い。
宿坊で働くかたがたが、朝早く勤めに来たり、
仲見世の土産物屋も、早い時間から商いを始めている。
桜が開いたあと、ぐずついた天気がつづき、
春の気分がそがれる。
冷え込んだ日の夕方、我が家で宴をした。
蕎麦屋を営む友だちが、鴨鍋を拵えてくれたから、
幻舞の純米吟醸を酌みながら、
春の鍋のひとときをすごした。
翌朝、青々とした空が広がって、氏神さんの桜のむこうから、
陽が昇ってきた。
陽射しのつよさを受けながらラジオ体操をしていれば、
さわやかに鶯の声がひびく。
ぶらぶらと善光寺へ歩いていくと、
お朝事へ向かう、大本願の尼さんと出くわした。
赤い傘の列を眺めながら本堂へ入ったら、
すでに大勢の参拝客で埋まっている。
天台宗の坊さんたちのお経が聞こえてきて、
御本尊に手を合わせた。
さっぱりとお参りを済ませたら、
近所のカフェの、ナノグラフィカさんへおじゃました。
古民家を活かしたカフェは、
御開帳の期間中、朝の六時半から営業をしている。
畳にちゃぶ台の店内に、
向かいの家の間から、朝日が刺しこんでくる。
珈琲とベーグルをいただきながら、外を眺めれば、
観光客のおじさんたちが、興味ぶかげに中を覗きこむ。
入ってくるかと思ったら、そのまま行き過ぎてしまった。
女子高生が自転車でぐいぐい上がって行き、
知り合いの男性が、自転車をすっ飛ばして下って行った。
大型連休も控え、
観光客も、これからどんどん増えてくる。
賑やかさのつづく、今年の長野の春なのだった。
路地を掃いていれば、
元気な選挙カーの声が聞こえてきた。
日曜日は投票日だったと思い出す。











  


上田の桜を

2015年04月07日

 へこりと at 18:37  | Comments(0)
卯月 二

この春は、桜の開花が早い。
陽気の好い日がつづき、夏日のような日もあって、
名所でそろって開いてしまった。
陽当たりの好い氏神さんの桜も満開になり、
ときどきひと気のない路地に入ってきては、
眺めていく人もいる。
電車に乗って、上田へ出かけたのだった。
駅を出て、ほそい道を歩いていけば、
上田高校の、趣きある御門の前に桜が咲いていた。
真新しいランドセルを背負った男の子が、
きれいな身なりのお父さんとお母さんと歩いていく。
清明小学校の入学式で、
晴れやかな顔の親子連れが、つぎつぎと門をくぐって行ったり、
記念写真に納まっている。
校庭の桜も、きれいに咲いて迎えていた。
上田城跡公園では、入り口のソメイヨシノが満開だった。
城門前のしだれ桜を見上げたら、
すでに葉桜の気配が始まっていた。
公園では、カメラを持ったおじさんたちが、
好い位置を探しては、お堀のむこうの桜を撮っている。
テキ屋のおじさんたちが、
千本桜祭りに備えて、あちこちで屋台を組み立てていた。
にぎやかな昼夜通して、稼ぎどきとなるのだった。
年季の入った野球場に、
陸上競技場の土手にも桜が咲いて、
ゆっくりと上田の桜を愛でた。
昼どきを見計らって、しずかな住宅街を歩いていく。
真新しいかばんを背負った女子中学生が、
二人で仲よく、笑いながら前を行く。
原町の太平庵でひと休み、
サッポロのラガーを飲みながら、お昼のニュースを見れば、
今日は、県内の小学校で入学式が行われましたと、
近所の城山小学校が映った。
いっちねんせーになったーらー、
ぴかぴかの子供たちの元気な歌声に、
なんだかこちらも楽しくなった。
待ちに待った春だった。
すいません、きく盛り、お燗でおねがいします。
昼酒の拍車もかかるのだった。



  


春が来て

2015年04月03日

 へこりと at 12:03  | Comments(4)
卯月 一

とんとん拍子に春が来た。
向かいのお宅の庭からうぐいすの声がひびき、
今年は鳴きはじめが早い。
善光寺の境内と、近所の家の庭先の梅が咲き、
さわやかな香りが流れてくる。
新年度、中学から高校へ、高校から大学へ。
無事の進学を果たした子供たちがいてめでたい。
山登りの好きな友だちは、
南アルプスを望む町から、北アルプスを望む町へ転勤になった。
春先、残雪の山並みを眺めながらの通勤となる。
教師をしている友だちは、校長先生になって、
野沢温泉村の小学校へ赴任するという。
旨い野沢菜と地酒と、湧き出る温泉の毎日を過ごせるのは、
うらやましいことだった。
北陸新幹線が開通して、長野駅が大きくりっぱになった。
駅ビルにも、雑貨や洋服のおしゃれな店に、
土産店や飲食店が出来て、にぎわっている。
信州の日本酒とワインを扱う酒屋も入ったというから、
さっそく足を運んでみた。
広い店の真ん中に、立ち飲みのカウンターがあり、
飲み屋へ行くまでの時間つぶしに都合が好い。
壁ぎわには、銘酒の瓶がずらりと並んでいる。
眺めは壮観ながら、常温の中、
頻繁に売れなければ味が劣化してしまう。
酒好きは、いらぬ心配をしてしまうのだつた。
この春、善光寺では、七年にいちどの御開帳が開かれる。
絶対秘仏の御本尊に代わって前立ち御本尊が披露され、
たくさんの参拝客が訪れる。
本堂の前に回向柱が建てられて、
前立ち御本尊と善の綱で結ばれる。
柱に触ってお祈りすれば、
御本尊の御利益をいただけるのだった。
四月五月の二か月、ふだん静かな門前町が、
人と車でごった返す。馴染みの蕎麦屋さんがたも、
嵐のようないそがしさになるから、
休日、ゆっくり昼酒のひとときが出来なくなるのは、
残念なことだった。
四月初日、久しぶりに、小雨ぱらつく天気となった。
氏神さんの階段を上がったら、桜の木の枝先で、
蕾がひとつ開いていた。あちこち満開のときもどうやら早そうで、
花見の算段に気もそぞろになるのだった。
春をむかえる喜びは、年々深く増している。