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温泉ぶらぶら

2013年10月30日

 へこりと at 16:02  | Comments(0)
神無月 十

その日、火付盗賊改方長官・長谷川平蔵は、
はるばるしなの鉄道にゆられて、
温泉街の見回りへと出むいたのだった。
ってな気分で、戸倉上山田を散歩した。
戸倉駅から歩いてゆけば、風がつめたいものの、
からっと秋晴れの陽気が気持ち好い。
大正橋から見わたせば、
秋の陽射しにきらきらと、千曲川が流れてゆく。
遠くの山並みの空には、
ぽっかりのどかな雲が浮かんでいた。
笹屋ホテルの入口から車が出てきて、
女将さんと従業員が、手を振って見送っていた。
上田館の前にバスが停まって、
ぞろぞろと、
おじいさんやおばあさんが降りてくる。
せまい路地に立ち並ぶスナックや食堂は、
戸を閉ざしたままで、道すがらあちこちに、
廃業したホテルや旅館の建物が残っている。
小高い山の中腹に、
廃墟になったおおきな白いビルもあり、
盛りをすぎた温泉街のわびしさがある。
ひと休みにと、日帰り施設の瑞祥に立ち寄った。
風呂代六百五十円が、
秋の感謝セールで五百円になっている。
午前の、人影すくない浴場で、
のびのび手足を伸ばして湯に浸かる。
さっぱりとして、抜けた通りの角の、
ラ・パン・エレガントに入ったら、
昼どきを前に、そろいの制服の女性たちが、
いそがしそうにパンを焼いていた。
ウインナーパンをかじりながら、
広い通りをゆっくりと行く。
太陽が、目の前の三角お山の頭上にまぶしい。
コメリをすぎて西友をすぎると、
じきに蕎麦屋のひぐちさんが見えてきた。
テーブルが四つだけのちいさな店は、
愛想の好いご夫婦が営んでいる。
BGMのない静かな店内で、蕎麦味噌をつまみに
ゆっくりと燗酒二合を酌む。
締めにいただいた、
二八と十割の相盛りのせいろは、
細打ちの美味しい味だった。
帰り道、あてずっぽうに歩いていたら、
鶴の湯の前に出た。
酔い覚ましにともうひと風呂と入ったら、
こちらは秋の感謝をしてなくても、
お代が二百五十円と安い。
温泉施設も、それぞれ、
値段も湯の按配もいろいろなのだった。
温泉で温まって、昼酒を酌んで。
さびれた風情も、この歳になると妙に馴染む。
手近なぜいたくを楽しんだのだった。









  


人の振り見て

2013年10月24日

 へこりと at 16:35  | Comments(0)
神無月 九

秋も深まり、日々ますます酒が旨い。
今年は家飲みで、馴染みの飲み屋で、
伏見の澤屋まつもとを酌むたびに、
以前よりきめが細かくなったと、
好い印象を抱いている。
酒屋の峯村君が扱いはじめてから、
この銘柄との付き合いも長い。
この時期、燗上がりするのも好いことで、
毎晩の楽しみになっている。
ワインの会に出かけた。
飲み友だちが主催のイベントで、
会場へ出むいたら、
テーブルに、赤白いく種類のワインが並べられ、
顔見知りの、
ソムリエのかたがワインを配っていた。
あいさつをして、グラスにワインを注いでもらい、
料理の盛られた皿を受け取る。
同行した友だちと、味の感想言い合いながら、
ワインも旨いし料理も旨い。
それだけに、ちょいと興ざめしたこともある。
ちいさなワイナリーの希少なものだったのか、
グラスにワインを注ぐとき、
目の高さまでボトルとグラスを持ち上げて、
よけいに入れぬように、
じーっと見つめながら注いでいる。
理科の実験じゃあるまいし。
精通したかたらしく、すっとした手さばきで
にこにこ注いでくれたなら、
ワインの味わいも増すのになあ。
黒いベストの左胸にきらきらと、
ソムリエの証しのぶどうのバッジ。
かっこうとはうらはらに、
なんとも野暮な仕草だった。
自らお客に話しかけるわけでもなく、
楽しんでもらおうという感じでもない。
ひととおりワインの説明をしたら、
ほどなく先に帰られた。
頼まれたから義理でやってきた。
そんな感じと、うしろ姿を見送った。
以前、
個人的に付き合いのあったかただった。
付き合っていくうちに、
存外けちなかたと印象を受け、縁が遠のいた。
あの注ぎ方に柄が出ていたなあと
思い当たるのだった。
りっぱな身なりをしていても、
ふだんの柄の在りかたが表に出る。
ひと様に、
気持ちの自腹を切ることを忘れると、
知らずに仕草が雑になる。
お前はどうなのだと問われれば、
まだまだ甘い。特に酔ったときの仕草は、
輪を掛けていただけない。
とどのつまり、
他人の振り見て我が振り直せなのだった。

  


着物の展示会

2013年10月23日

 へこりと at 14:00  | Comments(0)
神無月 八

休日の朝、メールが来た。
着物好きの友だちから、
展示会に行きましょうとのお誘いだった。
よろこんでと返事をして、
おおきな呉服屋さんへと出かけた。
待合室に通されて、
まずは、旨いお菓子とコーヒーでもてなされる。
つぎからつぎへと入ってくるお客さんは、
年配の女性がほとんどで、
なかには着物姿のかたもいる。
じきに、担当してくれる着物姿の男性が
あいさつに来て、
会場を案内してくれた。
最初に見せてもらったのは、
京都の絞り染めの反物の数々で、
作り手の先生もお見えになっていた。
絞りを作る道具もあって、
せっかくだからと作るさまを見せてくれる。
ひとつの絞りを作るのに、四回糸を結ぶという。
ひとつの反物に仕上げるのに、
それを十四万回繰り返すといい、
おそろしく手間と根気のいる技に感嘆した。
数ある中から、
目に留まった柄を羽織らせてもらったら、
生地の光沢と色合いの鮮やかさに、
みごとに我が身の成りが負けている。
伝統文化を着こなすのも、
容易なことではないのだった。
つぎに、大島紬をはじめとした、
各地の紬を見せてもらった。
紬はもともと、
質のよくない綿から作られた生地で、
昔は普段着に使われていたという。
それゆえ、手紡ぎの高級品であっても、
今でも結婚式などの、
晴れの席には向かないといわれている。
このごろは祝いの席も、
昔に比べてずいぶんと簡素になっている。
高級感と素朴さのある紬は、
そんな宴には、
おしゃれで好いのにと思ってしまうのだった。
好い品をたくさん見せていただいて、
お金を貯めて買いに来ます。
感じ好く応対してくれた男性にあいさつをして、
店をあとにした。
帰り道、
昼飯にとちかくの蕎麦屋の暖簾をくぐった。
今しがた目にした反物や、
作り手のかたの話を思い出しながら、
丸なすの辛し漬けで燗酒を酌めば、
気持ちが端正にゆたかになる。
上田紬に結城紬、
一枚づつでいいから欲しいものですなあ。
ふところ具合も忘れて妄想してしまうのだった。



  


長野の酒メッセ

2013年10月19日

 へこりと at 10:14  | Comments(2)
神無月 七

十月中旬、
駅前のホテルで日本酒のイベントが行なわれた。
県内のお蔵さんが集まって、
それぞれの味を利かせてくれるのだった。
仕事を早めに終いにして、
着物に着替えてそそくさと出かけた。
二千円の会費が、
前売り券を持って行くと五百円引き、
着物を着てゆくと、さらに五百円引き。
千円で好きなだけ酌めるのは、
ありがたいことだった。
利き猪口をいただいて、
まずは、すっかり味の好さを知っている、
顔なじみのお蔵さんのブースをまわる。
まわりながら、声をかけたりかけられたり。
付き合いのある、飲み屋さんに酒屋さん、
うわばみの輩のかたがたもしっかりと来ていた。
このたびは、日ごろ口にする機会のない、
お蔵さんの味を利いてみようと思い立った。
きれいと感じたり雑味を感じたり、
あるいはおなじお蔵の酒でも、
合うものと合わないものもあり、
個々のお蔵さんの個性がある。
印象に残ったのは、伊那の大国という銘柄で、
インパクトはないものの、ゆるゆる酌める、
安心感のあるやわらかさが好かった。
出品していたのは、
本醸造に吟醸に純米の三種類。
使う米は美山錦の一種類。
添加するアルコールの量や、
発酵のタイミングで造り分けているという。
石高は六十石とちいさくて、
ほとんど地元で消費されているという。
伊那は飲み屋が多いから、
なんとかやっていけてますといい、
たしかにと、ちいさな飲み屋が軒を並べる、
伊那の町を思い出した。
ゆっくり家飲みで、
一升瓶一本利いてみたい味だった。
会場で久しぶりに、
湯川酒造の尚子さんとお会いした。
酒造りにたずさわる女性のかたがたが、
そろいもそろって美しいのも、
信州の自慢なのだった。
秋深く、これからどこのお蔵さんも、
本格的な造りの季節に入ってゆく。
知り合いの杜氏さんが、
まだ米が入ってこなくてと心配そうな顔をしていた。
不順な天気がつづいた今年、
米の出来はいかほどなのか、
造りに余分な苦労がないようにと願う。
どのお蔵さんも、無事の造りができますように。



  


秋祭りもおわって

2013年10月18日

 へこりと at 11:25  | Comments(0)
神無月 六

毎年十月十六日は、住んでいる、
東之門町の伊勢社の秋祭りが行なわれる。
夏の終わりから始まった、
長野市のあちこちの神社の秋祭りも、
これですべて終いとなる。
二日前の祝日の朝、青年部の、
青年にはほど遠いおじさんたちで手分けして、
神輿を組み立て、のぼり旗を立て、
提灯をぶらさげる。
運わるく、台風が来ているといい、
天気だけが心配と言いあった。
ところが案の定、前日の夜から雨風やってきて、
翌朝も、はげしく窓ガラスをたたいている。
神輿、だめかなあと、
ため息交じりの当日をむかえた。
それでもお昼をすぎたころ、
うまい具合に雨足がよわくなり、
陽も射してきた。
胸をなでおろし、なごりの小雨の降る夕方、
神社に集まり準備をする。
神輿のブルーシートをはずし、
テントをはって机を並べたころ、
ぽつりぽつりと、
神輿を担ぎに男衆女衆が集まってきた。
毎年あちこちの町から、たくさんのかたがたが
手伝いに来てくれるのだった。
拝殿前で宮司さんにお払いをしてもらい、
今年の神輿が動きだす。冷えこんだ夜空に、
わっしょいわっしょいの掛け声がひびき、
町を練り歩く。
一軒一軒立ち寄って、
木遣りをうなってご祝儀をいただく。
神社に戻ってきたら二礼二拍一礼して、
締めの花火もきれいに上がり、
今年の秋祭りが無事に終了した。
次の朝早く、
ランニングにと表に出たら、空気が冷たい。
折り返し、丹波島橋の上から目をやれば、
飯綱山のてっぺんに雪が積もっていた。
祭りのおわりといっしょに、
この秋の終わりも見えるのだった。




  


見かけに出るもの

2013年10月16日

 へこりと at 10:16  | Comments(0)
神無月 五

近所に、宿泊業を営んでいる奥さんがいる。
白い髪をきっちり短くして、
着ている服のセンスも好く、こざっぱりとしている。
はるか遠く、南の町で生まれ育ったかたで、
おおらかな人柄が話しぶりにうかがえる。
気の利かない嫁さんの話しをするときも、
怠けものの従業員の話しをするときも、
おっとりにこにこと話すから、
聞いていてもいやみがない。
食べることが大好きで、あちこちの店に行ったり、
御自身でも料理をまめにしたり、
いつぞやは、絶品のトマトのスープをいただいた。
外人のお客さんもときどき来るといい、
そんなときは、車で近くの温泉まで連れて行くと
喜ばれるという。
値段を越えたサービスをさらっとこなすのも、
人柄の好さなのだった。
長い間、お客さん商売をしていてよかったのは、
ひと目見れば、
相手の人柄がわかるようになったことだという。
同感ですとうなづいたのは、
我が身の出来のわるさも含めて、
人柄というものは、
外見に出るものと思っているからだった。
目さばき手さばき言葉さばき、
初めてお会いしたときに、
ちくりと引っ掛かりがあるかたは、
ひとつの縁と付き合いをつづけても、
大なり小なり、
あと味のわるさを残して切れていった。
そのたび、かりかりいらいらしたものの、
それも我が身の未熟さと悟り、
今在る縁を、
ほどよく淡々と風通し好くとこころがけている。
十月、長野市で市長選がある。
この間まで市長をされていたかたは、
時代劇でいうならば、
お前もワルよのお、越後屋~、とほくそえむ、
わるい家老の役がよく似合う顔つきと、
テレビで見るたびに感心していた。
このたび立候補されたかたがたの志しが、
写真といっしょに載っていた。
無礼を承知でいわせてもらうなら、
けちで人にきびしそうだなとか、
傲慢そうだなという顔つきのかたもいる。
人柄と政治の営みが、
比例するものではないとわかっていても、
人が人をえらぶのだから、
気持ちにむりなく馴染むかたに、
一票を投じたい。
顔つきといえば、お前は酔っぱらうと、
魚の腐ったような目つきになると、
母にいわれたことがある。
そればかりはもう直せませんと、
なさけないのだった。

  


致せずに

2013年10月10日

 へこりと at 18:22  | Comments(0)
神無月 四

十月上旬、飲み会がつづき体が重い。
今月はこのあと、おおきな日本酒のイベントと、
ちいさなワインのイベントと、
馴染みの店の日本酒の会がある。
体調をくずさぬよう、気をつけなくてはいけない。
月にいちど、定例の集まりがある。
持ち回りで幹事を引き受けて、
一献のひとときをすごしている。
そろいもそろって、男やもめのひとり身ばかりで、
こんなことではいけないと、
恋愛を致しましょう、婚活を致しましょう、
結婚を致しましょう、
励ましあって、幸せな暮らしを致しましょうと、
致すの会と銘打って始めた飲み会だった。
ところが、もうずいぶんと経つのに、
だれも浮いた話のひとつもなく、
幸せな報告を聞くこともないまま、
あいかわらず、
しょぼい面をつき合わせている。
すっかり致せない会になっているのだった。
焼肉が好物のよういちろうさんがいるおかげで、
焼肉屋で酌み交わす機会もあって、
今月は、旨い店と人づてに聞いた、
上田のくろひつじさんまで、はるばる足を伸ばした。
上田の町は以前から気に入りで、
何度か飲みに伺ったことがある。
くろひつじ松尾坂店は、
駅から最初の信号の角にある。
乾杯をして、さっそくジンギスカン三人前と、
旨いと評判のラムチョップを注文した。
よういちろうさんに焼いてもらい、ほおばれば、
脂の抜けの好い味わいは、胃ももたれず
箸がすすむ。
久しぶりの上田の友だちも加われば、
彼女できた?と突っ込まれ、
良いひとはいませんかねえ、
せつない願いが、肉の煙にまぎれてゆく。
追加の肉もたいらげて、帰り道、
戸倉の温泉で汗を流して酔いを醒ました。
ひとり身どうしで楽しくつるんでばかりいるのも、
恋愛願望に今ひとつ、
いきおいがつかない原因かもしれないと
思いあたるのだった。


くろひつじさんから拝借。m(__)m  


呉服屋さんで

2013年10月08日

 へこりと at 14:54  | Comments(0)
神無月 三

駅前の呉服屋さんへ出かけた。
展示会の知らせが届いたのだった。
着物は高価なものだから、
そうそう手は出せないものの、足を運び、
染めを見て織りを触り、
問屋さんの話を聞かせてもらえば、
和の文化、すばらしいですと、
そのたびに思うのだった。
店内を、顔なじみの専務さんに案内してもらえば、
色とりどりの反物がずらりとならび、
まぶしい。
目にとめた薬草染めの反物は色味がふかく、
柔らかく張りのある生地は、さわり心地が好い。
値段もさぞかしと値札を見たら、
案の定、バイク一台余裕で買える額だった。
ところが、担当のお兄さんが、
ここまで安くできますと、
電卓をたたいて見せた金額は、
値札より、いきなり十万円も引いてある。
世の中にわからないこと多々あれど、
この、着物の値段のしくみもわからない。
なぜいきなりそれだけ値引きできるのか、
ならば、もともとの原価はいくらなのか、
染めや織りの手間賃はいかほどなのか、
いちどくわしく聞いてみたくなる。
ふだん着るならと、
専務さんが出してくれたのは、
会津木綿の反物だった。これなら、
ふところ具合がさみしい身も手が出せる。
気に入りの柄をひとつ選んで、
仕立ててもらうこととした。
九月の中ごろに上田へ出かけた。
地元の作家さん三人の、
紬の展示会があったのだった。
会場の老舗のゆたかやさんへと行けば、
あんずやくるみ、
地元に馴染んだ染料で染められた着物が
飾ってある。
同年代のかたの織られた上田紬は、
高級感のなかにも、親しみやすい素朴さがあり、
ふだんの暮らしにも馴染むと見えた。
後日、ゆたかやさんからはがきが届いた。
このたびは、
紬展に来てくださりありがとうございました。
とあって、
お着物似合いそうです。
ぜひ着てくださいねと直筆で書いてある。
初心者のつたない問いかけにも、
ていねいに受け答えをしてくれて、
楽しいいっときを過ごさせていただいた。
上田へ出向いたら、
折々足を運んでみたくなったのだった。

  


秋の夜長に

2013年10月06日

 へこりと at 15:23  | Comments(0)
神無月 二

味覚の秋になり、酒も肴もますます旨い。
休日の朝、近所の喫茶店に出かけたら、
よかったら召し上がれと、
ママさんが松茸をくれた。
今年の初物に感謝して、晩酌が楽しみになる。
秋の夜長を、ゆっくりひとりで酌むも好し、
馴染みのかたと酌むも好し。
このごろご無沙汰つづきのかたもいて、
そろそろ、宴の席をもうけたいと気になっている。
久しぶりのかたと酌み交わした。
二歳の男の子のお母さんで、
子供を産む前は、
しばしば一緒に夜の町を徘徊していた。
子育て第一の生活になり、毎日がいそがしい。
月にいちど、旦那さんに子供を預けて、
飲みに出るのが楽しみになっている。
そんなときに、きまって声をかけてくれるのは、
おたがいの立場が変わっても、
縁を変えないこととありがたい。
ひ魯ひ魯さんのカウンターで、上等な刺身で、
伯楽星と澤屋まつもとを酌みあった。
次の日、これまたひさしぶりの友だちと会う。
付き合いのいちばん長い友だちで、
知り合ってから、かれこれ四十年になる。
そもそも、これほど日本酒におぼれる身に
なったのも、この友だちが、
仕事で出かけた宮城の地酒を買ってきたのが
きっかけだった。
日本酒、
こんなに美味しいものなのですねと開眼してから、
あまたの銘柄を酌み交わしてきた。
この日はべじた坊さんのカウンターで、
野菜と魚の南蛮揚げとパスタとしらすおろしで、
十四代と貴と十九に米川、田光を酌みあった。
ひと様との縁のありがたさが、
一年一年身に染みる歳になっている。
ひとりで杯を傾けていても、
たいていだれかのことを思い出している。
好い付き合いのご縁に恵まれたこと、
いちばんの酒飲み冥利なことと思うのだった。

  


スペインのビール

2013年10月02日

 へこりと at 14:06  | Comments(0)
神無月 一

東京の知り合いから電話がきた。
めずらしいスペインのビールが手に入ったという。
おすそ分けに、一本送ったとの知らせだった。
以前、長野で焼き鳥屋をしていた御主人だった。
東京へ帰って十年余り、すっかりご無沙汰なのに
思い出しての気配りがうれしい。
さびれた鶴賀の通り沿いで商いをしていた。
L字のカウンターに、
テーブルひとつに入れ込みひとつ。
背の高い男前の御主人で、
おなじく背の高い美人の奥さんと営んでいて、
カウンターの端っこでは、ひとり娘の愛ちゃんが、
いつもおとなしく宿題をしていた。
塩かげんの好い焼き鳥と、
自家製ドレッシングのかかったキャベツで一杯。
最初の一軒目に伺うこともあれば、
はしご酒の締めに伺うこともあり、
あの頃、いちばん足しげくかよっていた。
実家の都合で東京へ戻ってからは、
もっぱら、
年賀状のやりとりだけの付き合いになっていた。
カウンターで酌みながら、この御夫婦の子供だから、
きれいになるぞと思っていたら、
案の定、年々美人になっている愛ちゃんに
毎年見惚れる新年早々になっている。
その愛ちゃんも,もう二十歳になるというから、
時間の経つのがほんとに早いのだった。
次の日ビールが届く。
説明書きに、三ツ星レストラン、エル・ブジの
フェラン・アドリアシェフチームと、
ビール会社のダム社が共同開発した。
原料に、大麦麦芽と小麦にオレンジピールに、
コリアンダーとホップと酵母を使用し、
ラガービールとホワイトビールの醸造法を
組み合わせた。
まさに、世界のセレブを迎えるためのビールとあった。
六畳ひと間の晩酌は、
セレブとはずいぶんかけ離れているが、
栓を抜くときは、
いつもよりぜいたくなつまみを用意するときめる。
好意をくれたかたとの昔を思い出しながら、
ゆっくりといただきたい。