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あたらしい店

2013年01月31日

 へこりと at 16:55  | Comments(0)
睦月 十一

古い町で暮らしている。
小学校下の空き家に、工事の人の姿を見かけるようになった。
空き家には、以前おばあさんがひとりで暮らしていた。
低く太ったかっこうでゆらゆら歩いているのを見かければ、
すぐにあしざわさんのおばあさんとわかる。
まだ氏神さんの階段下に銭湯があったころ、
開店時刻の三時半、いちばん風呂はゆずれない。
だれよりも先に、ゆうゆう熱い湯に浸かるのが好きだった。
湯の温度はおばあさんのご希望で、いつも四十七度だった。
町内の馴染みの蕎麦屋では好みの席がきまっていて、
先客がいると、あたしの席だからどきなさいとやっていた。
いちどそれを知らずに、おばあさんの席で昼酒を酌んでいたことがあった。
入ってきて、困ったような顔をしてとなりの席に座ったのを見て、
蕎麦屋の旦那さんが教えてくれて知った。
おまけに、お先にと帰る姿を見送ったあと、
これあしざわさんからと日本酒の小瓶一本差し入れてもらい、
赤ん坊のころから見知っている若輩者への気づかいがありがたかった。
太っていてもやせる気などさらさらなく、食べることが大好きだった。
町内の集まりの宴の席では、箸を休めることなく、
食べきれない他の人のお膳もたいらげていた。
夕飯どき、となりの家からカレーの匂いがしてくれば、
あたしにもよこせと出向いていた。
体の重みが負担になって歩けなくなり、
施設に入ったあとに体調をくずして逝ってしまった。
あくのある人柄も、夏の夕方、いつもシャツ一枚で家の前に座り、
でっぷりと夕涼みをしていた姿も、今ではすっかりなつかしい。
このあいだ顔なじみの設計士さんに会ったら、
今からおばあさんの家に行くという。
古い外観はそのままに、若い人の営む店にするというからおどろいた。
店がなくなり住人がいなくなるのが常々のところだから、
あたらしく人が来て店を開くというのは、
新年早々、東之門町最大のニュースなのだった。
店は和のお茶飲み処で、鯛焼きならぬ鯉焼きという菓子を売りにするという。
近所のかたの寄り合い場所になるかなと今から楽しみになる。
開店したあかつきには、あたしにも食べさせなさいと
おばあさんが現れそうな気がしてしょうがないのだった。

  


ひまを持て余して

2013年01月29日

 へこりと at 14:55  | Comments(0)
睦月 十

休日の朝、雪が止んでくっきり晴れてきた。
前の晩は男やもめのかたがたと、我が家で色気のない酒を酌み交わした。
年上のかたは、このごろ気持ちが不安定でいけないといい、
明日はお医者に診てもらうという。
思うままにならない仕事のストレスに、よりどころのない
ひとり身のさびしさが輪をかけているのではと話したのは、
思いあたるふしがあるからだった。
澤屋まつもとの一升瓶が空になっても、夕べは記憶をなくさなかった。
なごりのままのグラスや皿を洗い、ゴミを片付け掃除をしてから
ひさしぶりのランニングをと町へ出た。
青空を眺めながら走るのは気持ちが好い。
いきおいよく流れてゆく裾花川の川面がまぶしく光っている。
ひと汗かいて戻ってくれば、今日は善光寺にもお客の姿が多い。
ひと風呂浴びて、母からの頼まれごとを片付けてから、散歩に出た。
善光寺下の通りを下りていったら、おおきな通りの東側に
あたらしいコンビニが建ちはじめていた。
もう一軒、別のコンビニもできると聞いたから、
しらふな景色がにぎやかになる。
おおきな通りの西側でコンビニを営む友だちが、
あっちのお客さんが来なくなるなあと心配していたから
ますますもってひいきにしなくてはいけない。
きらくさんに立ち寄って落ちつけば、かわいたのどにビールが旨い。
牡蠣フライをつまみにゆるゆると、岐阜の竹雀と栃木の大那と
佐賀の東鶴を酌んだ。
東鶴を口にしたのは二回目だった。
色気のあるラベルのセンスがなかなかに好い。
ほどよく酔って店を出て、酔いざましにぶらぶらとした。
ひと気のない住宅街をぬけ、鶴賀の通りをぬけてゆく。
飲み屋の町の昼間の静けさには、男やもめにつうじる侘しさがある。
中央通りを上がった先で、帰るにはまだ早いと、
蕎麦屋の大丸さんの暖簾をくぐり、またひっかけてしまったから
ぜんぜん酔い覚ましの意味がない。
休みになるたびに、晩酌までの昼間の時間を持て余して、
ふらふらばかりしているのだった。

  


遺伝つくづく

2013年01月25日

 へこりと at 12:17  | Comments(2)
睦月 九

母から電話がかかってきた。
お父さんがたいへんなのとひそひそ声でいう。
かかり付けのお医者で健康診断をしたら
白血球の数が異常に多くなっている、
日をおいて、もう一度くわしく調べると言われたという。
御年八十二歳になる父は、毎日煙草を切らすことなく
欠かさず五合の酒を酌んでいる。
それでもときどきお医者で診てもらえば、いたって健康そのもので、
そんな調子で自信を持っていたから、再検査と言われたのは
本人にしてみれば深刻なことだった。
歳を考えれば、おかしいとこが見つかっても不思議はないのに、
今夜は酒も飲まずに、こたつでちんやり落ち込んでいるという。
若いときから酒道まっしぐらの人だった。
毎日の午前様はあたりまえで、いつも母の怒りを買っていた。
飲みすぎてころんで、額を割ったり歯を折ったり、
階段から落ちて腕を骨折したりしては心配をかけていた。
いちばんあぶなかったのは、
雪の降る晩に、県庁前の川に落ちて意識をなくしたときで
通りかかったわんこと飼い主のかたが見つけてくれなければ
今ごろ三十三回忌の法要をしていることになっていた。
さすがにそのときは本人も申し訳ないとあやまって、
もう酒はやめると言っていたくせに、
病院から退院してしばらくしたら、もとの生活に逆戻り、
母の小言をどこ吹く風とかわしながら、今日まで杯をかさねている。
しばらくして、様子をうかがいに実家へ顔を出したら、
なんのことはない、ごきげんな様子で酔っている。
聞けば風邪のひきはじめが原因で、薬を飲んでおとなしくしていたら
すっかりいつもの調子に戻ったという。
台所の母に声をかければ、おおげさにおちこんじゃって。
心配したり風邪をうつされたりこっちはたまったもんじゃない。
今夜だってずいぶん飲んだのよと文句をこぼす。
たしかに、かたわらの頂き物の久保田の一升瓶がずいぶんと空いていた。
元気になったのはなによりのこと、それにしてもとふり返る。
親のなさけないところばかりそっくり受け継いでいると
今さらながらに実感するのだった。



  


おでんぼちぼち

2013年01月23日

 へこりと at 16:04  | Comments(2)
睦月 八

朝から一日雨降りの日、めずらしく冷えこみもゆるんだ。
このまま春へいかぬものかと思ったのは、
まだ二月の寒波が来る前というのに、気の早いことだった。
行きつけのおでん屋の女将さんが亡くなってから、
もうすぐ四十九日をむかえる。
ついこの間のことと思っていたのに、時間のたつのが早い。
店には元気だった頃の写真が飾られて、
変わらずだらしのない酔っ払いを見守っている。
店に伺ったらビールの栓を抜く前に、
おくの部屋の位牌に手を合わせるのをわすれない。
女将さんがいなくなったあと、
手伝いに来ていた息子さんがそのまま商いを引きついでいる。
カウンター五席、入れ込みひとつのちいさな店は
顔なじみの常連さんたちのくつろぎ場所になっている。
女将さんの人柄に惹かれて来ていたかたがたが
そのまま足を運んでいるのは、
お母さん譲りの、息子さんのおおらかな人柄のせいと
よろこばしいことだった。
店が休みの日、息子さんと飲みに出かけた。
酌み交わしながら話を聞けば、慣れぬ客商売、
なかには苦手なかたもいてという。
よくよくうかがえば、なるほど無理もないと合点がいく。
息子さんは長い間放浪の旅をしていて、あっちの国こっちの国、
北の町に南の島、さまよい歩いていた。
またいつ店を閉めて行方をくらますか、
半年の客商売のストレスに旅へ出てしまわぬか、
それが気がかりごとだった。
ところが眺めていれば、おでんの味の染み具合を気にしたり、
ときどきメニューにあたらしい品が載ったり、
キリンを好むお客が多いからと、ビールをキリンに切りかえたり、
日本酒の銘柄をもうひとつ増やしたいですと
うれしいこともいうものだから、
店を開いていることがまんざらでもないようなのだった。
これであと、このまま妙齢の美しい女性と恋におちれば
すっかりこの地に足も落ちつくのにと
おせっかいな思案をしてしまうのだった。
息子さんは、いずれは山の中で暮らしたいという。
子供のころ、鬼無里の自然の中で育ったから、
山には馴染みの好さがあるのかと思う。
それまでは長々さみしいヨッパのかたがたのため
商いよろしくお願いします。


  


ごちそう感謝。

2013年01月19日

 へこりと at 13:34  | Comments(0)
睦月 七

ひとり暮らしをしていると、食事がまずしい。
近所のコンビニでおなじものばかりを買ってきては
酒の肴にしている。
歩いて十分ほどのところに実家があって、
ときどき母が煮物やサラダを持ってきてくれる。
行きつけの飲み屋で、飲み仲間のかたにカレーをいただいた。
石川生まれのそのかたの、地元で有名なチャンピオンカレーだった。
家でカレーを食べるのはいったいいつ以来なのか。
酩酊していて、ろくなお礼も言わなかったと申しわけがない。
ぴかぴかの新米をいただいたこともある。
あきたこまちのしっとりとした甘味は、土鍋で炊けばさらにおいしい。
成人学校でハングル語を学んでいる知り合いがいて、
韓国人の先生に、キムチの作り方を教わったからと持ってきてくれた。
市販のものよりやわらかい味付けで、にんにくも効いているから
休みの前の日の晩に、ビールのつまみにいただいている。
善光寺に軒をつらねる宿坊に、ユースホステルを営んでいるお宅がある。
そこの奥さんもときどき訪ねてきてくれる。
遠路はるばる、四国の松山から嫁いでこられたかたで、
南で生まれ育ったかたらしく、人のあたりにかどがなくやわらかい。
娘が文句ばかり言うことや、
期待して行った中華料理の店の味がよくなかったことや
長年勤めてるお手伝いさんがこのごろすっかりくたびれてきたことも
笑顔でおっとり話すから、こちらもおっとりおっとり聞けて好い。
先日訪ねてきてくれた帰りぎわ、鍋を貸せという。
しばらくしたらいっぱいのボルシチを入れてきてくれた。
いっしょに袋いっぱいの朱色の実も持ってきてくれた。
松山にある興居島の、無農薬で作ったみかんだと教えてくれた。
その日の夜と次の日の朝、たっぷりのボルシチを堪能して
すっかり腹もふくらんだ。
食後に食べたみかんは実もおおきく、南の島のおおらかな味がした。
気ままなひとり暮らしも、
まわりにいるかたがたのちいさな好意に支えられている。
ありがたいことと思うのだった。


  


寒日しみじみ

2013年01月17日

 へこりと at 17:09  | Comments(0)
睦月 六

寒さにすっかり負けている。
朝の五時、携帯電話のアラームが鳴っても、
二度寝の合図とばかりに寝返りをうっている。
年明けから、右の奥歯が疼いて調子がわるい。
さいごに歯医者に行ったのは、十五年ちかく前のことだから
虫歯になっていてもおかしくない。
それでも、できれば歯医者は行きたくない。
歯ぐきから血が出て困っていた知り合いがいた。
インターネットで調べたら、豆腐を食べると効果があると出ていたから
二週間食べつづけたら、ぴたっと治ったと話してくれた。
おなじ調子で虫歯も治らぬものか。
豆腐は酒飲みのよき相棒だから、
それで治ればこんなありがたいことはない。
晩酌のつまみは当分豆腐にして。
歯医者とご縁できませぬよう決めこんだ。
今年の成人の日は、朝から雪降りの一日となった。
昼、友だちひいきの蕎麦屋へ誘ってもらい、
雪降る景色を眺めながら〆張り鶴を酌み交わした。
成人式を迎えたときは、母に羽織袴を着せてもらい
記念写真を撮った覚えがある。
りっぱな大人になるように。そう思いながら着せてくれたのに
あれから三十年。こんな人生を歩んでしまい申しわけがない。
もうすこしまっとうに歩いていれば、
親にも友だちにも余計な迷惑に心配かけずに済んだものを。
もはやこの先の出来ばえよくなるはずもなく、
せめて欲張らず控えめに、ゆっくりこれで往くように言いきかせている。
睦月も半ばをすぎて、夕方の陽がのびていると気づく。
近所の蕎麦屋の北野家さんで、まぐろとウニを肴に
伯楽星に酔っぱらった次の朝、
二日酔いの頭かかえて、いつものように氏神さんへお参りに行けば、
眺めた空にやわらかな気配がある。
寒い寒いと言っているうちに季節もうごいているのだった。
あとひと月もすれば、冬のおわりも見えてくる。
春の訪れを、寒さと歯の疼きをこらえながら待ってます。

  


お酒雑感

2013年01月13日

 へこりと at 17:03  | Comments(0)
睦月 五

伯楽星の新酒が好い。
特別純米の澄んだ酸味と旨みの味わいは
冷やでも燗でも飲み飽きせずいける。
気に入りの宮城のお蔵さんの出来映えが
今年もうれしいことだった。
冷えこんでいる毎日、ふところ具合も冷えびえとしているから
ふらふら散財せぬように、
こたつで丸くなりながら燗酒ばかりを酌んでいる。
年明け前は、ひんぱんに夜の町を徘徊しては
体と財布に無理をかけてじくじくと後悔ばかりしていた。
家でおとなしくしていると、それだけで清く正しい気分になれるのは
晩酌で深ぶか酔っているくせにおめでたいことだった。
世話になっている酒屋さんは、
常々のところが一軒と、ときどきのところが一軒。
どちらも跡継ぎの息子さんが
知られていない小さなお蔵さんに目をかけて
旨き酒をもとめる酒徒へと伝えているのだった。
付き合っていくうちに、造り手のお蔵さんと、売り手の酒屋さんの
心持ちの絡み具合の善さが旨い味と成るとわかる。
酒屋さんの中には、せっかくの銘柄を冷蔵庫にも入れずに
なおざりに扱っていたり、
他の酒屋さんが主力にしている銘柄に、尻馬よろしく
後追いで手を出してばかりいるところもある。
どれほどの銘柄揃っていても、世話になっている酒屋さんに比べると
お蔵さんや同業者へのおこがましさがちらついて、足を運べないのだった。
顔なじみの若い杜氏さんのブログを覗いたら、
年明け早々、頭痛に胃痛に肩こり腰痛、
最高のコンディションで仕込みをしていますと書いてあった。
ありがたいことです。
酔いのいきおいでよけいな酒の講釈言わぬよう、
今年はよくよく感謝して酌まなければいけない気持ちになる。。


  


珈琲でいやされて

2013年01月11日

 へこりと at 17:27  | Comments(0)
睦月 四

毎日珈琲を飲んでいる。
料理雑誌のdancyuの、今月の特集は珈琲だった。
あちこちの町の個性ある店や、お奨めの豆など載っていて、
珈琲好きにはおもしろい。
朝、仕事場のストーブに火をつけてやかんを乗せる。
掃除をしてから、湯の沸くのを見はからって豆を挽く。
沸騰した湯をひと息やすませてから、
その日一日の珈琲をおとしている。
仕事前に一杯、午後に一杯、
訪ねてきてくれたかたにもお出しすることがある。
六歳年上の兄がいて、高校生のときに
喫茶店でアルバイトをしていた。
ときどき豆をもらってきては、家で挽いておとして飲ませてくれた。
小学生の分際で、いっちょまえに砂糖もクリープも入れずに
飲んでいたのは、ずいぶん生意気なことだった。
そんなことが尾を引いて、若いうちからおなじように
珈琲といえば、ドリップやサイフォンでおとして飲んでいた。
スーパーやデパートで、
すでに挽いてある名の知れたブランドの珈琲を
買って使っていたときに、
知人から、栃木のちいさな豆屋さんを教えていただいた。
注文を受けてから、焙煎して送ってくるその店の豆を使ってみたら
ドリップのあわ立ちがふくよかで味わいもぜんぜんちがうから
目からうろこの驚きだった。
昨年、馴染みの飲み屋で知り合ったかたがいる。
いつもものしずかに日本酒を酌んでいる若い男のかたで、
おなじく珈琲が好きな人だった。
家業の車の整備をするかたわら、珈琲の生豆を仕入れては
自分で焙煎をしているというから気合がちがう。
御好意でいただいて淹れてみれば、
商売にしてもいいのではないかというくらいの
出来の好さで美味しい。
先日一緒に酌み合ったときも、深煎りのモカとマンデリンの
ブレンドをいただいた。
いつももらってばかりで申しわけがない。
この恩はいつか体で返します。 冗談で言ったら顔が引きつっていた。
話によれば、焙煎機もたいそうりっぱなものだという。
旨い日本酒を手土産に、拝見しに足を運んでみたい。
飲み屋の馴染みはしっかりあるのに、
美味しい珈琲の店には疎い。
町の小さな喫茶店が、いつのまにかすっかりなくなって久しい。




  


フェイスブックで

2013年01月10日

 へこりと at 12:49  | Comments(0)
睦月 三

一年あまり前からフェイスブックをやっている。
知人の近況を眺めようと思ったのがきっかけで、
自分でも書きはじめたら、読んでくださるかたが
増えてきたのはありがたいことだった。
馴染みの店の御主人やスタッフさん、
住んでいる町の界隈のかたがたや、学校時代の同級生。
飲み屋の席で御一緒した縁のかたもいて、
友だち申請をしていただいた。
たいていのかたがたは年下だから、
それならば人生を長く生きてきた身として
ためになることのひとつも伝えればよいものを、
だらしのない飲兵衛よりは、みなさんよほどしっかりしていて、
足を運んだ飲み屋のことや、酌んだ旨い酒のことばかり、
毎度具にもつかないことばかり読ませてしまうのは
よくよく申しわけのないことだった。
面識あるかたがたと友だちになっているなかで、
ときどき縁もゆかりもないかたから友達申請をいただいて、
???・・・となるときがある。
共通してるのは、二十歳前半で、プロフィールの写真を見れば
実にきれいな女性ばかりで、つばを飲みこんでしまうのだった。
ところが、そこになんの言葉も添えられていないのも共通のことで、
これはあやしい。じつにあやしい。
甘いわなにさそわれても、落ちてゆくだけの体力もなければ気力もありません。
せめて、私も日本酒が大好きで~す。
私も酔って記憶を飛ばしてま~す。
私も酔ったいきおいでラーメン屋に寄って、胃もたれで苦しんでま~すと、
添えてくれれば親近感も沸くものの、
ぽちっとお断りをするのだった。
中学校の同級生とつながっていて、
遠い町に引っ越してから、ずいぶんと会っていない。
今日は小越敏之さんの誕生日です。
開いたら教えてくれてあったから、おめでとう。いよいよ大台ですね。
お祝いメールを送ろうと思う。

  


ビール賛さん

2013年01月08日

 へこりと at 16:04  | Comments(0)
睦月 二

寒い日がつづいても、毎日ビールを飲んでいる。
ビールは気合を入れて飲む前の前菜だから
お酒のうちにははいらない。
ときどき向き合って残念な思いをすることがある。
久しぶりに入った駅前の店で、頼んでひと口飲んで
失敗した。
ビールサーバーを洗っていないから味がにごっていた。
せっかくのエビスの生なのにと、二杯目から瓶にきりかえた。
駒ヶ根の有名なソースカツ丼の店で出てきたのは
おなじく不味くて、同行したかたと顔を見合わせた。
カツは美味しいのにとつくづく惜しかった。
おおきな病院へ知り合いの見舞いに行った帰り、
近くのラーメン屋で出てきたのは泡すら立っていなかった。
こいつはかんべんしてくださいと閉口した。
幸いに、日ごろひいきにしている店は、どこも美味しいビールを
提供してくれる。
ビールサーバーを洗うのは、いそがしい間の手間だから
手を抜かずにしてくれるのは、ビール好きにはありがたいことだった。
好きな銘柄はといえば、エビスに一番搾りに黒ラベル。
エビスは、ずいぶん昔の売れていない頃から飲んでいた。
あかぬけたラベルになって、テレビのCMもたくさん流れるようになり、
すっかり知名度も上がったから、
息子の出世をよろこぶ親の気持ちで飲んでいる。
おもい病気をして旅立った友だちがいて、
見舞いに行くたびにエビスビールでもてなしてくれた。
このビールにはそんな思いもついている。
一番搾りは出始めの頃からの気に入りで、
その当時、どかどか売れていたスーパードライに敢然と
勝負をいどんだ銘柄だった。
途中で造りが変わったものの、今も好きでいる。
以前、深ぶか付き合いのあったかたが好んでいたことなど思い出し、
つくづく男は未練がましい。
黒ラベルは、この歳になり好んで飲むようになった。
飛ぶように売れるわけでもなく、
昔から控えめにたたずんでいる銘柄には、
ほっとさせる安心感があるのだった。
コンビニを営む友だちが、買い手のすくないこの銘柄を
常備仕入れてくれるのもありがたいことだった。
ビールの銘柄ひとつにもそれぞれ人との絡みがあって、
それもまた味の好さにひと色添えている。
風呂上りに飲みすぎて、体を冷やして風邪ひかぬよう。
それだけ気をつけなくてはいけないのだった。



  


年が変わって

2013年01月05日

 へこりと at 09:34  | Comments(2)
睦月 一

飲んでいるうちに新しい年も一週間になる。
大晦日の夜、家族と上山田温泉に出かけた。
ゆっくりとやわらかい湯に浸かり、
品数多い夕食の宴で腹いっぱいになり、
紅白歌合戦を見ながらにごり酒を酌んでいるうちに
つぶれた。
明けた朝、青々と晴れて巳の年の初日がめでたい。
正月の昼間は駅伝を見ながらすごしている。
元旦の実業団駅伝には、昨年まで箱根の山で
山の神とたたえられていた柏原竜二君が出ていた。
富士通の六番目、走り出せばひときわ高い声援が
沿道からわきあがる。
いっしょに見ていた母が、
今日こんなに走っちゃって、明日の箱根はだいじょうぶなのと
つぶやくものだから、
卒業したから箱根は走れないのだと説明をしなくてはいけない。
正月、歳をかさねた親と日がな一日いっしょにいると
天然のぼけにも付き合わなくてはいけないのも
子供の義務なのだった。
二日の夜は、最初の外飲みへと出かけた。
ひ魯ひ魯さんのご夫婦に、今年もよろしくおねがいします。
あいさつをして、トロとしめ鯖を肴に、伯楽星の純米吟醸で
ほどよく酔った。
いきおいづいて、べじた坊さんへとはしごして、
なめらかに記憶をなくした。
三日は夕方の早い時間からおでん屋へと出かけた。
常連さんとの新年会に、香り豊かな一年になりますよう、
岡谷の豊香の純米をぶらさげて出かけた。
すき焼き鍋をごちそうになりながら、ビールにワイン、日本酒二升、
気のおけない顔ぶれと杯をかさねて酔っぱらった。
ケの日もハレの日も旨い酒を酌み。
今年もそんな日々の積みかさねになってゆく。
つまらない思いをかかえて酌むことも多かったから、
今年はもうすこしかろやかになめらかに。
記憶あるうちのご帰還を、せつに我が身に言いきかせたいのだった。