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ランニングシューズを買って

2012年09月23日

 へこりと at 12:46  | Comments(4)
長月 四

仕事を終えたあと、ときどき町をひとまわり走っている。
汗をかいて戻ってくれば、晩酌のビールにもはずみがついて好い。
このごろは陽もすっかり短くなって、しずかな虫の音を聞きながら
町を抜けている。
使っていたランニングシューズがくたびれてきたので
新しいものへ換えることにした。
インターネットのスポーツ屋でいつもアシックスの手ごろなやつを
買っている。
再びおなじものをと覗いたら、品切れで買えないとある。
それではたまにはちがうメーカーのものでもと、
わりあい安い値段のものを選び買ってみた。
届いて履いて走ってみて、すぐにしくじったとわかる。
クッションがうすくて、ぱたぱた足に刺激がつよい。
おまけに履きごこち合わず、両足に靴ずれができて血が出てしまった。
これだって名の知れたメーカーのものなのにと、
つくづく身につけるものにも相性があると、痛さこらえて
やっとの思いで帰ってきた。
近所に住んでいる花屋の若旦那は走ることが好きで、
毎年地元のマラソン大会に出ている。
靴えらびをまちがえたと話したら、そりゃだめですと即答された。
マラソン大会のとき、参加している人たちの足もとを見れば、
ほとんどアシックスかミズノだという。
おなじアシックスでも、値段によって具合がちがうというから
早速いつも買っているものよりも値の張るシューズを買ってみた。
たしかに走り心地好く、自然とペースも上がるのに、
そのわりに足の疲れがすくないと感心した。
よくよく思い出せば高校時代は陸上部に所属して、
毎日長い距離を走っていた。
スパイクでもランニングシューズでも、タイムに差が出たり
足への負担も軽いからと、あたりまえに良いものを選んでは履いていた。
酔っぱらってばかりの毎日に、そんな若いときの経験をすっかり忘れ、
安物買いの銭失いをしてしまったのはなさけのないことだった。
次回買うときはさらに良い物選びたい。早々に決めている。




  


東之門町、北野家さん

2012年09月13日

 へこりと at 13:29  | Comments(0)
長月 三

住んでいる町のまわりには、あちこちに蕎麦屋さんがある。
蕎麦屋は大人の喫茶店と思っているから、
暖簾をくぐればまずは一杯やらなくてはいけない。
ビールでのどをうるおして、ゆっくり燗酒の杯をかたむける。
馴染みの店は、どこも昼間からの飲兵衛を邪険にしないから
まことにありがたい。
近所にある老舗の蕎麦屋の北野家さんが、夜の営業をやりだした。
夕方五時半になると朱色の暖簾がかかり、
赤提灯に灯がともる。
息子さん二人、浅草の割烹で修行をしたお兄さんが料理を作り、
弟さんが蕎麦を打ち、酒を出す。
お品書きに目をやれば、およそ蕎麦屋の域をこえている。
自家製塩辛に冷やっこに玉子焼き、岩魚に烏賊に鯵に鯛、
お刺身各種に、小鯵のからあげに自家製コロッケ、
牛のステーキにあぶりチャーシューなどなどと、
なにを頼むか迷うほどで、クリームパスタにチャーハンまで
あるのだった。
酒の品揃えも好く、ビールにワインに芋焼酎に麦焼酎、
日本酒にいたっては、松尾に十九に岩清水、
北光正宗、積善、聖山と、北信濃の若手の醸す銘柄を揃えているから、
飲むほうもずいぶん気合が入ってしまう。
蕎麦は細打ちの十割で、弟さんはこの頃蕎麦を打つのが
楽しくてしょうがないという。
朝早く、戸隠の名の知れた蕎麦屋さんへ教えを乞いに出かけたり、
一日に三軒、四軒、あちこちの蕎麦屋へ足を運んでは
味をたしかめているという。
そば粉もピンからキリまであって、
好い粉をさがすことにも余念がない。
今度妙高のやつが手に入ります。打ったら知らせます。
目を輝かせていうものだから、こちらもついつい待ちどおしい。
古い町は暮らす人もすくなくなって、お店もだんだん減ってゆく。
若い人がこうして美味しい味でくつろげる店を始めてくれるのは
近所の人のよりどころにもなるからありがたいことだった。
あんまり近すぎて、ふらっと行っては酔ってばかりいるのだけ
困りものなのだった。


  


同級会

2012年09月05日

 へこりと at 12:28  | Comments(2)
長月 二

朝夕仕事場の前を、柳町中学校の生徒が通ってゆく。
部活があるのか、ずいぶん早い時間に向かう子供たちもいて、
おなじ学び舎へ、おなじように朝早く通ったときを思い出す。
あれから三十五年。
すっかりくたびれたおじさんになってしまった。
九月最初の土曜日、中学校の同級会にでかけた。
同級生四十五人。彼岸に行った友達三人、
行方不明の友だち八人。
都合よく来られたなつかしい顔ぶれは、歳を重ねても
みんな昔のおもかげがある。
大きな企業に勤める友だちは、いつか新聞に
毎日載っていた不祥事がいまだに尾をひいていて
業績がわるいままという。
毎日新幹線通勤をしている友だちは、
家のローンがあと二十年もあるとこぼし、
そういえばもともと細い顔つきがさらに細くなっている。
卒業してから初めて会った友だちは、
山梨で大学の先生をしているといい、
まじめで頭の良かった人と思い出す。
クラスでいちばんの秀才は、つよい個性があいかわらずで、
尖閣諸島は日本の領土と、ときどき中国大使館の前で
デモをしているといさましい。
親を施設に入れたり、子供が受験を迎えたり、
病気と向き合っている友だちもいる。
日がな一日気楽にひとりで暮らす身は、守るものを抱えた
同級生のしずかなつよさに白旗をあげる。
先に帰る友だちを見送って、残ったみんなと河岸を変えて
さらに飲んで話してひとときを楽しんだ。
またこの次も、無事の再会叶いますように。
母校の校訓は 唯一心。
やっていることといえば、唯一心、毎日酒を酌むことばかりなのは
なさけのないことだった。


  


ゆるゆる温泉

2012年09月01日

 へこりと at 11:45  | Comments(4)
長月 一

この夏はことのほか暑かった。
昔は三十度を越えることもめずらしかったのにと
近所のおばあさんとこぼしている。
晩酌のビールが一本増えて、
休日の長門屋さんのかき氷通いが、すっかりあたり前になっていた。
うだる暑さに体を冷やし、夏はきまって体がだるくなる。
体をあたためて、血のめぐりを良くしたほうが
ばてないとわかっていても、
風呂に入れば、面倒くさくてシャワーだけで済ませてしまう。
それでも週に一度くらいはと、このごろは休日になると
温泉へと出かけているのだった。
ちょっと足をのばせばそこかしこの温泉に行けるのは
ありがたいことだった。
夏のはじめに訪ねた木島平の馬曲温泉は、露天風呂からの
山あいの景色にみとれた。
食堂の蕎麦とソフトクリームが美味しいとあとで知ったから
今度足を運んだときは忘れぬようにときめる。
須坂の湯っくらんどの近くには、昨年ちいさなワイナリーができた。
須坂高山地区のぶどうは質がよいというから、
これからは、温泉ともどもワインを買うのも楽しみになる。
近所の小山薬局さんに、戸倉の国民温泉いいですよと教わった。
温泉街の戸倉上山田には、地元の住人のための
公衆浴場がいくつかあって、その中のひとつだという。
八月さいごの休日に、原付バイクにまたがって
国道のいっぽん脇の道をとばした。
左に折れて大正橋をわたり、信号のひとつ手前を
右に曲がってまっすぐ行けば、
左手に素朴な佇まいの国民温泉がある。
番台で三百円を払って入れば、すでに地元のおじさんおじいさんが
湯船で世間話をしながらくつろいでいる。
交ぜてもらい体を浸せば、やさしくやわらかい当たりの湯は
肌もすべすべになり、ゆっくり疲れもとれてほんとに好い。
好い温泉に好い飲み屋に好い蕎麦屋。
これだけあれば男の天国ですとあらためて納得した。
きれいさっぱり身も心も癒されたあとは、
帰って昼のビールが待っている。
あたためてもすぐに体を冷やすから、いつまでも懲りないのだった。