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田中達也展へ

2022年09月30日

 へこりと at 09:10  | Comments(0)

長月 9

夏日のような九月最初の連休日、朝いちばんで
水野美術館へ出かけた。美術館所蔵の、日本画の
作品展が開かれているのだった。
横山大観、上村松園、河合玉堂ら有名どころの作品に
混じって、初めて目にする作家のかたの作品も
数多く展示されていた。
中でも、西郷孤月の「月下飛鷺」が気持ちに留まった。
淡い月の浮かぶ青緑の闇の中を、一羽の鷺が飛んでいる。
なんとも言えず静かな気持ちになるのだった。
自宅に戻ったら、混みあう善光寺界隈を抜けて
上田まで出かけた。新幹線で十五分、駅を出たら
長野よりもまだ暑く、じきに汗が流れてくる。
久しぶりの蕎麦屋、塩田屋の暖簾をくぐったら、
いつものように白髪のおかあさんと、明るい娘さんが
迎えてくれる。ビールを注文したら、この日のお通しは、
長いもの味噌和えとかぼちゃの煮物とほうれん草の
お浸しだった。小鉢ものをいつも三品つけてくださる
御好意が嬉しい。テレビの昼のニュースでは、
台風14号があちこちに被害をもたらしている様子が
流れている。雨風のすさまじさに、思わず
すごいなあとつぶやいてしまった。御園竹の燗酒を二本
頂いて、つめたいもりで締めた。
お会計を済ませた間際、お母さんに、
お変わりないようでなによりですと言われ、
いやいや、それはこちらの台詞です。お母さんの元気な
お姿に、こちらも元気をもらえますと笑い、
また来ますと店を出た。
飲食店の並ぶ通りを抜けて行くと、上田アリオは
買い物客で混んでいる。その先の複合施設、
サントミューゼの美術館で、田中達也展が開かれて
いるのだった。ミニチュア写真の作家さんで、
衣類や日用雑貨、食材などを使って、ちいさな景色を
作っているかただった。以前、水野美術館で
初めて拝見したときに、その発想の豊かさに
ほとほと感心をした。どれも愛嬌のあふれる作品で、
観ていくと、思わず微笑んでしまう。
美術館を出ると、夕方までまだ間がある。上田アリオの
映画館で、福山雅治主演の「ガリレオ・沈黙のパレード」
を観て時間をつぶした。コロナ禍になって、
映画館に足を運んだのは、久しぶりのことだった。
観終わって外へ出れば、好い具合の薄暮の空だった。
上田駅前の、幸村のカウンターの端っこで、
辛子なすと炙りたこをつまみに、小諸の浅間嶽と
山形の上喜元の秋酒を酌んだのだった。

ミニチュアの景色眺めて秋半ば。


  


秋の味覚を

2022年09月27日

 へこりと at 09:41  | Comments(0)

長月 8

馴染みの飲み屋へ出かけたら、品書きに
さんまの文字が載っていた。刺身に塩焼き、
いつも、安い値で肴を提供してくれるこの店にしては、
少々高い。
昨年に引き続き、今年もさんまの水揚げがよろしくないと
うかがえたのだった。
日をおいて再び顔を出したら、すこし安くなっていた。
ご主人曰く、さんま、出始めより値段が下がったものの、
昔より身が細く、脂ののりも少ないんですよねえと言う。
言われてみれば確かに。塩焼きを突っつきながら、
ここ最近のおかしな気候のせいかなあと、
うなずいたのだった。
県外に暮らす幼なじみがいる。毎年この時期になると、
自宅の庭で採れたすだちを送ってきてくれて、
今年も、艶やかな緑の実がたくさん届いた。
ひとりでは使い切れないほどで、飲食店を営む友だちに
おすそ分けをして、すぐに使う分を冷蔵庫へ、
残りを冷凍庫へ保管した。晩酌の折りに、肉野菜、
豆腐に油揚げに搾ったり、焼酎のロックに搾ったり、
飲み屋でさんまを食する際に持参したり、
ひととき、爽やかな酸っぱい秋を過ごすのだった。
上田の町が好きで、月に2,3回訪ねている。上田駅から
電車で30分の別所温泉は、秋になると松茸が豊富に
採れるのだった。この夏、飲み友だちと一献交わした
翌日、ラインが届いた。
昨日話した、秋の上田松茸行こう。覚えてますか?
ぜひ企画お願いします。
どうやら酔っぱらって気が大きくなって、
松茸詣でを持ち掛けたらしい。
酩酊して、ぜんぜん記憶にないぞ。
9月になって、そろそろ予定を立てようと、
別所温泉に在る、目当ての料理屋のホームページを
開いたら、すでにぜんぶ日にちが埋まっていた。
一泊で出かける予定で、目当ての上田駅前の老舗の
旅館に電話をしたところ、感じの良い女将さんに、
うちでも松茸料理やっていますと言われ、
おっ、ありがたい、それではと、
お昼に松茸料理もお願いをしたのだった。
昼に贅沢をするから、夜は上田の飲み屋で、
軽いつまみで一杯と、段取りがついて安心した。
松茸を食するのいつ以来だ?
久しぶりに、贅沢な秋になることだった。

香りたつ幼馴染みのすだちかな。



  


バンクシーって誰?展へ

2022年09月23日

 へこりと at 14:17  | Comments(0)

長月 7

高岡に一泊した翌朝、朝食を済ませて、大浴場で
ひと風呂浴びてからホテルを出た。
アパホテル高岡駅前の朝食は、品数が多く、
なかなかよろしかった。この日も朝から暑い日で、
広い通りを歩いて行けば、じんわりと汗が沸いてくる。
あてずっぽうに路地にまぎれこんだら、
高岡大仏のすぐそばに、その名も大仏旅館という
宿が在った。年季の入った趣きの有る佇まいで、
次回訪ねて来たときは、こちらに泊るのも好いかと
眺めた。
そのまま路地を抜けて行くと、前田家ゆかりの、
高岡古城公園の前に出た。大きな公園は緑が生い茂り、
広いお堀がまわりを囲っている。
護国神社でお参りをして進んでいくと、
立派な屋根構えの射水神社があった。
拝殿のわきに、高岡の銘酒、勝駒の酒樽が積んである。
お参りをして、公園を抜けて行くと、
鋳物の町らしい、高岡工芸高校が在った。
そのすぐ横に、今日の目当ての高岡市立美術館が
在るのだった。ただいまこの美術館で、
バンクシーって誰?展が開かれている。
どんな人物なのか正体不明の絵描きで、このかた作と
おぼしき落書きが街で発見されるたびに、
話題になっている。案の定、平日にもかかわらず、
多くの人が来館していた。
見覚えのある作品から初めての作品まで、
三か所の展示室に、多くが展示されていたのだった。
するっと気持ちに残る絵柄と思いながら、
展示室を眺め歩いた。
12月まで開催しているから、もう一度観に来ようかと
思案した。
再び古城公園を抜けて歩いて行くと、
古びた路面電車がガタゴトと、電車道を過ぎていった。
昼どきになり、駅前のラーメン屋に入り、
ビールを飲みながら、初めての富山ブラックを食してみた。
以前、富山へ出かけた友だちが、さんざん旨い魚で
飲み食いしたあと、締めのラーメンに富山ブラックを食べたら、
あまりのしょっぱさに、魚の味がぜんぶ吹っ飛んだと
言っていた。真っ黒いスープのラーメンは、
さて、どれほどの味かといぶかりつつ食べたら、
見た目ほど塩気がつよくなく、美味しく頂けたのだった。
高岡は、地方の町らしい寂れた感があるものの、
町並みの古さの、落ちついた風情が好い。
散策するのに程好い広さで、酒も魚も旨い。
また訪ねて来たいことだった。



バンクシー鋳物の町の秋に観て。


  


高岡へ

2022年09月20日

 へこりと at 09:11  | Comments(2)

長月 6

富山県の高岡へ出かけた。
前回初めて訪ねてから、四年ぶりのことだった。
新幹線はくたかに乗って、缶酎ハイを飲みながら
車窓の景色を眺めれば、
黄金色の田んぼが広がって、実りの秋を迎えている。
一時間余りで新高岡駅に着き、ひと気のない住宅街の道を
歩いて行く。夏日のような陽気で、海を抱えた町の
湿気の多い暑さに、
じわっと汗が流れてくる。十分余り歩いて行くと、
加賀藩の前田家の菩提寺、瑞龍寺にたどり着いた。
広い境内の大きな本堂は、まことに威風堂々として、
加賀百万石の面影を今に伝えている。
お参りをして寺をあとにして、
在来線の高岡駅から氷見まで足を延ばした。
氷見駅から、潮の香りを嗅ぎながら歩き、穏やかな
富山湾の景色を眺めた。
氷見は漫画家、藤子不二雄Ⓐの
故郷で、町のいたるところに、作品のキャラクターの
像が有る。生家の光禅寺の境内にも、
笑うセールスマンや忍者ハットリ君たちの石像が有った。
ひと気のない、静かな港町の商店街を抜けて、ふたたび氷見から
高岡へ戻った。高岡は漫画家、藤子・F・不二雄の故郷で、
駅前の広場にドラえもんとのび太の像が有る。
アパホテルの大浴場で、ひと風呂浴びて汗を流して、
薄暮の町に出た。駅前からじきの商店街を歩いて行くと、
見事なくらいに閑散としている。シャッターを閉めている店が並び
さびれ具合を、感心するように見入ってしまった。
昭和の風情の飲み屋通りを抜けて行くと、
いきなり大仏さんが現れた。町なかのちいさな敷地の
身近な場所で、高岡の人々を見守っているのだった。
お参りをして、
さて今宵の一杯をどこでやろうかと、商店街へ
引き返したら、わきの小路の,おでん百福の看板が
目についた。
戸を開けたら、さっぱりとしたお顔の、きれいな女将が
迎えてくれた。
カウンターに腰かけて黒ラベルを頼めば、
テレビの相撲中継は、御嶽海と逸ノ城の一戦が
始まるところだった。鍋の中から卵に大根、
北陸らしい車麩とかまぼこを添えてもらい、
地酒の若鶴を酌んだ。しばらくすると、
女将さんの友だちが入ってきた。二人の会話を
聞きながら、
見知らぬ町のおでん屋で、見知らぬかたと、相撲中継を
観ながら杯を傾ける。なんとものどかなことだった。
漬け物で、地酒の立山を酌んで店を出て、
商店街の入り口に在る、日の出寿司に立ち寄った。
前回高岡へ来た際におじゃましたら、
味と接客が好かったのだった。
握りをつまみに、地酒の太刀山と勝駒を酌んで、
のんびりと酔っぱらったことだった。

大仏の見守る町の残暑かな。


  


実家の庭を

2022年09月16日

 へこりと at 08:42  | Comments(0)

長月 5

古刹、善光寺の北側に実家が在る。
四年前に母が介護施設に入居してから
空家になっている。
高齢の母が戻ってくることはもうないので、
今すぐにでも処分をしたいのに、
私が生きている間はそのままにしておいてくれと言われ、
住んでいなくても、父と共に苦労して建てたのだから、
愛着があるよなあと、気持ちを汲んでいる。
空家にしていても、日々いろんなチラシやはがきが
届くから、ときどき片付けに行っている。
なかには、不動産会社からの売り物件探していますの
チラシもあって、売りたいのはやまやまなんですよと
眺めてしまうのだった。気になるのは庭の草木で、
伸び放題に伸びて、隣家の敷地まで、
枝が入り込んでいたのだった。
以前にいちど、知り合いに紹介された植木屋に、
手入れを頼んだことがある。
このたびもお願いしようと思ったものの、
安い値段で丁寧に仕事をされるかたで、あちこちから
引き合いが多い。前回もずいぶん待たされて、
きれいにしてもらったのだった。
もう少し涼しくなったら、手の届くところだけでも
刈り取るかとため息が出た。
先だって、馴染みの飲み屋で酔っ払って帰宅したら、
玄関先に、りっぱな長ナスと胡瓜の入った袋が
置いてあった。
はて、どなたからの置き土産かなと思っていたら、
次の日、近所に暮らす顔見知りのおじさんから電話がきた。
畑でたくさん採れたからと、届けてくださったのだった。
以前商売をされていて、今は年金暮らしのかたわら、
畑で野菜を作っているかただった。
連日みずみずしい味を、ありがたく頂だいした。
台風11号の影響で、ひとしきり長野市内に雨が降り、
日中の暑さも和らいだ。
玄関先に秋らしい、かぼちゃの柄の暖簾をかけた次の日、
おじさんが、かぼちゃを届けに来てくれた。
お礼を言いながら乗ってきた軽トラックを見たら、
荷台に、枝葉を詰め込んだごみ袋が積んであった。
尋ねたら、こづかい稼ぎに、あちこちの知り合いの、
庭木の剪定をしているというのだった。
それを早く言ってくれい。これ幸いとばかりに、
実家の庭の片づけをお願いしたら、
手ごろな代金ですみやかにご足労してもらい、
まことにありがたいことだった。
かぼちゃは、生まれてこのかた調理をしたことがない。
パソコンを開いて、キッコーマンのホームページで
レシピを覗く。
料理好きだった母は、仕事を終えて帰ってくると、
夜遅くまで台所に立っていた。
砂糖に醤油にみりんを惜しみなく使った味の濃い、
かぼちゃの煮物が懐かしいことだった。


南瓜来るレシピ調べてガッと断つ。


  


太ももの痛みに

2022年09月14日

 へこりと at 09:14  | Comments(0)

長月 4

休日、介護施設に暮らす母を、市民検診に連れて行った。
かかりつけのお医者に行って、身長と体重を計り、
血圧を計り、採血をして、心電図を取ってもらう。
しばらくして、担当の女医先生に呼ばれて話をうかがえば、
心臓の動きに、ちょいと怪しい箇所があるという。
今のところ、心配するほどではないけれど、
念のために、ときどき様子を診させてくださいと
いうのだった。
初夏の頃、九十歳になり、足腰もずいぶんと弱くなった。
診察を終えて施設に連れて行ったら、
めまいがひどくて立っていられないと、玄関先で
倒れそうになる。施設の職員さんが、あわてて車いすを
用意して、部屋まで連れて行ってくださった。
すっっかり体力落ちたなあと、
会うたびに切なくなるのだった。
帰宅して、長野駅まで用事を済ませに歩いて行く。
お昼ご飯をどこで食べようか、思案しながら中央通りを
下っていくと、JALシティホテルが目についた。
以前知り合いと,ここの中国料理店で宴をしたときに、
味が好かったのを思い出す。
店に入って、醤油味のあんかけ焼きそばをつまみに、
スーパードライを二本空けた。
店を出て、用事を済ませて帰宅して、シャワーを浴びて
着替えれば、時刻も好い頃となる。
友だちの営む整骨院の、午後の営業が始まるのだった。
今朝いつものように、ノルディックウォーキングに出た。
歩きだしてじきに、左足の太ももの裏側に、吊るような
痛みを感じた。
ついこの間まで腰の左側の、坐骨神経痛に悩まされていた。
だいぶ痛みは柔らいだものの、影響が太ももにも
出たのかもしれない。
ベッドにうつ伏せになって、診てもらえば、
足の筋がパンパンに硬くなってるという。太ももと、
いつものように腰と背中にお灸をしてもらい、
念入りにマッサージをしてもらった。太ももを
押されるたびに、うっ、けっこう痛いぞ。心の中で
つぶやいてしまった。
施術を終えて立ち上がったら、ありがたや。
太ももがずいぶんと軽くなっている。友だちに礼を述べて
帰宅して、熱めの湯に浸かり、薬を塗って、
缶酎ハイの栓を抜いた。
お灸とマッサージで血行が良くなるせいで、整骨院へ
行った日は、酔いのまわるのが早い。
案の定この夜も、鶴瓶の家族に乾杯を観ながら
つぶれたのだった。

太ももにお灸据えるや秋日和。



  


坂城町と別所温泉に

2022年09月09日

 へこりと at 08:43  | Comments(0)

長月 3

日曜日の夕方、坂城町まで出かけた。
地元のワイナリー、坂城葡萄酒醸造に併設する
レストランで、久しぶりの一献だった。
しなの鉄道に揺られて30分。
坂城駅のホームに出れば、線路の向かいのガスタンクが、
里山に沈む陽の光を浴びている。
夕方の風も涼しくなって、Tシャツ一枚では
少し寒いほどだった。
線路沿いの小道を歩いて行くと、草むらで
虫たちが鳴いている。
白い犬を連れたおじさんと、黒い犬を連れた男の子が、
犬談義を終えて、別れて歩いて行った。
駅から10分、ぽつりぽつりと立ち並ぶ家屋を過ぎていくと、
レストランんにたどり着く。
カウンターに落ちついて、御無沙汰していますと、
久しぶりのご主人に挨拶をする。
スーパードライを飲んでいたら、しばらくして、
この地でぶどう栽培をしている友だちもやって来た。
歳を重ねて、もう洋食のフルコースなど食べきれない。
おつまみ程度の軽い料理で、今年の葡萄の出来具合なんぞを
うかがいながら、ワインを味わった。
隣の上田市に泊った翌朝、上田駅から電車に乗って、
別所温泉に出かけた。
お盆休みに行って以来、二週間ぶりの再訪だった。
駅を出て坂道を上がって行くと、老人ホームの敷地に
でかい百日紅が咲いている。高台の別所神社へ行くと、
眼下の清々しい緑がまぶしい。
晴天でも、日中の風に秋の気配が感じられるのだった。
天台宗の古刹、常楽寺の境内から
曹洞宗の古刹、安楽寺の境内へとまわり、北向き観音へ
行くと、参道沿いの店は、どこも閉まっている。
観光客の姿もなく、これじゃあ店を開けてもねえと
納得してしまった。
坂を下ってあいそめの湯に行くと、風呂場には地元の
おじいさんが5,6人いるだけだった。
昨日の坂城といい別所温泉といい、
季節の景色を眺めながら、程好い散歩ができる
こじんまりした処に来ると、気持ちがのんびりとする。
柔らかな湯で汗を流したら、昼どきの一杯に食堂へ向かった。
イカリングフライで生ビールを飲んでいたら、
隣のテーブルに、地元のおばちゃん二人組が座った。
じきに手提げバッグの中をガサゴソして、
お茶菓子にバナナを取り出した。
おにいちゃん、はいおすそ分けと言って、こちらに
バナナを一本くれたのだった。
恐縮してお礼を述べて、ありがたく頂だいした。
バナナを食べるのいつ以来だ?
思い出せないほどはるか昔のことだった。

葉境の季節名残のバナナかな。


  


坂城のワインを

2022年09月06日

 へこりと at 08:54  | Comments(0)

長月 2

長野市から20キロほど南東に埴科郡坂城町が在る。
国道18号線をはさんで、千曲川沿いに地元の工場が並び、
山沿いに田畑が広がっている。
小さいながら、農工産業の盛んな町なのだった。
4年前に、長野市の駅前でイタリアンの店を
営むかたが、御実家の在るこの町に、ワイナリーを開設した。
その名も、坂城葡萄酒醸造株式会社。渋くて好い。
その折りに、微力ですがと、会員に応募させていただいた。
会員の特典として、翌年から、赤白のワインが一本ずつと、
長野駅前と、ワイナリーに併設されたレストランで使える
二千円のチケットが5枚、五年間頂けることとなった。
まことに御好意にあふれた特典だった。
先日、今年の分のワインとチケットが届いた。
添えられた手紙には、2021年は春先の長雨のせいで、
白ブドウの収穫減が激しく、このたびは白ワインを
お贈りできないとあり、代わりに初リリースの
カベルネフランの赤ワインとりんごのシードルが
同胞されていた。
坂城町はもともと葡萄の栽培が盛んな町で、かつては
巨峰という銘柄が、全国で生産量がいちばんだった
覚えがある。
最近は、シャインマスカットとナガノパープルという
高級品種の栽培が盛んで、伴って、ワイン用の葡萄の
栽培も、ワイナリーの関係者のかたを中心に行われている。
この夏、3年前に送られてきた2018年産の赤ワインの
封を切った。
セブンイレブンの金のハンバーグをつまみに利いてみれば、
カベルネソーヴィニヨンとメルローの味わいは、
重すぎないしなやかな味わいと、後口の苦みの塩梅が好く、
適度な熟成感が心地よかった。
日を置いた先日、昨年頂いた二千円のチケットの期限が
8月で切れるので、長野駅前のレストランに出かけた。
チーズの盛り合わせをつまみに、長野県産の白を一杯に
赤を二杯。
久しぶりに、坂城町のレストランにも出かけたくなった。
長野は、いつの間にやら、ちいさなワイナリーや
クラフトビールの醸造所が増えて、日本酒も旨い銘柄が
増えた。酒徒の身には、実にありがたいことなのだった。

初めてのカベルネフラン夏の果て。




  


ジブリ展と高校野球と

2022年09月02日

 へこりと at 09:27  | Comments(0)

長月 1

この11月、愛知県の長久手市に、となりのトトロや
魔女の宅急便など、数多くのアニメ作品を提供している
スタジオジブリが、ジブリパークを開園するという。
それに先立ち、ただいま長野県立美術館で、ジブリパークと
ジブリ展が開かれている。
休日の月曜日、足を運んでみたのだった。
作品のポスターと完成までの絵コンテや、
イメージスケッチの展示に、トトロの猫バスに乗れたり、
さつきとメイの家の模型が飾ってあったり、アニメの
キャラクターと記念写真を撮れたり、ちいさな子を連れた
親子連れから、若い男女に年配のご夫婦まで、
たくさんのかたでごった返していた。
ジブリ作品の、世代を問わない人気ぶりが
うかがえたのだった。いろいろな作品の中で
いちばんの気に入りは、紅の豚だな。男の哀愁を
感じさせる物語と、加藤登紀子の歌うテーマ曲が、
胸に染み入る作品だった。
賑やかな会場をあとにして、通りを東に下っていく。
今日の昼酒は、東鶴賀の豆腐と酒の店、まほろばと決めていた。
ひと気の少ない町のはずれの店は、静かな佇まいの若い女将が
営んでいる。落ち着いた気分で酒を酌めるのが好い。
カウンターに落ちついたら、黒ラベルで乾いたのどを潤して、
豆腐と豚バラの卵とじをつまみに、安曇野の大雪渓と、
小布施の豊賀と川中島の幻舞を半合づつ。
たくあんの漬物で、小盛のごはんと油揚げとわかめの味噌汁で
締めれば、ちょうどよい腹ぐあいとなった。
店を出て、東鶴賀から柳町の広い通りを渡って行くと、
柳町中学校の校庭で、子供たちがせっせと汗を流している。
2学期が始まったんだねと眺めながら過ぎた。
まっすぐ進んで城東小学校の前を過ぎたら、こちらはまだ
夏休みのままだった。
自宅に戻ってシャワーを浴びたら、冷蔵庫から缶酎ハイを
出して、テレビのスイッチを押す。甲子園の、
夏の全国高校野球選手権の決勝戦が始まるのだった。
対戦するのは、宮城の仙台育英高校と、山口の下関国際高校で、
どちらが勝っても初優勝だった。
決勝戦に相応しい好プレーがつづき、観ているこちらも
肩に力が入ってしまう。
熱戦の末、仙台育英高校が栄冠を勝ち取った。
喜ぶ選手たちを見ながら、静かに涙をぬぐう監督さんの姿が
印象的だった。
実況の、優勝旗が初めて白河の関を越えますの台詞に、
白河の関がどこに在るのか知らないけれど、
ちょいと胸が熱くなる。
夕方、東北勢悲願の初優勝を祝して、宮城の、
愛宕の松の杯を重ねたのだった。

白河の関や悲願の越えし夏。