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頂き酒ざんまい

2014年08月26日

 へこりと at 14:35  | Comments(2)
葉月 七

冷蔵庫の中に、ようやくすき間が見えてきた。
夏、つづけざまに酒を頂いて、いっぱいになっていたのだった。
遠く宮城の酒屋さんから、
あたらしく取り引きを始めた、栃木の朝日栄を頂いた。
追って、名物の笹かまぼこも届いたから、
かさねがさねの気遣いに感謝した。
金沢の知人にみすゞ飴を送ったら、お返しに、
石川の地酒の天狗舞が届いた。
ひところ好んで飲んでいたことがある。
ひさしぶりの味を利いてみれば、
相変わらずの、どしっとした旨みがなつかしい。
お盆休みの初日、どうしてもと頼まれて仕事をした。
訪ねてきたかたに、無理を言ったおわびにと、
麦焼酎を頂いた。
焼酎は、この頃麦を好んでいるときだったから、
間の好いこととうれしい。
遠くの街で暮らすかたがいて、
以前、長野の地酒を送ったことがある。
好いのが手に入りましたと、お礼にジンを送ってきてくれた。
フィンセント・ファン・ゴッホ。
オランダの有名な画家の名前のジンは、
きれいな町並みが、ボトルにあしらわれている。
はなやかな柑橘系の旨みの口あたりが好く、
贅沢な味わいと、晩酌の締めに味わっている。
お盆明け、娘が訪ねてきた。
今年結婚をした。お腹の子は八か月になったといい、
あんまり大きくないねと、まあるい腹をさわった。
旦那さんの実家のある、
飯山の水尾の純米大吟醸を持ってきてくれたのだった。
水尾はときどき飲むことがある。
それでも、純米大吟醸は値が張るから、
買ったためしがなかった。
ろくでなしの父に高価なものをと、ありがたく酌んだ。
処暑すぎて、雨降りの日がつづく。
しずかな虫の声も聞こえるようになり、
ひと夏越えた、秋酒の気分になってくる。







  


ワインガーデン

2014年08月23日

 へこりと at 10:15  | Comments(0)
葉月 六

夕方、さっさと仕事を切り上げて出かけた。
飲み屋さんと酒屋さんの有志でつくる、長野ワイン応援団が、
長野県ワインを一同に集めて飲むという、
ワインガーデンというイベントを開くのだった。
残暑の日照りの中を、はとぽっぽ公園に行けば、
テントが張られたブースに、ずらっとボトルが並び、
壮観ですなと喉が鳴る。
まわりには近所のレストランのかたがたが店を出し、
料理を提供している。
グラスを持ってワインを注いでもらいに行けば、
ワインに詳しい、顔馴染みのかたがたが手伝っていて、
ごくろうさまと声をかけた。
主催者のかたの挨拶があり、
ヴィラデストワイナリーの、玉村豊男さんの発声で
乾杯をした。
暮れかかる空に涼しい風が吹きはじめ、
外で飲むのは気持ちが好い。
杯をかさねながら眺めていれば、
仕事帰りのワイシャツ姿のおじさんたちや、
ちいさな子を連れた家族連れ、
若いにいさんねえさんたちが、つぎつぎとやって来て、
どんどんにぎやかになっていく。
ブースにも長い列ができ、スタッフのかたがたも、
ワインを注ぐのにいそがしい。
予想外の来訪に、ワインも終わりそうだといい、
初日から大盛況なのだった。
長野県では、ちいさなワイナリーを開いたり、
葡萄を栽培して、委託してワインを造ってもらう
かたが出てきている。そういうかたがたの銘柄は、
造る量に限りがあるから、
気楽に飲める機会がすくない。
こうして、離れた地域の、
ふだん味わえない銘柄を利ける企画は、
それぞれの造り手の、個性を垣間見ることができて
ありがたいことだった。
イベントはあと二日つづくという。
雨の知らせの天気予報は、
どうか、はずれていただきたい。





  


お盆もすぎて

2014年08月19日

 へこりと at 10:45  | Comments(0)
葉月 五

ひさしぶりの友だちふたりと酌み交わした。
近況話をかわしながら杯をかさねても、
ふたりそろって酒によわい。
めずらしくはしご酒もせず、切り上げて帰った。
おかげで、迎え盆の朝の目覚めがすがすがしい。
早朝、歩いてすぐの菩提寺へむかえば、
花を片手に、檀家のかたがたが門をくぐっていく。
本堂のご本尊に手を合わせ、
祖父母の眠る墓に手を合わせた。
この春、若い知り合いが亡くなった。
おなじ敷地に墓があるから、そちらへも足を運ぶ。
新盆のお参りをすれば、
墓碑にきざまれた、享年二十二歳の文字が、
今さらながらにせつない。
夕方、帰省してきた友だちと、
馴染みの飲み屋で酌み交わした。
看護師をしている長女が、
オーストラリアに研修に行っている。
慣れない環境に四苦八苦している様子が、
毎日メールで届くという。
おなじく看護師を目指す次女は、
学校で実習が始まったといい、
ストレスでじんましんが出たという。
あいかわらず、親の気苦労が絶えないのだった。
本人も、この歳からの転職を考えているといい、
歩く道すじに、まだまだ節目のあることと知る。
次の日、観光客であふれる善光寺界隈を避けて、
信濃美術館で日本画を観た。
館内のカフェで梅シラスご飯を食べていたら、
これから戻ります。元気をもらえたと、
友だちからのメールが届く。こちらこそと返事をして、
次の再会が楽しみになる。
次の日は、水野美術館へ出かけた。
浮世絵の艶やかな女性たちに見惚れてから、
りっぱな庭を眺めながら、
ハヤシオムライスを食べて帰って来た。
お盆休みが終われば、夏の気配も和らいでいく。
ひとりで、あるいは馴染みのかたがたと、
花火に祭りに、花と緑と、夏の景色を楽しんだ。
八月は、仕事はひまなのに、
散財ばかりの日がつづいた。
懐には、早々に秋の風が吹いているのだった。




  


信濃町まで

2014年08月14日

 へこりと at 16:22  | Comments(0)
葉月 四

信濃町まで墓参りに出かけた。
電車に乗って古間駅で降りる。
ひと気のない道を歩いていけば、
じきに、曇天の空に映える、田んぼの緑が目に入る。
台風一過の空には霧が立ち込めて、
端正な姿の黒姫山も、険しい姿の妙高山も見えない。
古間の商店街の、馴染みの酒屋の峯村君を訪ねれば、
午前早々の、生ビールのもてなしがうれしい。
ひと息ついたら、国道沿いのスーパーで花を買う。
駐車場は車でいっぱいで、
ときどき県外ナンバーの車も入ってくる。
店内では、夏休みの子供たちを連れた家族連れが、
にぎやかにお盆前の買い出しをしていた。
集落の中の、田んぼと畑を眺めながら行く。
蝉の鳴き声がひびき、
ときどき、鳥を追い払う鉄砲がどんとなる。
道々、あざやかな黄色のひまわりが、
のんびりと揺れていた。
栗の木の茂みがあって、その先を歩いていくと、
おじさんがひとり、畑のあぜ道の草を刈っていて、
草刈り機の音が威勢よくひびいている。
県道沿いのブルーベリーの農園や、
野菜の販売所を通りすぎて、
北川遊漁の看板を左に曲がる。
林の中を歩いていると、蝉の声に交じって、
まだうぐいすの鳴き声がきれいに聞こえた。
流れのはやい、鳥居川の音を聞きながら、
景色を眺めて歩いていたら、道をまちがえた。
ずいぶんのまわり道をして、
一年ぶりの墓地にたどり着く。花を挿し、線香をたいて、
さんざん世話になったかたに手を合わせた。
気がつけば、お亡くなりになって、
この夏が十三回忌だった。
月日の過ぎるのはあらためて早い。
帰り道、県道沿いの蕎麦屋に行ったら、
県外ナンバーの車がいっぱいであきらめた。
黒姫駅の食堂で、冬瓜の刺身でビールを飲んで、
長々歩いた疲れを癒した。
駅のホームで電車を待っていたら、
流れる霧のすきまから、ひょっこりと、
黒姫山が顔を出す。








  


戸倉の花火

2014年08月08日

 へこりと at 10:17  | Comments(0)
葉月 三

この歳になると、ひまさえあれば温泉に出かけたい。
湯に浸かり、かわいたのどをビールで潤せば、
充分幸せになれるのだった。
戸倉上山田へ出かけるときがある。
大正橋から千曲川の景色を眺め、
ひと気のない温泉街の外湯に落ち着けば、
やわらかい湯加減に、身も心も癒される。
飲み仲間のかたがたと、戸倉の花火大会へ出かけた。
駅を降りて、人ごみにまぎれて大正橋を渡ったら、
始まりの一発目が、薄暮の空にどんと上がった。
河川敷に並ぶ屋台で、
から揚げとたこ焼きと焼きそばとビールを買って、
家族連れやカップルのすきまに腰をおろして、
夜空を彩る花火を眺めた。
二日前に、上田の花火を観ていたのだった。
同行した花火ハンターの友だちが、
上田のあとの戸倉では、物足りないかもと言っていた。
眺めていれば、なるほどと合点がいった。
テンポよく、工夫をこらしたあざやかな彩りの、
上田の花火に比べると、
戸倉の花火は間延びがして、昔ながらの感がある。
それでも肩の力の抜けたおおらかさが、
さびれた温泉街の風情に好く合うのだった。
締めの大スターマインを見届けて、
来年は、温泉で一泊しながら来たいものです。
語り合いながら、混みあう帰りの電車に乗り込んだ。



  


ぶらぶら外で

2014年08月06日

 へこりと at 13:09  | Comments(0)
葉月 二

夏、夕方出歩く機会が増える。
となりの西之門町の、夕涼み市へ出かけた。
ちいさな町の駐車場に、
浴衣姿のお母さんと子どもが集まって、にぎやかになる。
流しそうめんを突っつく子供たちを眺めながら、
生ビールを飲んだ。
東口ゆめりあ祭りでは、
馴染みの酒蔵さんがブースを出していた。
飲み屋の並ぶ通りにステージが作られて、
日本酒を飲みながら、熟女のかたたちのフラダンスに、
女装したお兄さんたちの、恋するフォーチュンクッキーに、
しぶいおじさんの、
アリスのチャンピオンの熱唱を眺めた。
長野びんずる祭りの日は、毎年決まって雨が降る。
たいてい踊りが始まる前に止むのに、
今年はいけなかった。
終いまで降っていて、雨宿りのはしご酒に酔っぱらって、
けっきょく五分も踊りを見なかった。
飲み仲間のかたがたと、上田の花火大会へ出かけた。
駅前の、ゴールデン酒場で生ビールをひっかけて、
会場の河川敷へ行く。母袋市長の挨拶が済むと、
ぽっかり半月の浮かぶ薄暮の空に、
威勢よく上がりはじめた。
間近に高々花が咲き、はらわたに重たい音がひびく。
上田の花火は毎年八千発が上がるという。
今年はさらに増えて、
一万発が上がるというから、景気が好いのだった。
提供された会社の名が呼ばれ、
打ち上げる花火屋の名が呼ばれる。
このたびは、
青木煙火さんに勤める知り合いも同行してくれた。
青木煙火さんの名が呼ばれるたびに、
ひいき目に、見事な打ち上げに見入った。
夏になると花火行脚をしている友だちは、
りっぱなカメラで写真を撮っている。
あちこちいろんな花火を見ていても、
上田の花火はたいそう好いという。
余韻を抱えて、
締めの一献をと、駅前のゆう杉さんに落ち着けば、
すでに泥酔したおじさんグループが、
もう帰ってくださいと、
店員のおねえさんに怒られていた。



  


歳のかさねかたは

2014年08月01日

 へこりと at 12:13  | Comments(0)
葉月 一

冷房漬けの毎日に、冷や酒漬けの毎日に、
肩と背中の凝りがひどい。
ほぐしてもらおうと、近所の整体院へ出かけた道すがら、
なつかしいかたと遭遇した。
高校生のときに世話になった音楽の先生で、
卒業して以来のお見かけだった。
曲がった腰を支えるように、両手に杖をついて、
坂道を上がって行く。
高校の授業で、音楽と書道と美術の中から、
ひとつを選択しなければいけなかった。
仲のよかった友だちに付き合って、音楽を選んだものの、
ぜんぜん身を入れず、さぼってばかりいた。
おかげで、高校時代の試験の最低点は、
音楽の12点だった。
そんな出来だったから、もとより覚えているはずもないと、
声もかけずにすれ違えば、
颯爽と指揮棒を振っていた姿を思いだし、
先生もすっかり御歳を召された。
毎週火曜日の夜に、
酒とつまみと男と女という番組をやっている。
作家の坂崎重盛さんが、毎回いろんなゲストを招いては、
東京の町を飲み歩く。
今週のゲストは女優の川上麻衣子さんで、
むかし金八先生を観ていたときに、
子供なのに妙な色気があると気に入りだった。
谷中の酒屋の軒下で生ビールを飲んでから、
蕎麦屋で日本酒を酌み交わす。
坂崎重盛さんは、
仕事に文学、暮らしの心得、延々と台詞がつづいても、
語り口が軽妙で、話がくどくない。
頭に帽子をちょこんと乗せて、おしゃれないでたちで、
ステッキ片手に、鼻唄交じりで飲み屋へ行く。
風通しの好い、
こんなお年寄りになりたいという手本なのだった。
はしご酒の帰り道、川上麻衣子さんに手をつないでもらい、
生きてて良かったなあとでれっとしていた。
力の抜けたうしろ姿に、
男ってしょうがないもんですな感が出ていて好いのだった。