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小布施のお蔵さんと

2015年06月30日

 へこりと at 15:49  | Comments(0)
水無月 13

日曜日夕方、飲み屋のべじた坊の石垣さんと、
小布施へ出かけた。
地元のお蔵の高沢さんと、一献交わそうとなったのだった。
高沢さんでは、暁彦さん賀代子さんご夫妻が、
豊賀という銘柄を醸していて、
今や、長野を代表する銘柄のひとつになっている。
連れて行ってもらった、地ビールとカレーの店、響(ゆら)さんは、
蔵構えの佇まいに風情がある。
二階の太い梁には、
紀元二千五百三十五年と建てた日が記されていた。
男前のご主人と、美人の奥さんが営んでいて、
落ちついた店内は、広すぎず好い。
カウンターのむこうには、
ずらっと地ビールのサーバーが並んでいて、どれにしようか迷う。
暁彦さんと石垣さんと乾杯をして、
しばらくすると、賀代子さんもやってきた。
お土産にと持ってきてくれたのは、福井のへしこだった。
前日、福井で開催された、
蔵女性サミット2015に出かけていたのだった。
お疲れ様でしたともういちどの乾杯をして、
美味しい料理と地ビールを楽しんだ。
途中で杯を豊賀に変えて利いてみた。
オレンジラベルの純米は、
米をそれほど削っていないのに、きめが細かい。
潤い感のある酸と旨みは、熟成した白ワインにも通じる感があり、
グラタンのソースにも、ウインナーのスパイスにも好く合う。
和食の板さんだけでなく、
洋食のコックさんにも、手に取ってもらいたいのだった。
さんざん食べてさんざん飲んで、すっかり小布施の夜を満喫した。
後日、賀代子さんのブログを覗いたら、
サミットの様子が載っていた。
23蔵の女性の造り手が集まって、互いの酒を飲みながら
深夜まで語りあったという。それぞれの酒を飲んでいると、
それぞれの顔が浮かんでくるといい、
顔が浮かんでくる酒っていいなあというのだった。
お蔵さんは、7月からが新年度となる。
さあ
一年間がんばろう。
彼女たちに恥ずかしくない自分で居よう。
そして来年も皆で笑いあっていっぱい飲もうと締めてあり、
読んでいて、じんときた。
豊賀を酌めば、健気に造りに携わる、
御夫婦のことが目に浮かぶ。




  


信濃町の松尾を酌んで

2015年06月27日

 へこりと at 14:05  | Comments(0)
水無月 12

雨の音を聞きながら晩酌の日がつづく。
久しぶりに、信濃町の高橋助作酒造の、松尾を酌んでいる。
地元の酒屋の峯村君に、
2000円くらいで何か一本とお願いしたら、
持ってきてくれたのだった。
白ラベルの純米は、いったいいつ以来かというくらい、
はるかぶりに口にした。
開けたては、すこし旨みがまるい。2,3日経ると、
すっと端正な口あたりになってするするいける。
松尾、ほんとに旨くなったとあらためて思うのだった。
以前はそれほどの味ではなかった。
当時通っていた飲み屋のご主人にいたっては、
松尾でまともなのは焼酎だけ、日本酒はだめと
見向きもしなかった。
お蔵さんでは、大手の宝酒造から焼酎の原酒を仕入れて、
地元の水と調合して売ってもいる。
こんにち、まわりの酒徒のあいだでも、
松尾の評価が上がっている。
高い酒はもとより、いちばん安い普通酒でも、
あきらかに以前より旨い。杜氏を務める駒村浩司さんが、
造りを担うようになってからの、努力のおかげだった。
昔、信濃町に暮らす知り合いがいて、
伺えば、松尾を酌み合っていた。
松尾を酌めば、なつかしい縁など思いだし、愛着もでる。
上等の味を導き出してくれたのは、なによりのことだった。
馴染みのおでん屋で普通酒を、駅前の居酒屋で特別純米を、
杯をかたむければ、駒村さんの穏やかで謙虚な人柄が、
そのまま味に通じているとわかる。
地元では、普通酒が圧倒的に売れる。
酒にこだわる飲み屋では、高い特別純米に純米吟醸が売れる。
そのあいだの2000円ほどのグレードは、
お蔵さんも酒屋さんも、いちばん売りづらいのではないかと思う。
安くて旨いですと、ひろめたい気分になってしまった。
夏になれば、緑ゆたかな信濃町に行きたくなる。
黒姫山を眺めたら、駅前の信濃屋で松尾を一献。
いつにしようか算段をたてる。



  


カメラのかばんを

2015年06月25日

 へこりと at 08:31  | Comments(0)
水無月 11

休日になると、町をさまよっている。
長らく見なれた界隈でも、いまだ、
目を引く佇まいを見つけることがある。
ときどき電車に揺られて、すこし遠くへ散歩をする。
たびたびの町は、上田に須坂に飯山。
ちいさな町なみに昔の風情がのこり、
眺めの好い公園がある。足を向けたい美術館があり、
歩いたあとに昼酒をたしなめる、
あたりの好い蕎麦屋もあるのだった。
春に須坂の臥竜公園へ出かけた。
早朝の公園で桜を眺めた帰り道、雨が降ってきた。
我が身が濡れても、カメラが濡れるのは大いにこまる。
あわてて駅まで引き返した。
それから、かばんを買おうと思いたち、
パソコンを覗いてみたものの、ぴんとくるものがない。
日ごろ、ラフな身なりで暮らしている。
いかにもという品では釣り合いがとれないと、
買わずじまいになっていた。
五月おわり、久しぶりのかたが訪ねてきた。
花火の会社に勤めていて、夏本番のかきいれどき、
毎日の花火作りがいそがしいという。
そういえばと思いだす。
仕事のかたわら、布製品を作っているかただった。
東京の問屋で布を仕入れては、毎晩ミシンを動かしている。
作った財布やバッグを、
フリーマーケットやクラフトフェアで売っているといい、
ていねいに縫われた財布を見せてもらったことがあった。
そろそろ二足の草鞋をやめて、
手仕事ひとつの暮らしを考えているというのだった。
暇なときに作ってもらえればとお願いして、
カメラの寸法を測ってもらう。
三週間のち、仕上げてくれたのは、
濃い灰色の小ぶりなかばんで、カメラの赤色に合わせて、
内布に、さめた朱を使ってある。金具もしぶい色合いで、
希望どおりの、落ち着いた出来栄えだった。
カメラを収めて、お手製の花火を撮りに行かせてもらいます。
その先、手に生業の暮らしができますよう、
及ばずながらも願うのだった。







  


生ビールも始まって

2015年06月23日

 へこりと at 11:14  | Comments(0)
水無月 10

夜中の雨が上がり、休日、青空になる。
ぶらりと町をぶらついた。
柳町から早苗町へ。そのまま鶴賀の通りを行けば、
介護センターつるがのむかいに、見頃の紫陽花が咲いていた。
見上げれば、高いビルのむこうに、おおきな雲が浮いている。
エビスパンのガラスのケースに、
出来立てのサンドイッチが並べられ、そそられる。
イトーヨーカドーの前では、異国の言葉を交わしながら、
おねえさんたちが開店を待っている。
怪しいクラブの店先で、近所のおじいさん連中が、
コンビニのコーヒーを飲みながら煙草をふかしていた。
ちいさな飲み屋の並ぶ通りを行けば、
ちょいと覗いてみたい店もある。あたりかはずれか。
最近は、馴染みの店通いばかりで、すっかり勘もにぶっている。
ひとつ用事を済ませたら、時刻もちょうど好い。
中央通りを上がったら、蕎麦屋の元屋の暖簾をくぐる。
あいかわらず昼どきの盛況で、折よく空いた、
入り口わきの入れ込みにおちついた。
夏至初日、麦酒増々旨酌。
元屋も生ビールが始まったのだった。
わらびとたけのこのお浸しで、
黒ラベルのジョッキを傾けていれば、女将さんがやって来て、
あんた、昼から飲み過ぎちゃいけないよと、
酔客の不摂生を心配してくれる。
生ビールを二杯にお銚子二本、ゆっくり酌んで、
こもりで締めた。
陽気の好さに、善光寺にも家族連れや、
犬を連れた人の姿が見える。
ふたたび中央通りを下りて、本屋の朝陽館のギャラリーへ行く。
書道家の、伊藤倫さんの個展をやっていたのだった。
独特の書体に個性があふれ、ちいさなギャラリーに、
すっと背筋が伸びる気配がある。
右側に余白を残した 未知 という書に、好いなあと魅かれた。
帰り道、今夜の晩酌にと、江口豆腐店に立ち寄る。
きぬと厚揚げを求めたら、ちょうど揚げたてでうれしい。
目をやれば、ふるびた仕事場は、
いつもせいせいと磨かれている。こちらの気分もせいせいとなり、
好い散歩の締めとなったのだった。





  


父の日に

2015年06月21日

 へこりと at 15:31  | Comments(0)
水無月 9

先日、設計士さんやライターのかたがたの事務所のある、
カネマツの一階のホールで、
飯山の北光正宗の杜氏さんが、酒を提供していた。
料理が着いて2000円で飲み放題。
大吟醸から純米まで、一升瓶が並んでいる。
長野県の、いちばん北にあるお蔵の跡取りで、
30歳と、全国でいちばん若い杜氏だった。
北光正宗という、切れの良い名前のとおり、
糖度が低く、酒質は硬め。
辛口の味わいは、飲み飽きがせず、冷やでも燗でもいけるのだった。
出来の良さがすこしずつ評判になり、
県外にも取引先がある。国内の酒の消費量が落ち込む中、
この頃は、カナダや香港にも出荷をしているという。
若くても、見識を持った営業をしているのだった。
飯山城址公園で、夜桜を眺めた帰り、
駅前の飲み屋の入り口に、北光正宗の樽が、どんと置いてあり、
つられて入ったことがある。
野沢温泉の湯に浸かりに行ったとき、
はしご酒に寄った店は、どこも北光正宗を扱っていた。
地元のちいさなお蔵の酒を、当たり前に置いてある。
好いなあと思ったのだった。
実のところ、いちばん安い普通酒でも充分旨い。
それでも話を伺えば、地元は年寄りばかりが多い。
年金暮らしのおじいさんは、
ふだんの晩酌は、安い紙パックの銘柄で、
孫の結婚、出産、ハレの日が来たら、
ようやく、うちの普通酒を買ってくれるという。
たしかに酒好きな実家の父も、
秋田へ行ったことがないくせに、秋田のまつりという、
紙パックの酒だけ飲んでいる。
2Lで900円。ひと口飲ませてもらったら、
なんとも言葉が出なかった。
辛口よりも、旨口好みの父に喜んでもらえるよう、
信濃町の松尾の一升瓶に、好物のカニ缶を3個。
毎回安い父の日で申しわけありません。




  


耳を澄まして

2015年06月20日

 へこりと at 14:51  | Comments(0)
水無月 8

梅雨らしい天気がつづいた。
幾重にもかさなったにぶい雲から、さめざめと降る日もあれば、
携帯電話の災害警報におどろかされた、豪雨の日もあった。
晴天つづきだったころ、土を耕す知り合いは、
作物が育たなくてとこぼしていた。
たしかに、家計に無頓着なひとり身も、
野菜が高いと感じたほどだった。
連日の湿り気は恵みになってくれたかと、
野菜に果物、育むかたの顔を思いだした。
困るのは、ぐずぐずした陽気に、
肩こり首こり頭痛がひどくなることだった。
昔、交通事故であごの骨を骨折してから、
あごの疼きも伴っている。酔っぱらってつぶれても、
夜中に目が覚めるほどだから、始末がわるい。
以前、一緒に暮らしていた人がいた。
酔っ払いの甲斐性なしに、愛想つかして出ていったときに、
愛用の、指圧マッサージャーを忘れていった。
これがなかなかありがたく、
寝るときに世話になっている。
気休めにごまかしていずに、
馴染みの整体師さんに、伺わなければいけないのだった。
ずっと、仕事場のBGMに有線を使っていた。
冬さ中、体の不具合で仕事ができない日があった。
日がな一日、閉めた仕事場で、
ぼんやりと時計の音だけ聞きながら、
雪降る路地を眺めていたら、
この静けさも好いではないかと気がついた。
善光寺の鐘の音に、鳥のさえずり、
いまだ、神社の境内から、うぐいすの声も聞こえる。
余計な音はかけなくても、澄んだ音色が身近に有った。
有線をやめて、毎月の代金3240円、
一升瓶に回せることと相成った。
雨降りのひまな日は、草木を濡らす雨音を聞きながら、
石田千さんのエッセイなんぞ読んでいるのだった。



  


近所でひまつぶし

2015年06月17日

 へこりと at 14:32  | Comments(0)
水無月 7

休日、朝から陽射しにいきおいがある。
朝ごはんを食べて、洗濯物を干してから、信濃美術館へ出かけた。
信州にゆかりのある画家たちの、水彩画展をやっているのだった。
小山周次に川上冬崖、石井伯亭に丸山晩霞に不破章と眺め、
この頃噴火した浅間山は、暁の浅間と題して、
中村直人が描いていた。
最後に目にした深い赤の浅間山が、いちばん印象に残る。
城山公園では、おじさんとおばさんの集団が、風景画を描いている。
噴水の水が爽やかに噴き上がっていて、
見ているだけでのどが渇く。
仁王門から中央通りを見下ろせば、
街路樹の緑も、すっかり濃くなった。
竹風堂の店先で、栗あんソフトクリームを食べていたら、
バスからぞろぞろおじさんたちが下りてきた。
みなさん、首からカメラをぶら下げて、写真愛好家の集まりだった。
菓子処、豆暦の前に、水ようかんと豆かんの案内が出て、
和菓子も夏になっている。
居酒屋能登の前では、お地蔵さんが6人、涼しい顔で並んでいる。
小路に猫が二匹、近寄っても、逃げずに無視される。
酒房SIDEの前に、店主の洋平君のバイクが停めてあり、
深い緑のタンクが渋い。
そのまま昼酒にと、かんだたさんの暖簾をくぐった。
久しぶりのカウンターで、挨拶をして、
生ビールを二杯にお銚子一本。
つめたい手打ちをいただいた。
酔いざましに歩いていくと、花屋のフェスタの紫陽花が、
通りに青く映えている。
西鶴賀の通りには、街灯に鶴の絵の、
西鶴賀商店会の旗がぶら下がっていて、虹色のきれいな色合いが、
さびれた飲み屋街にわびしく浮いている。
さっぱり昼寝から目覚めたら、遠くで雷の音が聞こえた。。
ウインナーをつまみにエビスを飲んでいたら、ぽつぽつときて、
いきなりのどしゃ降りとなった。日の入り前の陽も差して、
ずいぶんと、景気のいい天気雨と眺めた。
一日の締めに涼しくなって、二本目のエビスの栓を抜いたのだった。



  


酒トラップで

2015年06月16日

 へこりと at 14:21  | Comments(0)
水無月 6

毎日酒を酌んでいる。
この頃ありがたいのは、地元長野のワインに日本酒が、
めっぽう旨くなったことだった。
有志のかたがたで、あちこちでイベントも行われ、
毎回盛況だという。
日曜日夕方、仕事を早めに終いにして、
飲み仲間のかたがたと出かけた。
信濃町の酒屋の峯村君と、須坂の酒屋の新崎君が、
飲み屋さんとお蔵さんと協力して、
酒トラップという、飲み歩きのイベントを行ったのだった。
初めて企画した昨年は、5軒の飲み屋さんに、
それぞれふたつのお蔵さんが待機して、
個々の銘柄を提供してくれた。
二回目となるこのたびは、いきなり倍の10店舗となって、
19のお蔵さんが来るという。
昨年は、午後いちばんから気合を入れて、
相当に酔ってつぶれた。
今回は、馴染みのお蔵さんの顔を拝めれば良しとして。
ゆっくり夕方からとしたのだった。
手始めに、みちのかさんで松尾と高天を利いてから、
ひ魯ひ魯で、白馬錦と御湖鶴を利く。
ジビエの店で、小布施の北信流と豊賀を利いてから、
居酒屋たぬきで十九を酌んだ。
スナック優羽で、積善と北光正宗、
若い杜氏おふたりの味を利き、
まんちで聖山をさらっと空けてから、東口のいいださんへ。
水尾と勢正宗の杯をかたむけて、
ちょうど時間と相成った。
締めの飲みをと、鶴賀のおでん屋さんへと上がっていけば、
みちのかさんでお蔵さんがたが、あと片付けをしていた。
大勢の酒徒でにぎわった今日のひとときが、
好い成果とつながりますよう。
ヨッパの身は、つくづく願うのだった。



  


心を動かすこと

2015年06月13日

 へこりと at 14:09  | Comments(0)
水無月 5

雑誌、ku:nelを買った。
あなたの心を動かす、
大事な’’もの’’や’’こと’’はなんですかという特集で、
いろんなかたに尋ねている。
スタイリストの高橋みどりさんは、大根おろしという。
子供のころから朝食の定番で、今でも、
炊きたてのご飯と海苔と大根おろしがあれば幸せという。
女優の蒼井優さんは、祖母からもらったお年玉で、
袋には、優ちゃんよく頑張っていますね。
健康にくれぐれも気をつけてねと書いてある。
目にするたびに安心して、
生きていたら、今も褒めてくれるだろうかと、
思いを馳せる。
料理研究家の牧野哲大さんは、赤毛のアンといい、
たびたび失敗するアンが、
その都度、誠意を持って事を解決していく姿に、
正直でありさえすれば何も恐れることはないと、
勇気をもらうという。
不正直な身は、
いちど読まなくてはいけないと思ったものの、
この歳ではもうおそい。
ライターの大谷道子さんは、原稿を書くときに、
NHKの総合を点けっぱなしにしている。
午後7時のニュースが仕事の終いのお知らせで、
マンギョンボンゴウも、
きゃりーぱみゅぱみゅも余裕で読みこなす、
武田アナの穏やかな語り口を聞くのが至福だという。
仕事場の裏にどくだみが咲いたり、
毎朝お母さんと路地を行く、ちっちゃな子の笑顔だったり、
菅平のむこうに入道雲が湧いたり、
日々、すっと心の動くことがある。
それでも一つと言われたら、やっぱり日本酒か。
一升瓶を前に杯をかたむければ、
このたびも、美味しく造っていただいて。
馴染みのお蔵さんが目に浮かぶ。
酌み交わしたり、酔っぱらいの独り身を案じてくれたり。
気のおけないつながりを思い浮かべれば、
独りの酒もあたたかい。
サッカー選手の宮間あやさんは、芝生の匂いといっている。
わたしたちがケガをしないように、勝てるようにと、
芝の手入れをしてくれるひとたち。
その姿がわたしを勇気づけてくれるという。
女子のワールドカップも始まった。
美しいフリーキックを決めていただきたい。






  


衝動買いで

2015年06月11日

 へこりと at 15:27  | Comments(0)
水無月 4

母が訪ねてきた。買い物に行ってきたという。
ちらし寿司を買ってきたからと、持ってきてくれたのだった。
実家の父母は、買い物といえば、
この頃、SBC通りのイオンをひいきにしている。
実家のまわりは軒並みに店がなくなったから、
車で足を延ばしているのだった。
それに比べてこちらは、生活範囲が、
すっかりちいさくなっている。日々の買い物は、
近所の肉屋に八百屋にセブンイレブンいい気分。
粗食の独り身には、それで充分となる。
出歩くときは、荷物を持ちたくないたちで、
財布すら持たない。
身につけるものは、もっぱらパソコンの世話になり、
クロネコさんや飛脚さんに届けてもらっている。
平日昼まえ、クロネコさんがやって来た。
代引きの荷物のお届けですというから、
買い物をした覚えはないぞと首をかしげた。
おかしいなあと送り主を見て、もしやと思い当たる。
パソコンを開いて、メールを見たら案の定、
またやっちまったと合点がいった。
酔っぱらったいきおいで、ぽちっとしていたのだった。
あの夜は、
厚揚げをつまみに、石川の手取川を温めて酌んでいた。
燗上がりの旨さに、たしかに杯がすいすい進んだなあ。
気になることがあって、
調べようとパソコンを覗いたのだった。
ついでに、カメラのキタムラも覗いたのだった。
このたびは、ちいさなカメラを買ってしまった。
夏になり、Tシャツに短パン、身軽になる。
カメラも合わせて、ちいさくて軽いのが欲しい。
すこし前から気になる機種があった。
懐ぐあいがさびしいから、
500円玉貯金が貯まったら買おうと、
我慢をしていたのに、
つくづく手取川に負けてしまった。
でも、さいわいだった。
もうひとつ、気になる一眼レフがあった。
そちらをぽちっとしていたら、
出費がこんなもんじゃすまなかったと、胸をなでおろした。
休日、カメラをぶら下げて町をぶらつく。
写した風景は、予想以上にきれいな仕上がりで、
なにはともあれ、好い買い物になったのだった。


  


ワイン日和

2015年06月09日

 へこりと at 17:31  | Comments(0)
水無月 3

休日、すこし湿り気を帯びて暑くなる。
ビールに白ワイン、念じながら、こまつやさんに伺った。
ハンバーグをつまみに、久しぶりの、五一ワインの白を利く。
こういうときでなければ、ハンバーグなど食べることもない。
ソースの旨みを酸で流して、喉と腹を満たした。
かどの大丸さんでは、おおきな体の若旦那が、
ゆうゆうとそばを打っていた。お相撲さんのような体格は、
善光寺の御開帳の忙しさにもへたることなく、
ぜんぜんほそくなっていない。
通りを下りていけば、
カフェと雑貨のアジアンナイト・マーケットが取り壊されて、
御主人が、黙々と片づけをしている。
本屋の朝陽館へ立ち寄った。この店は、
おすすめの本や雑誌に、手書きの説明が添えられていて、
営むかたのていねいな姿勢がうかがえる。
目当ての、井上ひさしの東慶寺花だよりを求めた。
しまんりょ小路で、飲み屋の、
みちのかの岳さんに声をかけられた。
耳に鉛筆を挟んで、脚立を持ったいでたちに、
大工に転職ですかと尋ねたら、
これから厨房の修理をするという。
経営者は休みの日でも、店の世話にいそがしい。
善光寺仁王門横、長門屋の軒先に、氷の旗がぶら下がって、
門前町も夏になる。
ビールとかき氷のレモンで、さっぱりと散歩の締めにしたのだった。
夕方、ワイン一本携えて、ふたたび通りを下っていく。
おでん屋のひろびろで、月一回恒例の、ひとり一本持ち込みの、
ワインの会があったのだった。
ダボシャツに腹巻き姿、
寅さんのような、蕎麦屋の元屋の店長が、
信州サーモンと、鴨のロースを仕込んできてくれた。
つまみながら、白に赤、テンポ好くボトルが空になっていく。
昼と夜、一日ワインを堪能したのだった。



  


おでん屋にて

2015年06月06日

 へこりと at 09:50  | Comments(2)
水無月 2

6月4日。おでん屋、ひろびろの若旦那が歳をかさねた。
加えて、先代のお母さんから、店を継いで三年となった。
感謝を込めて、今日は、おでん全品50円、飲み物全品300円。
気前の好い、祝いの宴に出かけた。
亡くなったお母さんが店を始めたのが、
平成16年の7月だった。
ビールはアサヒのスーパードライ。酒は紙パックの安いやつと、
長らく、水芭蕉で有名な鬼無里に在があったから、
群馬の水芭蕉を扱っていた。
気さくな人柄と、きっちり正面から向き合う物言いに、
近所のさびれたおじさんや、仕事や恋に悩む若者が、
よく悩み事を打ち明けていたものだった。
その頃、キリンの一番搾りが好きだと伝えたら、
ビールの銘柄を変えてくれた。
山の内の、穂波温泉の高台に別宅があって、
ときどき常連さんとおじゃまをしては、
湯に浸かり、宴で盛り上がっていた。
帰り道に、お蔵さんに寄ったのがきっかけで、
酒の銘柄が、中野市の岩清水に変わった。
酒も変わって人も変わって。
あの頃から変わらぬ顔ぶれは、数えるほどとなっている。
いつのまにか来なくなったり、
お母さんとぶつかって来なくなったり。
転勤していなくなったり。
親しく杯を交わした人も、今ごろどうしていることか。
縁は切れたりつづいたり。
淡淡とそんなものと、今ではわかるのだった。
若旦那が継いでから、
ビールは、このところ好みのサッポロ黒ラベルで、
酒は、地元の信濃光と松尾に、
宮城の銘酒の愛宕の松となっている。
最近、中川村の今錦が加わって、なかなか好いですねと、
今在る縁のかたがたと、酌み交わしている。
開店から来月で11年。
よくよく通わせてもらっているのだった。




  


御開帳がおわり

2015年06月02日

 へこりと at 13:31  | Comments(0)
水無月 1

5月31日、二か月つづいた善光寺の御開帳が終わった。
世の中に、こんなに信心深い人がいるのかと、
連日の混雑ぶりを眺めていた。
6月初日、お参りに伺ったら、
なごりの観光客の姿はあるものの、
うってかわって、いつもの静かな境内なのだった。
朝ごはんを食べてから、ロードレーサーのペダルをこいで、
スーパー銭湯のぶらっとへ出かける。
駐車場から飯綱山を望いだら、緑が夏の気配になっている。
ひとり用の露天風呂に浸かっていれば、目の前の高架を、
北陸新幹線が行き来する。
一時間、ゆっくり汗を流して、
ひと気のない住宅街を抜けて帰った。
昼どき、門前の、蕎麦屋の元屋へおじゃました。
ようやく、ゆっくり昼酒のできる日常にもどって、ほっとする。
入り口わきの入れ込みで、鰊と山菜のお浸しと、
きのこおろしと天ぷらで、エビス二本にお銚子二本。
もりで締めて、こまつやさんへ河岸を変え、
ポテトサラダで白と赤を一杯ずつ。
近所で贅沢を楽しんでから、善光寺で、
御宝庫へ還る御本尊を見送った。
中央通りを下りて行けば、ビルのむこうに、夏の雲が沸いている。
植木商店の軒先では、風鈴の軽やかな音が響いている。
角を曲がって歩いていったら、
東京堂の入り口が開いていたから、覗いてみた。
子供のころ、さんざん世話になった模型屋は、
このごろ、娘さん夫婦が跡をついで営んでいるという。
なつかしい模型を前に、しばし思い出話の相手をしていただいた。
本屋に寄って帰り道を行けば、昼下がりの陽がビルに照り返す。
麦実るこの季節、麦酒もますます美味しくいただける。
夜、元屋の店長と、御開帳ご苦労さんの打ち上げをしたのに、
昼間の酒が効きすぎて、早々につぶれて記憶がない。