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なかなか思い出せない

2011年07月31日

 へこりと at 12:40  | Comments(2)
文月 九

高校の同級生と飲み会をした。
頻繁に会っている友だち二人、
久しぶりの友だち三人、
二十年ぶりに会う友だちがひとりと、
七人でべじた坊さんにて酌み交わした。
知り合って三十年、家庭のことや仕事のこと、
それぞれの近況話しを聞きあえば、
息子が野球をやっていて、試合のたびに、
手伝いに駆り出されるお父さんだったり
小学校のPTA会長をやっているお父さんだったり
いそがしくしている。
奥さんと離婚して、若い彼女と付き合っていたものの、
その彼女とも別れてしまったと、さびしく話す人もいる。
会社を造って社長になったり、大きな会社で、
たくさんの部下を携えて仕事をしている人もいる。
店を経営してるのだから、お前も立派な社長だといわれたものの、
どんぶり勘定の、ゆるい仕事で日銭を稼ぐ身は
社長と呼ばれるにはしょぼすぎる。
高校のクラスメートは四十八人いた。
すんなりと全員の顔と名前が思い出せないところに
過ぎた歳月の長さがうかがえる。
二十年前、ひろしに蕎麦屋で会ったとか、
十年前、病院でにしざわに会ったとか、
偶然会った友だちのことをそれぞれ口にしても
時間のスパンが長すぎて、
今はどうしているのか、まるであてにならない。
もう逝っちゃったやつもいるのかなあと気になるのは
大きな病気をしたり、同じ歳の友だちを
何人か見送っているからとわかる。
旨い料理と酒で懐かしい思い出話にふけり、
たまにはこうして会おうと、宴の席をあとにした。
帰り道、余韻をかかえてリタへ行った。
馴染みの好い友だちと酒を酌む。
歳を重ねるごとに貴重なひとときになると思いながら
白州とマッカランをちびちびと嘗めた。
次の日、同級生の名前を書き出してみたら
四十七人まで連ねたものの、あとひとりがわからず
悶々とする。
風呂に入って頭を洗っていたら、ひょいと思い出したのは
いつもぼそぼそっと低い声でしゃべっていた
原山洋一くんだった。

  


草津まで

2011年07月29日

 へこりと at 15:36  | Comments(4)
文月 八

台風一過を境に、賑やかなあぶらぜみの鳴き声が
路地にひびきだす。
ここへきて、暑さの穏やかな日があれば
一日雨降りの日もあって、
陽気の足取りがばらついている。
冷房の中で仕事をしていると、体が冷えて
足首もぴりぴり痛くなってくる。
ひと区切りつくたびに路地に出て、
陽の照りの中に身をおけば、かえって体がほっとする。
日曜日の夕方、仕事を一時間早く終いにして
温泉へと出かけた。
男友だち三人で草津をめざす。
菅平を抜けて上っていけば、空気もだんだん
涼やかになってきて、
草津の町に入ると、ここかしこに紫陽花が
今が見ごろの色を成していた。
素泊まり三千円の宿に着いたら、早速ひと風呂浴びる。
草津のお湯は酸がつよい。
石鹸を使わなくても肌がつるつるになるから
素肌美人のお湯と、女性の方に薦めたい。
長々湯船に浸かっていれば、冷房に固まった肩や背中の凝りも
ゆっくりとほどけてくる。
連れてきてくれた友だちは、またしても、
付き合っている彼女のことで悩みを抱えていた。
温泉は万病には効くものの、恋の病には効かないからなあと
しみじみうまいことを言う。
風呂のあと、居酒屋にておつかれさまの乾杯をした。
ビールを飲んで、麦焼酎のロックをおかわりすれば
爽やかな旨さがほてった体に気持ちがいい。
湯畑のまわりにはたくさんの観光客の人がいる。
もうもうと立ち上がる湯気を眺めたり、
土産物屋を物色したり、にぎわっている。
年輩のご夫婦に家族連れ、若い恋人同士の姿もあって
その中を男やもめの三人連れでうろつくのは、ちとかなしいものがある。
コンビニで酒のつまみを買い込んで、
持ち込んだ日本酒をちびちびと酌んだ。
ひきつづき話を聞けば、
おおらかに相手を信じればなんということもないのにと、
そんなことを思う。
いさかいあってもいっしょにいられるぬくもりをとるか、
さびしくなってもひとりの自由さをとるか、
思案のしどころはなかなかに決めがたい。
温泉に入って酌み交わし、話を聞くことぐらいはできる。
気のおけない付き合いが、気休めになればありがたい。

  


笑顔がよかった

2011年07月23日

 へこりと at 16:07  | Comments(0)
文月 七

ひまさえあればユーチューブで
なでしこジャパンを見ている。
決勝戦のアメリカ戦は、
いいださんで飲んだ、エビスと愛宕の松と伯楽星と、
モルトで飲んだ、ジントニックとマッカランと
深酒の酔いを吹き飛ばすほどの好ゲームだった。
ほんとうに女性ですか?
聞きたくなるような体格の欧米の選手を相手に
日本の小さな選手たちが、こまめなパスで攻めてゆく。
きっちりと狙いすましたコーナーキックにセンターリング、
シュートを決めれば、どうだと言わんばかりの顔つきの、
宮間のふてぶてしさがかっこいい。
眉毛、もうすこし太くてもいいんじゃないか?
顔を見るたび思ってしまう、澤の同点ゴールに涙した。
PK戦の海堀の好セーブに勝利の期待が高まって、
みごと優勝決まったときは拍手して、
すごいすごいと朝からテンション上がりっぱなしの
一日になる。
この日は久しぶりの友だち酒が待っていた。
朝寝で体を休めたら、駅前の昼からやっている
立ち飲み屋へと出かけた。
サッカー良かったねえ。店のお兄さんと話しながら
ビールを飲んでいたら、
祝杯だあーと、寝不足の顔をして友だちもやってきた。
ひと息サッカーの話題で盛り上がり、
思い出したように友だちがテレビを点けてくれとたのむ。
高校野球の長野県大会が始まって、
友だちの母校の試合が放送されていた。
ぼくも野球やってたんすよお。
店のお兄さんがいうから、ポジションはと聞けば
ピッチャーとショートと答えが返ってきた。
華奢な体に似合わず、肩がつよいのだとわかる。
野球は好きだったのに、高校のときに監督と大ゲンカをしてしまい
やめてしまったという。
選手の力の伸ばし加減や心の育て加減には
指導者の技量によるところ大きく、
ことに伸びざかりの学生のときはなおさらのこととなる。
PK戦の始まる前、円陣組んだ選手を前に
思いあふれた笑顔を見せる、佐々木監督の姿を思い出した。  


初めての銘柄を酌んで

2011年07月21日

 へこりと at 12:19  | Comments(2)
文月 六

日本酒の味を覚えてから来年で二十五年になる。
あまたの銘柄を口にしてきたつもりでも
まだまだ知らないお蔵さんもある。
何かの折に、出会えて酌めたとき、
あまりの旨さに胸がうちふるえることがある。
逆に、あまりの不味さにうちふるえることもあり、
不整脈を持っているのだから、
そんなに胸をうちふるわせては、心臓によくない。
ばりばりと暑い日、
今日のお昼は、生ビールに冷やし中華、
ついでに冷や酒を一、二杯、
汗をかきかき食堂きらくさんへと出かけた。
生ビールでひと息ついてから、
ごまだれの冷やし中華をつまみに、
東洋美人の夏酒を酌む。
山口の銘酒のあとに御主人が出してくれたのは、
島根の出雲富士。
初めて目にする銘柄だった。
米は出雲産佐香錦を使用と書いてある。
きれいな旨みの幅がほど良くて、美味しく頂いた。
久しぶりの同級生と一献酌み交わした。
今宵は上乃家さんで雨後の月をゆるゆると、
そう思いながら足を運ぶ。
入れ込みに座るなり、からさわ君が
今日はこんなのがありますと、
一升瓶を二本並べてくれる。
広島の賀茂金秀に島根の月山。
ともに名前は知ってはいたものの、
初めて目にする銘柄だった。
旨い肴を食べながら酌めば、
加茂金秀は、芯のある旨みが印象的でちからづよい。
月山はきれいで柔らかな味わいが飲み飽きせず、
この日もまた旨き銘柄に、胸うちふるわせることとなる。
雨後の月も飲んだあと、月山の残りを全部もらって
きれいに空けた。
ふだんは付き合いのある酒屋さんの関係で、
信州と東北の酒を酌んでいる。
馴染みのうすい南の地方の銘柄を、
こうした折に飲めるたび、
にっぽんぜんこくつつうらうら、
旨き米の味に触れられるのは、
日本人に生まれたよろこびとつくづく思う。

  


小川のほとり

2011年07月19日

 へこりと at 10:19  | Comments(2)
文月 五

鳥海山はうつくしい。
久しぶりに映画を観に行ったのだった。
朝からもんもんと暑い日で、
日陰を歩いていても汗がとまらない。
映画館の前では、すでに何人かのおじいさんやおばあさんが
開くのを待っている。
藤沢周平さんの作品は年輩の方がたくさん訪れる。
このところ一年に一回ほど、藤沢さんの作品が映画になっている。
気に入りの作家さんだから、上映されるたびに出かけているのに
この間の必死剣鳥刺しは、ぐずぐずしているうちに見逃した。
今回は繰り返さぬよう、上映間もなくに足を運んだのだった。
剣の達人の戌井朔之助が、脱藩した親友を討ち取りに行く。
親友の妻は自分の妹で、
勝気で、やはり剣術のできる妹は、
たとえ兄でも立ち向かってくるかもしれない。
幼いころから妹に想いを寄せていた奉公人の新蔵と、
ふたり旅に出る。
海からのびる鳥海山の山並みや、澄んだ川の流れ、
彩りあざやかな花々の景色。
藤沢さんの作品は、生まれ故郷の山形が舞台になっている。
理不尽な命令に逆らえぬ、下級武士のせつなさに
想いをとげられない身分のちがい、
はしはしに、それぞれの屈託を抱えながら
相手を想う情がうつしだされる。
心臓の高鳴り増すような、はげしい斬り合いのあとに
あたたかな余韻をのこして映画がおわる。
藤沢さんの作品に触れるたび、
いろいろあるけれど人は好いものと、そんな気持ちにさせられる。
映画館を出れば、昼どきの、勢い増した陽に照らされる。
それでも涼とした気持ちでいられるのは、
上質な作品を観たおかげとありがたい。

小川の辺  


福島の酒で

2011年07月12日

 へこりと at 15:39  | Comments(0)
文月 四

友だちごはんに招かれた。
古い付き合いで、ひとり身の栄養不足を気遣って
ときどき声をかけてくれるのだった。
社会人になって最初の夏、訪ねていったことがある。
縁側に座って話をしていたら
お母さんがビールと枝豆をふるまってくれた。
昼間にビールを飲んだのはそれが初めてのことで
恐縮しながら頂いたのを覚えている。
この友だちと、それから幾多あまたの酒を酌んだことか。
お母さんも今では空の上の人になり、
友だちの家に着いたら、まずはいちばん奥の部屋にある、
お母さんの位牌に手を合わせるのをわすれない。
夕方の雨で、空気のざわめきも少し落ち着いた。
縁側からの風が気持ちよく、まずは梅酒で乾杯をする。
上等の味醂で仕込んだ梅酒は、甘さ控えめで、
酸の味が効いている。
べたべた口にのこらない爽やかさがいい。
料理上手な奥さんの作った手料理が並び、
ビールから日本酒へと盃がすすむ。
手土産に写楽の純米吟醸を持っていけば、
あちらは飛露喜の特別純米を用意してくれて
この日は福島の酒二本の飲み比べとなった。
どちらもしっかりとした旨みがあって、
写楽の方が香りの印象がつよい。
福島もまた酒のレベルが高いなあとあらためて
感心しながら酌み交わす。
日本酒に好い感じに酔ってきたところで
ワインの栓も抜いてくれる。
初めて飲んだ城戸さんの白は、酸と旨みのバランスが良く
美味しい味だった。
ふたたび降りだした雨の音を聞きながら
ゆっくりと、くつろいだ酔いに身をまかせた。
馴染みの深い友だちとの酒に、雨の音は好く似合う。
この日、梅雨が明けた。

  


こんな調子で

2011年07月10日

 へこりと at 14:05  | Comments(2)
文月 三

毎日暑い日がつづく。
ビールにハイボールに冷や酒を飲んでは、
腹を出してうたた寝ばかりしているから、
体がしゃきっとしない。
毎年この季節になると、
少しけだるい調子で過ごすこととなる。
そんな調子をふりはらおうと、
仕事が終わるとランニングをしている。
この頃は桜枝町から県庁の前を抜けて、
国道に沿って丹波島橋の手前まで行く。
そこから川沿いの道を戻ってゆく。
風が気持ちよく、里山のむこうに夕焼けが見えれば
きれいだなとぜいたくな気分になれる。
ふたたび県庁の前を通り、妻科から立町を抜けて
西之門町を上がって戻る。
こまつやさんの前を過ぎるとき、
窓越しに慎也さんと目が合えば、
手をあげて挨拶をする。
そのときに決まって、ポテトサラダで
ワインを飲みたい思いにかられるが、
今月はまだお金がないからとがまんをする。
シャワーを浴びて汗を流したら、
体も気持ちもさっぱりと軽くなり、
ハイボールを飲みながら酒の肴を支度する。
馴染みのおでん屋の女将さんに
たくさんのニラをいただいた。
卵を割ってニラ玉を作り、
実家の母にもらったサラダを並べて
さて、ゆっくりと今夜の酒を酌む。
この晩は、しらかば錦で仕込まれた、
十九の純米酒を酌んだ。
かわいた感じの酸のある味わいは、
冷やでも旨いし少し温めても好い。
暑い日の燗酒は、冷房で冷えた体を
ほっとさせてくれるやわらかさがある。
ピスタチオの殻をむき、つまみながら
締めの一杯を酌んでいれば、
酔いに気持ちも落ち着いて、
ときどき足取り乱れたひとときを
繰り返しても、
このくらいの暮らしのほどほどぐあいが
良いのかなという気分になってくる。
占いでは今週は、リラックスした、
過剰でない躍動感が感じられるとあった。
遠からず当たっているかと思う。

  


退職祝いに

2011年07月07日

 へこりと at 20:06  | Comments(2)
文月 二

年上の飲み仲間の人がいる。
馴染みのおでん屋で知り合って
ときどきいっしょに盃を交わすようになった。
上越の海辺の町に別荘があり、
毎日の生活の場をそちらに移してからは
月に一度、長野へ来られたときに
蕎麦屋でいっしょのひとときを酌み交わす。
大きな会社で定年まで勤めたあと、
第二の職場でずっと働いていた。
このたびその勤めも終いとなって、
無事、年金暮らしの身になったのだった。
文月のはじめ、いっしょに暮らしている彼女共々
長野の飲み仲間とあわせて五人で
ごくろうさまでしたの宴を開いた。
いつもより品数の多い肴を
かんだたの中村さんにお願いした。
野菜を中心とした小鉢物に、鮪のづけや豆腐ようといった
酒のすすむ品々がならぶ。
現役で働いていたころは、
毎晩のように権堂の酒場にいたという。
仕事がうまくすすまぬことや、人間関係のしがらみに
家庭でも頭を悩ますことがあったという。
知らない間に酒量も増えて、体調をくずし
今でも薬を飲んでいる。
この頃は外へ飲みに行くことも少なくなった。
彼女の手料理で、まずはウイスキーのロックを一、二杯。
そのあとでワインをふたりで一本空けて、
日本酒か焼酎を飲んでいるという。
そんな晩酌を毎日しているのに、
最近からだの数値が正常になったとにこにこと話す。
はるばる海の景色を見渡したり、
彼女の料理や、地元で獲れる旨い魚を食したり、
趣味のゴルフで体を動かしたり、
そんな暮らしが体と気持ちのストレスを
減らしてくれているのかもしれない。
蕎麦を打つのが趣味の人で、
小さな蕎麦屋をやりたいという。
打ちたてをご馳走になったとき、
素人の域を超えた味の良さにおどろいた。
気に入りの越後の地酒を取り揃え
始められる日が来れば好いと願う。



  


文月になって

2011年07月01日

 へこりと at 11:42  | Comments(0)
文月 一

梅雨どきの、降りそうで降らないうっとおしい
暑さがつづく。
今年も半分がおわり、季節の流れがはやい。
つるばらもすっかり散って、
葉だけが青々と繁っている。
仕事場のうらではどくだみが、今が盛りの
白い花を咲かせている。
紫陽花を抱えて訪ねてきてくれた人がいる。
庭に咲いていたのを採ってきてくれたのだった。
うす緑色の花は、これからだんだん白くなるという。
目にもさわやかなかたまりが、
仕事場を涼しげにしてくれる。
朝の散歩をしていれば、すでにほてった顔をした
学生さんや会社員のおじさんとすれちがう。
城山小学校のプールになみなみと水が入った。
身近な区切りの風景に、夏に成るとあらためて気づく。
仲見世のかどに手ぬぐいを売っている店がある。
窓越しに季節に合わせた柄が飾ってあり、
眺めるのが楽しい。
仕事場に飾ってみようかと思いついた矢先、
土産をいただいた。
奈良に旅行に行った知り合いがいたのだった。
手ぬぐいを挟んで飾る、マグネットのアクセサリーを
買ってきてくれて
意を見計らったような土産がありがたい。
朝顔の柄を求めてきて飾った。
飾った後で俳句歳時記で調べたら、
朝顔は秋の季語とあり、早すぎたと知る。
文月も秋の季語で、暑い最中、昔の人の涼を求める気持ちが
はやばや、秋の季語につながったのかといぶかしむ。
あちくてやだよ~。
タオルで頭を隠した女子中学生三人、
なげきながら帰ってゆく。
夕方になっても陽の勢いがおとろえず、
ほんとにねえとうなづいた。
梅雨の入りが早かったのに、なかなかに明けない。
文月は、七夕の、文を開く月の略という。
月初め早々に祝いごとふたつ、
文といっしょに気持ちを送りたい。