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響12年

2012年01月28日

 へこりと at 17:31  | Comments(4)
睦月 九

寝酒にウイスキーをなめている。
チーズかチョコをかじりながら、ちびちびとやる。
休みの日は、晩酌の手始めに飲むときもある。
ハイボールかロックか水割りで、
まだ明るい夕方の空を眺めながら口にすれば
気持ちがゆっくりとほぐれていく。
昨年の春のはじめ、サントリーの白州蒸留所を
訪ねたことを思い出す。
広い森の中の蒸留所を案内してくれたのは
高橋さんという、目元の涼しいきれいな人だった。
見とれて、
こんな森の中にいないでいっしょに逃げましょうと
言いたくなった。
しらふだったから言わなかった。
酔っていたらまちがいなく言っていた。
気に入りの銘柄は、白州、マッカラン、グレンリベット。
初めて響の12年を買ってみた。
サントリーのチーフブレンダーの、
輿水精一さんの本を読んだのだった。
響はサントリーの創業九十周年の、1989年に誕生したという。
これまで、17年、21年、30年と発売されていて
12年は存在しなかった。
世界の代表的なウイスキーはどのブランドも
12年が商品の主力になっている。
そこに肩を並べられる日本の12年ということで
2009年に発売されたのだった。
華やかな香りのあとに、軽いのど越しの旨みがあって
ひっかかりのない余韻が残る。
梅酒の樽で仕込んだ原酒も使っているといい
いかにも日本のウイスキーらしい特徴と感心した。
ウイスキーを口にしていると、
夜の静けさが身にしみて、物思いにふけりたくなる。
それもまた熟成した酒の味なのかと思う。
頭に浮かぶことといえば、たどってきた道のりの
しくじり事ばかりなのがなさけない。

  


花ひとつで

2012年01月27日

 へこりと at 07:23  | Comments(2)
睦月 八

朝、菩提寺へ行く。
本堂に手を合わせ、先代のご住職の墓に手を合わせ、
祖父母の墓に手を合わせる。
墓地には長野では有名な商家の墓もある。
大きくて立派な墓は、老舗の風格があり
堂々としている。
それなのに花挿しには、いつも変わらぬ造花が
突っ込んである。
不釣合いな造花の貧弱さが、見るたびにかなしい。
納戸の片付けをしていたら、形見の品がでてきた。
いとこの家から頂いたもので、
仕舞いこんだまま忘れていたのだった。
料理人をしていたいとこの使っていた大ぶりの徳利で、
量ってみたら800㏄の量が入る。
仕事のあとに一、二品のあてで飲むのが楽しみでと
話していたのを思い出す。
亡くなったあとに、仕事の流れの良くなかったことや
家族に波風尽きなかったことを耳にした。
飲まなくてはいられない心持ちだったのか。
毎日この徳利一本空けていたのか。
十年前、五十三の歳で肝臓をわるくして逝ってしまった。
古いものが好きな人で、店には伊万里の蕎麦猪口や
昔の柱時計がたくさん飾られていた。
乳白色の地に、さっぱりと青い絵柄の徳利も
年季のほどが感じられる。
半間の床の間に置いたらなかなかに合う。
近所のいちょうえんに行き、ゆきやなぎを買ってくる。
ちいさな葉とちいさな白い花の枝を刺せば、
六畳の部屋の気配に色がでた。
かますの一夜干しを肴に写楽の純米を酌み、眺めれば
ひかえめなたたずまいの枝ひとつで
酒のひとときに奥ゆきがでる。
ささやかなぜいたくと杯をかさねた。
ならんだ枝ものの中に、桜の姿があった。
早いものでもう出ていた。
うすべに色の花を目にすれば、春を待つ思いが増す。
冷え込み和らぐころに求めてきて、飾りたい。



  


こわれませぬよう

2012年01月26日

 へこりと at 06:21  | Comments(2)
睦月 七

昨年炊飯器がこわれてから、土鍋でご飯を炊いている。
慣れれば簡単なもので、より美味しく炊けるから
頂き物の土鍋が重宝している。
掃除機がこわれてから、和箒で部屋を掃いている。
ほこりが立たぬよう、手さばきがていねいになるから
これもまた好い。
洗濯機の調子がわるい。
まわすと、がたがたきーきー不機嫌な音を出す。
ナショナルの優しい愛妻号。
年季が入って優しくなくなってきてしまったか。
冷蔵庫も、振動が大きくなったかと思ったら、
ときどきエラー表示が出る。
一升瓶三本に味噌と醤油。
常備入っているのはこれくらいのもので
負担も少ないはずなのにと、こちらも気になる。
パソコンも立ち上がりがわるいときがあり、
まとめておしゃかにならぬよう、
でかい出費にならぬようびくびくしている。
携帯電話の様子がおかしくなって、ドコモへ出かけた。
充分電池があるのに、
電池が終わりましたと表示が出て、画面が真っ暗になる。
調べてもらったら、
どこにもこわれたところがないといわれ
おかしいなあと首をかしげる。
そういえばと、応対してくれたお姉さんがいう。
短い時間にたくさんのメールを受信すると
機種によっては、こんな反応をすると教えてくれる。
パソコンの立ち上がりがわるくなってから
パソコンに来たメールを携帯電話に転送するように
していたのだった。
それが原因かと思い当たり、
こまめにいらないメールを消すようにしたら
携帯電話の機嫌も直り、安心をした。
今のうちに安い洗濯機と冷蔵庫を調べておこうと
このごろの気がかりごとになっている。
  


ほどほど、なかなか

2012年01月20日

 へこりと at 12:47  | Comments(4)
睦月 六

久しぶりに酒を飲まない日をつづけた。
新年会がつづいた。
連夜の飲み会とわかっているならば
ひかえめに切り上げればよいものを、
場の楽しさに杯を重ね、酩酊して帰るはめになる。
家にたどり着くまでは、酔っていても気が張っている。
玄関の戸を開ければ安心感に気が抜けて
布団までたどりつけず、茶の間のストーブをつけたまま
眠りこけてしまう。
そんな日をくりかえしていたら、疲れもとれず
おまけにストーブに近づきすぎて、腕をやけどした。
自分をいたわることしなければと反省をしている。
酒を飲まないと眠りが浅く変な夢を見る。
双子の姉妹の殺し屋に拳銃で撃たれながら
追われている夢を見た。
ぜんぜん意味がわからない。
一月、仕事がそんなにいそがしくないと思っていたら、
朝から次から次へとお客さんがやって来る夢を見た。
仕事場の外まで人があふれ、
手が足りず、蕎麦屋の元屋の店長に
パーマを巻いてもらっていた。
目が覚めて、夢とはいえずいぶん畑ちがいの仕事を
させてしまったと申しわけがない。
犬の着ぐるみを着て町を歩いている夢を見たことがある。
むこうから大きな犬がやってきて、
飛びかかるな、飛びかかるな、飛びかかるなとびくびくしていたら
牙をむいて跳びかかってきて、
うわあっと絶叫をあげて跳ね起きた。
ほんとに夢でよかったものの、朝から疲労こんぱいした。
ついこの間は、向かいの岸さんのお宅の松の木に
まわし姿のお相撲さんが五、六人ぶら下がっている夢だった。
枝が折れなくてよかったが、ちょっと気持ちがわるかった。
日ごろどんな心持ちでいれば、こんな夢を見るのかわからない。
気持ちよく酔ったときはそんなこともないから
燗酒の温かさに、心身いやされて熟睡しているとわかる。
仕事仲間の友だちが訪ねてきた。
さえない顔をしていると思ったら、
夕べ飲みすぎて二日酔いだという。
こんなに具合のわるそうな顔を見たのは、久しぶりのことだった。
さんざん経験した身は、いたいほどつらさがよくわかる。
ほどほど加減というのがときどきむずかしい。
いや、我が身の場合、毎日むずかしい。

  


雪 酒 黒姫山

2012年01月18日

 へこりと at 19:16  | Comments(4)
睦月 五

窓から見える雪の量が増えてくる。
電車に乗って信濃町へ出かけたのだった。
鳥居川の流れを眺めて行って、古間駅で下りる。
真っ白な平地の中を妙高方面から来た電車が
ごとごと駅にすいこまれていった。
家々の軒先には、太くて長いつららがぶら下がり
この冬の冷え込みがきびしい。
ぶ厚く積もった屋根の雪下ろしをしている人がいた。
寒い中、薄手の格好でしているから
汗をかくほどの重労働とわかる。
古い民家の並ぶ坂道を、上って下りて国道を渡ると、
松尾の蔵元の、高橋助作酒造店が見えてくる。
ここの酒を扱っているセブンイレブンのからさわ君が
蔵見学に行くというから、一緒について来たのだった。
冷えこんだ倉庫には出荷を待つにごり酒が積まれている。
このたびの造りは米の出来が良いから
昨年に比べるとずいぶん楽ですと、杜氏の駒村さんがいう。
試飲をさせてもらったら、戸隠の水で仕込んだ純米酒は
シャープな旨みがあって、冷たいところから常温になると
やわらかさも加わって飲み飽きしない。
試飲だというのにおかわりをしてしまった。
酒を利いて造りの話を聞いて、四合瓶と酒粕を土産に頂いて
恐縮して蔵をあとにした。
帰り道、からさわ君が役場に寄りたいという。
信濃町役場では黒姫駅や古間駅にちなんだ
エッセイや写真を募集して、このごろ作品集を出した。
お母さんの実家が古間にあるから、からさわ君も愛着がある。
古間の商店街を抜けていけば、友だちの酒屋の峰村君が
ごんごんと家の雪下ろしをしていた。
ごくろうさん!声をかけて、役場に寄って黒姫駅へと向う。
雪の壁の向こう、雲の切れ間から黒姫山が顔を出した。
信濃町が故郷の人と暮らしていたことがあって
たびたび訪れていたから、清々しい景色は今も馴染みがあって
ときどき足を運びたい。
学校帰りの女子中学生が三人、雪の上に寝ころんでいる。
寒くないの!とおどろけば、
冷たくて気持ちがいいと返ってきて、
雪の町の子供はたくましいと感心をした。




  


門前町愛着

2012年01月15日

 へこりと at 15:00  | Comments(3)
睦月 四

雪が降っても二日とつづかないからありがたい。
さっぱり晴れた空に、向かいのお宅の煙突から
もくもく煙がのぼってゆく。
薪ストーブ、今日も活躍してますね。
冷え込みきびしい日は煙のいきおいも増し、
路地に燻った匂いが流れてくれば、
なんだかなつかしい気持ちになる。
年明けから成人式をはさんだ連休をすぎて、
善光寺のにぎやかさも落ち着いてきた。
小路を歩いていれば、目にする景色の移り変わりや
肌に感じる風の気配に季節を感じ、
善光寺や菩提寺の寛慶寺で手を合わせれば、気持ちが落ち着く。
この町に住んでことに好いのは
飲み屋の並ぶ権堂や鶴賀界隈に十分で行けることで、
行きは気が急いてさっさと行けるものの
帰りは酩酊してじぐざぐに歩いてくるから
ずいぶんと家までが遠い。
西に向って二十五分歩けば川沿いに温泉があるから
休みの日はおじいさんたちに混じってひと風呂浴びている。
昔に比べると店の数も減り、行きかう人の姿もすくなくなった。
それでもこのところ古い空き家に若い人たちが住み始め
商いを始めたりしているから、町に彩りが出たのは良いことだった。
パスタ屋にカフェ、雑貨屋にケーキ屋に、
もうじきピザ屋もできるという。
権堂へ下りていく中ほどに、若いご夫婦の始めた飲み屋がある。
道すがら、ビール一杯ひっかけてと立ち寄れば
つまみの旨さに日本酒まで飲んでしまい
すっかり出来上がって下りていくこととなる。
休みの日にゆっくり昼酒を楽しめる、旨い蕎麦屋が近くにあるのも
蕎麦好きにはありがたく。
遠出をしなくても、ふらふら歩く範囲で
ぜいたくな時間を過ごせるのはなによりのことだった。
蕎麦屋で過ごしたあとは、きまって西沢書店で本を一冊買って帰る。
小学生のときにエッチな本を立ち読みしていて
おじさんに怒られたことがある。
おじさんは今も元気に店に出ている。


  


水曜日はボッサで

2012年01月14日

 へこりと at 16:27  | Comments(2)
睦月 三

冷え込みきびしい日がつづく。
寒いのはどうにも困ったことなれど、
燗酒をことのほか美味しく感じられるのは
なによりのことだった。
晩酌で、行きつけの飲み屋で、
休日の昼、出向いた蕎麦屋で、
ひとりで、あるいは馴染んだ友だちと
温めた酒のやわらかさにひとときを過ごせば
欲張って生きなくてもよいではないか。
そんな心持ちになる。
ボッサという名の洋風居酒屋がある。
飲み仲間の知り合いがここの店長をやっていて
ときどき足を運んでいる。
広いホールの店で、週末になると結婚式の二次会や
大勢人の集まるイベントでにぎわっている。
そのかわり平日は静かなもので、たてこむこともないから
友だちと出かければゆっくり過ごせるのが好い。
このごろメニューに日本酒を加えたという。
では、月一回の定例の飲み会をボッサでやろうとなった。
蕎麦屋の元屋の若旦那と蕎麦屋の大丸の若旦那と、
本屋のひろみちゃんと、門前町に引っ越してきたあらいさんも交え
酌み交わす。
ビールで乾杯をして日本酒の品揃えを眺めれば、
ずらり信州の銘柄がならんでいる。
北光正宗、若緑、積善に水尾に十九に大信州。
澤の花に佐久の花、御湖鶴、棚田ときて、
松尾に幻舞はもうすぐ入るという。
東西南北の純米、純米吟醸が160㏄でオール500円と
価格も良心的だから、これは飲まなくてはいけないと
酒飲みの血がさわぐ。
新年らしい小鉢のならぶお重に、
知り合いの作る旨い料理をつまみに杯をかさねた。
ボッサでは毎週水曜日にはジャズのライブがある。
この日はピアノとドラムとベースのトリオの演奏で
気に入りのダニーボーイをリクエストして
それぞれに悩み抱える方々と、深ぶか信州の酒に酔ったのだった。


  


新年会

2012年01月08日

 へこりと at 17:19  | Comments(6)
睦月 二

伯楽星の新酒を酌んだ。
震災の後に移転した蔵で造られた純米吟醸の瓶には
新蔵新酒のラベルが貼ってあり、今年の造りへの
意気込みが感じられる。
このあとに出てくる純米大吟醸に特別純米、
本醸造の味も楽しみなこととなる。
好みのほかのお蔵さんでもぽちぽち新酒が出始めて、
これがあるから寒い冬もなんとか乗り切れるのだった。
空き瓶の回収日、たまった酒の瓶を出す。
この日はとくに多かった。
瓶を抱えて三往復。
年明けの三日、我が家で新年会をやったのだった。
仕事仲間の友だち二人と、馴染みの蕎麦屋の御主人と
飲み屋の御主人と新年最初の宴となる。
近所の飲み屋のまちこさんに揚げてもらったコロッケと、
伯楽星の新酒を用意して待てば、
酒とつまみを土産に、慣れ親しんだ顔が集まってくる。
仕事仲間の友だちひとりは、昨年の秋のおわりに結婚をして、
ずいぶん年下の奥さんも連れてきた。
歳をかさねると祝いごとの話も少なくなってくる。
身近にめでたい出来事があったのは、昨年のなによりのことだった。
今年もよろしくたのみます。
乾杯をして、それぞれの話に花が咲き、杯をかさねた。
途中で酔いつぶれ朝目覚めれば、
グラスや器、すっかりきれいに洗ってあって申しわけがない。
ビール六本に日本酒一升半、黒糖焼酎一本に赤ワインが三本。
空瓶がずらりと並び、新年早々よく飲みました。
家で外で気のおけない方々と、今年もほろほろ酌み交わしたい。





  


温泉新年

2012年01月06日

 へこりと at 12:43  | Comments(4)
睦月 一

寒い日は温泉にかぎる。
大晦日、一年さいごの仕事を終えて、父と母と上山田まで出かけた。
さびれた温泉街も、この日は年越しの観光客で
すこし賑わっている。
有田屋さんは上山田の通りの中ほどにある。
家族で営んでいる小ぶりな旅館で、
にこにこ若旦那が出迎えてくれた。
お風呂は硫黄の香りがつよく、程よい湯加減が
肌にやわらかい。
ひと風呂浴びて、部屋で夕餉の膳をかこむ。
今年もお世話になりました。
ご心配ご迷惑おかけいたしました。
父と母に頭を下げて、一年の締めの乾杯をした。
手作りの料理は、ひとつひとつていねいな味付けで
それを肴につぎつぎと徳利が空になる。
宴の途中、女将が挨拶にきてくれた。
大正四年の創業で、私で三代目になるという。
跡を継ぐ若旦那と若女将の夫婦は、美男美女の組み合わせで、
若旦那は、修行先の兵庫のホテルで若女将と出会い、
見染めて上山田へと連れてきた。
昨年娘が生まれて、このごろ一歳になったという。
さんざん食べて飲んで、ひと風呂浴びて横になれば
はあ、極楽極楽と、紅白歌合戦を子守唄に眠りこけた。
次の日、朝風呂にと起きれば
風呂場やトイレに、松のお締めと鏡餅が飾られ、
玄関の広間には、大きな花器に花が活けられていた。
着物姿の女将と若女将がてきぱき働きまわり、
すっかりひきしまった新年の朝になる。
ちっちゃな娘さんもかわいい赤と白のはかま姿で現れて、
お客の目をなごましてくれる。
年明け最初のお湯で体を清め、おせち料理の並ぶ膳にむかう。
今年を無事にすごせますよう。
父と母とお屠蘇で乾杯をすれば、めでたく辰の年の始まりと相成った。