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坂城町まで

2019年11月19日

 へこりと at 16:29  | Comments(0)
霜月 3

美術学校の先生をしている友だちがいる。
この頃、仕事のかたわら彫金作りをしているという。
作品展を開くから足を運べと、
案内のはがきが届いたのだった。
場所は、坂城町の古民家ギャラリー、山小路さんという。
休日、しなの鉄道に揺られて出かけた。
坂城駅の木造の古い駅舎を出ると、
里山の、紅葉黄葉が鮮やかに映えている。
この町には、
上等のぶどうを作っている友だち夫婦が暮らしている。
久しぶりに訪ねて行けば、
今年は不順な天候や台風に、
収穫や出荷が左右されて大変だったという。
この頃になって、ようやく時間に余裕もできたというから、
さっそく宴の日時を取り交わした。
友だち夫婦に見送られて、
ヴィーノ・デラ・ガッタさんへランチに伺った。
住宅街の静かなレストランで、
盛り付け程よい前菜と、食感の豊かな手打ちパスタで、
白を二杯に赤を一杯にシードルを一杯。
まだまだ飲みたい思いを振り切って、
山小路さんへ向かった。
行き当たりばったりにせまい道を進んでいけば、
古くてりっぱなお屋敷が多い。
道々つづくぶどう畑は、すっかり今年の役目を終えて、
褪せた葉っぱが柵の中で揺れていた。
指輪にペンダントにイヤリング。
友だちの遊び心が感じられる作品を眺めて、
再びせまい道を戻っていく。
ひと気のない中、初めてすれ違ったおばあさんが、
こんにちわと声をかけてくれたから、
こちらもにこにこと返事をした。
なんだか町のかたの気さくな人柄に触れられたようで、
気持ちがよかったのだった。
秋晴れの中、のんびりと歩いていると、
気分もよくよくゆったりとなる。
ぶどう畑の広がる小さな町は、
静かで穏やかな空気に包まれている。
また散歩に伺いたいことだった。
















  


霜月しずかに

2019年11月16日

 へこりと at 16:03  | Comments(0)
霜月 2

ゆっくりと秋がすすんでいる。
善光寺界隈の木々の彩りは、
染まりぐあいがいささか浅い。
もうすこし深まるかと待っているうちに、
終わりをむかえているのだった。
冷えこんだ朝、上松の昌禅寺へでかけた。
隠れた紅葉の名所の木々も、
いくらか色味がさっぱりとしている。
爽やかな朱色と黄色の境内に、
朝の木漏れ日がやさしく射していた。
11月、なんとなく気分が冴えず、
紅葉詣でも、こうして近所で済ませただけだった。
出歩くのが億劫で、今月になってから、
馴染みの飲み屋さんへも、顔を出していなかった。
台風が長野に被害をもたらした後、
夜の町もずいぶん静かだという。
足を運ばなければ、
世話になっているご主人がたに、
申しわけがないことだった。
ためしに、昨年と一昨年の手帳を開いてみたら、
やはり、11月は飲み屋通いが少ない。
気持ちの流れが、
いちばん滞ってしまう月なのだとわかる。
そのくせ、ページを1枚めくった12月、
うってかわって、親の仇のように飲み会がつづく。
手帳のすきまが憎いかのように、
あっちの仲間、こっちの仲間と予定を入れてある。
連夜の宴に、体力気力を使い果たし、
懐もすっからかんになって、新年を迎えているありさまだった。
11月はゆっくり休んでいましょう。
心身が、自然と師走に備えているのかもしれない。
今年の12月、
手帳はまだ、きれいな余白のままだった。
なるべくおとなしく、散財しすぎぬよう。
言い聞かせても、なんだかむなしくなるのだった。











  


この秋に

2019年11月06日

 へこりと at 15:16  | Comments(0)
霜月 1

友だちが訪ねてきた。
台風は影響なかった?と聞けば、
会社の倉庫がやられたという。
出来上がった製品が水に浸かってしまったといい、
2億円くらいの損失かなと、力なく笑うのだった。
先月の台風19号は、千曲川の上流から下流にかけて、
大きな被害をもたらした。
家屋への浸水で住まいをうばい、
畑にあふれた泥水は、
丹精込めて作った作物を台無しにした。
橋や鉄橋がくずれ、交通手段が阻まれた。
台風が去った翌日は、
上空を、何度も自衛隊のヘリコプターが行き来して、
救急車のサイレンが、
ひんぱんに町なかに響いていた。
不安な思いで夜を過ごし、
途方に暮れるような被害にあって、
被災されたかたがたの心労を思うと、胸が痛くなる。
この冬の訪れが遅いことを、寒さ厳しくなりませぬよう、
願わずにはいられない。
秋晴れの休日、上田へ出かけた。
城跡公園に行くと、イチョウの色づきは好いものの、
ケヤキ並木が見ごろには早すぎた。
野球場では、揃いのユニフォームの子供たちが、
二手に分かれて試合をしていた。
ピッチャーは、後ろで髪をきゅっとしばった女の子で、
なかなか勇ましいフォームでバッターに向かっている。
ヒット1本、すぐに盗塁を決められたものの、
後続を無事に打ち取ったから安心した。
晴天の空に、子供たちの元気な声が響いていると、
なんだかそれだけでほっとする。
町をひとまわり散策して、上田駅の温泉口に立てば、
台風に堤防を削りとられて崩落した、
別所線の赤い鉄橋が見える。
堤防には長々とブルーシートがかけられて、
そのそばで、作業員のおじさんたちが立っていた。
翌朝の新聞に、堤防が完成して、
あとは鉄橋の復旧が急務と載っていた。
復旧に携わるかたがたの迅速な仕事ぶりに、
頭が下がるのだった。