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上田城跡公園の桜を

2023年03月31日

 へこりと at 08:10  | Comments(0)

弥生 8

馴染みの飲み屋でニュースを観ていたら、
上田城跡公園のソメイヨシノが開花したという。
さっそく桜詣でに出かけたのだった。仕事を終えた夕方、
上田駅を出て、鮨屋の萬寿さんにおじゃまする。
握りをつまみに、お銚子を傾けながら若旦那と
言葉を交わせば、小学生になる愛娘のなおちゃんの入学式は、
4月6日という。桜咲くなか、親子で入学式に向かう姿を
思い浮かべれば、のどかな気分で杯がすすむ。
翌朝、古い飲み屋の並ぶ袋町を抜けて、城跡公園に行く。
通りを渡ってわきの道を進んでいくと、
梅花幼稚園の梅の香りが爽やかに鼻をかすめていく。
なおちゃんの入学する清明小学校を左手にすぎて
公園に着くと、朝から人の姿が多い。
みんな桜の季節を待っていたのだった。
城門前の枝垂桜はひと足早く満開になっている。
門を入った先の真田神社でお参りをして、お堀のまわりを
歩いて行けば、ソメイヨシノがぽつぽつと咲いている。
4月1日から上田城千本桜まつりが開かれて、日没から
ライトアップも行われる。
テキ屋のお兄ちゃんにお姉ちゃんが、早々に屋台の
準備をしていた。
公園をあとにして、上田市立美術館へ下っていくと、
開催中の山下清展に、たくさんの人が訪れていた。
人混みを縫って再びの作品たちを拝見したら、
その緻密と丁寧さに、あらためて、すごいなあと
言葉が漏れた。
この美術館は、いつも好い企画を開いてくださる。
次回は、上田出身の画家、中村直人さんの作品展というから、
楽しみなことだった。
美術館を出て、目の前の上田アリオに入っていくと、
春休みの親子連れでにぎわっている。
お昼どきの食堂街は、どこも混んでいる。
横目で眺めながら出て、天神通りの中華モリタに行くと、
こちらもサラリーマンで満席だった。
しばらく待って,テーブルのひと隅に落ちついて、
チャーシューの盛り合わせで黒ラベルを一本。
ひっきりなしにお客が入ってきて、厨房のお父さんと
息子さんが休む間もなく鍋を振っている。
ウーロンハイを飲みながら、たっぷりと餡のかかった
焼きそばをたいらげて、腹いっぱいで店を出た。
桜の見ごろは週末から来週にかけて。
天気良く、桜が迎える入学式となりますように。

清明の朝や我が児の一歩かな。


  


暖かくなって

2023年03月28日

 へこりと at 08:56  | Comments(0)

弥生 7

春が来た。
日々ゆるやかになる陽気に、気持ちが和む。
大好きな春なのに、唯一花粉が悩みの
種なのだった。花粉症になって40年。
毎晩酒を飲んで体に負荷をかけているせいか、
免疫力が落ちて、年々ひどくなっている気がする。
例年、朝に一回薬を飲めば、一日耐えられたのに、
昨年は薬の効きが悪かった。
朝昼晩、三回飲む日を3日続けたら、体の調子を
おかしくした。今年の花粉もなかなかで、
やはり薬の効きがよろしくない。
それでも昨年の二の舞にならぬよう、薬は一回に
とどめている。
雨上がりの早朝、散歩に出た。
湿り気を帯びたぬるい空気の中を、西に向かって
歩いて行く。
信州大学の裏手の道を進み,源立寺の坂を下りて行くと、
出勤途中のお兄さんが、横を向いて手を振っている。
顔を向けたら、玄関の戸を開けて、ちいさな女の子が
お父さんを見送っていたのだった。
おはようございます。かわいいお子さんですね。
すれ違いざまに挨拶をしたら、
いやあと顔をほころばせる。
かわいくて仕方ないんだろうなあと、眺めたこちらも
温かくなった。
県庁のわきを抜けて裾花川沿いの道を行くと、目の前の高台に、
梅と桃の花が所々で咲いている。
軽やかな川音を聞きながら歩いて行くと、河川敷に
黄色いスイセンが咲き並んでいる。
立ち並ぶ木々も芽吹いて、土手に沿った家々の庭では、白梅に
紅梅が咲いて、爽やかな匂いが風に乗ってくる。歩きながら、
この春初めて鶯の鳴き声が届いたのだった。
橋を渡って川に沿って折り返していくと、裾花公園の
桜の蕾が、今にも咲きそうな勢いで膨らんでいる。
歩く先々の見慣れた景色に、この春を感じられた。
国道の跨線橋を渡って長野駅前に来ると、通勤中の人々と
すれ違う。中央通りを上がって行けば、背中に汗が
にじんでくる。パティオ大門の中庭を覗いたら、河津桜が
すでに葉桜になりかけていた。今年はほんとに
春の足取りが早いことだった。
毎年、近場の桜の名所に出かけている。
塩梅好く見ごろに足を運べるか、この春も桜に気持ちが
あおられるのだった。
自宅に着いたらシャワーを浴びて花粉を落として、
さっぱりと今日の始まりだった。

晴天に目薬上げて花粉症。


  


春少しづつ

2023年03月24日

 へこりと at 09:23  | Comments(2)
弥生 6

彼岸入りの日、朝から雨がぱらついて寒い。
訪ねて来るかたもなく、午前で仕事を終いにして、
善光寺門前のギャラリー、夏至さんにおじゃました。
きれいなお姉さん二人が営むこの店は、器に洋服、
生活雑貨など、気をそそられる作品展を開いているのだった。
先月、着物の古着の展示会の折りにおじゃましたら、
大島紬の羽織がずいぶん手ごろな値段で出ていた。
しかも仕付け糸が付いたままで、古着といっても未使用の
羽織だった。迷わず買ってしまったのだった。
先日、himukasiという服屋さんの作品展を開くと
はがきが来た。直線的でシンプルなデザインが似合いますと
添えられており、気になっての訪問だった。
シャツにズボンにコートを拝見したら、飽きのこない
すっきりしたデザインで、確かに惹かれる。
いくつか見せてもらった中から、春にちょうど好い、
麻素材の黒いシャツとパンツを頂いた。
帰り道に蕎麦屋の昼酒にかどの大丸さんの暖簾をくぐる。
いつものように、店を仕切るお姉さんの笑顔に迎えられ、
野沢菜をつまみにキリンのラガーを酌む。
若旦那の陽一朗さんが亡くなって5年。もう来年は七回忌。
早いものですとお姉さんと言葉を交わす。
にしんの甘露煮で西之門の純米吟醸を酌んで、
温かい月見蕎麦で締めて店を出た。
翌日の19日、朝いちばんに近くの菩提寺の
寛慶寺へ出向く。祖父母と父が眠る墓前に花を添えて
手を合わせてお参りをした。
祖父は生まれる前に亡くなっているから顔を知らない。
祖母は小学校一年の冬に亡くなって、あのときは
ほんとに悲しくてわんわん泣いてしまった。
父はこの日が命日で、この彼岸で七回忌を迎えた。
兄夫婦に甥夫婦に姪夫婦に老いた母、我が家のみんなが無事で
いられますよう、お願いをした。
寛慶寺を出て通りを下り、同じ浄土宗の古刹の
西方寺の門をくぐる。本堂の裏手の墓地に行き、
陽一朗さんの眠る墓前で手を合わせた。
陽さん、今でも会いたいぞ。御家族と、
親しかったみんなの無事を見守っていておくれ。
おおらかだった人柄が懐かしいことだった。
日を置いた彼岸の終日、氏神さんの桜が開花した。
例年よりも半月も早いことだった。
春になったのだなあ。
年を重ねるたびに、桜の趣きがしみじみと
染み入ってくるのだった。

在りし日は今も身近に入彼岸。


  


春先の上田で

2023年03月21日

 へこりと at 09:57  | Comments(0)

弥生 5

日曜日の午後、仕事を早めに終いにして
上田へ出かけた。甲田理髪店で散髪をして、
すぐそばの馴染みの寿司屋、萬寿さんの暖簾をくぐる。
先月伺ったときに、若旦那の愛娘のなおちゃんに、
バレンタインデーのチョコレートを頂いたのだった。
若旦那に、なおちゃんに渡してくださいと、お返しの
ホワイトデーのクッキーを差し出したら、
ありがとうございます、なおも喜びますと愛想をくずす。
なおちゃんはこの春から小学校一年生。
ぴかぴかのランドセルを背負って、小学校に通うのだった。
黒ラベルを空けて、日本酒の収まる冷蔵庫を見たら、
飯山の北光正宗の新酒が鎮座していた。
海老しんじょをつまみに利けば、やや優しい切れのある
味わいが好い。先日、このお蔵さんの息子さんと一献
交わしたのだった。
この冬の造りのさなか、蔵人が全員コロナに感染してしまったと
いう。
それからしばらくしたら、今度は全員インフルエンザに
かかってしまい、おかげで目の回る忙しさだったという。
新酒の味を利きながら、ご苦労さまでしたと想いを馳せた。
この日は北光一本と決めて、杯をかさねながら握りをつまんだ。
翌朝、目を覚ましたら雨が降っている。
軽井沢の安東美術館に行こうと思っていたのに、
肌寒い陽気に気持ちが萎えた。
そういえば、年が明けてから、上田駅前の馴染みの蕎麦屋、
東都庵にまだ顔を出していなかったと思い出す。
昼近くまで惰眠をむさぼって、東都庵へ出かけた。
いつものように、お母さんと娘さんの笑顔に迎えられ、
お通しの野沢菜の煮つけで黒ラベルを酌む。
ほどなくサラリーマンや常連客で店内がいっぱいになる。
ただいま満席でと来客を断るお母さんに、相席でも良いですよと
声をかけ、見知らぬかたの顔を向かいにビールを飲み干した。
さて日本酒をと冷蔵庫を覗いたら、地元の登水の新酒があった。
揚げなすをつまみに利いてみたら、透明感のある旨味が
実に好い。登水一本と決めて三杯飲んで、もりで締めた。
雨が上がって、市立美術館の山下清展へ再訪しようかと
思ったものの、登水が効きすぎて酔い酔いで、
昼寝したいですと引き返した。
目が覚めた夕方、再び東都庵に出かけたら、さっきは相席
してくださってありがとうございましたと、
牛筋の煮込みとポテトサラダを出していただいた。
つまみながら、またしても登水を酌んで、上田の夜に
身もほどけたのだった。

チョコくれた少女にクッキー春の夜。


  


山下清展へ

2023年03月17日

 へこりと at 07:49  | Comments(0)

弥生 4

ついこの頃、近所の長野県立美術館で、
信濃デッサン館展が開かれていた。
かつて、上田市の塩田平に、作家、窪島誠一郎が
開いた信濃デッサン館が在った。
村山槐多、関根正二、野田英夫など、若くして亡くなった
画家の作品を展示していて、5年前に閉館した際に、
収蔵作品を県立美術館に託されたのだった。
信濃デッサン館は、開館して間もないころに二度、
足を運んだことがある。
作品を拝見するのはそれ以来のことだった。見終わって、
階下の展示場へ行くと、長野県の小中学生の絵画展を
開いていた。地域ごとに並べられた作品を観ていくと、
色使いに構図、捉えた景色に、
いやいや、みんな上手だなあと、ほれぼれ感心して
しまった。子供たちの健気な気持ちが作品に現れていて、
気持ちが温かくなったのだった。歩いてすぐの場所に
美術館が在って、好い作品への余韻を抱えながら、
歩いてすぐの蕎麦屋で一献。まことに贅沢なことだった。
先日、上田市立美術館の山下清展へ足を運んだ。
大正11年に東京で生まれ、幼いころの病気がもとで、
知的障害になったという。
その後入学した養護施設でちぎり絵と出会い、
恩師の指導を受けて、才能が花開いたのだった。
展覧会や個展で多くの人の目に触れると、すぐに
人気が出たという。
養護施設を飛び出して長らく放浪していたものの、
放浪先で絵を作ることはなかったという。
旅先で観た景色を鮮明に覚えており、施設に戻ってきては
作品を仕上げていたというから、とてつもない記憶力だった。
作品を拝見していくと、当時の紙質なのか色質なのか、
時間の経過のせいなのか、貼り絵に派手な感じが見られない。
やや褪せた感じの色合いの作品が並び、
有名な「長岡の花火」も、むしろ落ちついた雰囲気が
感じられる。このたびの作品展では、貼り絵の他に、
油絵に水彩画にペン画も展示されていた。
どの作品も緻密に丁寧に描かれており、
集中力もまたすごいと目を見張った。
昭和46年、脳出血で亡くなった。このかたもまた、
49年の短い生涯だった。
並行して市立美術館収蔵の、村上早展も
開かれている。気に入りの版画家で、久しぶりに
拝見できたのもありがたいことだった。
どちらも四月初めまで開いているから、もう一度
来ることとする。
美術館を出て城跡公園に行くと、すでに白梅に紅梅が
咲いている。今年は桜の開花が早そうだな。
年々、春を迎えられることが、有難くなっているのだった。

頚椎に痛みかすかや梅開く。


  


甥っ子の結婚式で

2023年03月11日

 へこりと at 09:08  | Comments(0)
彌生 3

二月十九日、宮崎の地で甥っ子の結婚式に
参加した。
ホテルを出て、式場の青島神社へ向かう。
道すがらに見えた、
ひなたサンマリンスタジアム宮崎では、侍ジャパンを
拝もうと、見物客があふれていた。
青島神社は、宮崎駅から15キロ離れた青島に在る。
緑に囲まれた島全体が境内といい、長い橋を渡って
行くと、なだらかな砂浜に立つ、赤い鳥居が見えた。
島に沿った海辺には、鬼の洗濯板といわれる、
波に削られた,ごつごつと平らな岩が延々と
つづいている。
紋付き袴の甥っ子と、白無垢姿の新婦を、
南国の穏やかな陽射しと海と空が迎えてくれた
のだった。甥っ子の父の我が兄と義姉、新婦の
親族が揃い、立派な赤い拝殿で式を行った。
神主さんの祝詞が唱えられ、新郎新婦の三々九度の
盃が交わされ、厳粛なひとときが過ぎた。
無事に執り行われ拝殿を出れば、外人の観光客たちが、
つぎつぎと新郎新婦にカメラを向けてくる。
甥っ子たちも、英語で語りかけながら笑顔で応えていた。
神社をあとにして、披露宴会場のレストランに向かえば、
招待客が集まっている。
ピアニストの兄の演奏で主役の二人が登場すると、
会場は明るい熱気と拍手に沸く。
二人の生い立ちや、これまでの暮らしぶりが、
笑顔の映像と共に紹介された。
それぞれの友人に、職場の上司やかつての恩師の祝辞が
あり、和やかな時間が過ぎていく。式の後半、甥っ子の
大学時代の音楽仲間たちが、この日のために作ってきた
曲を披露してくれた。ドラムにベースにギターに
ボーカル、五人の仲間が、演奏熱唱してくれた。
ボーカルの彼は、唄っている途中で感極まって
涙声になり、甥っ子もしみじみとした顔で
見つめていた。
好い仲間たちではないか。甥っ子のこれまでが、
温かな縁に支えられていたことが嬉しかった。
列席している皆さんも、皆晴ればれと好い顔を
している。
たくさんの明るい笑顔を拝見したのは、
久しぶりのことだった。
新郎新婦の両親への感謝の気持ちが述べられ、
無事に、記念の一日を終えられた。
丸くなるな、星になれ。
寒い冬、暖かな地で素敵なひとときを頂いた。
たけ、らんちゃん、ありがとよ。

祝宴の友の涙や春の海。


  


上田の中華屋で

2023年03月10日

 へこりと at 07:54  | Comments(0)

彌生 2

上田へ出かけた。市立美術館で、画家、山下清の
作品展が開かれているのだった。
駅前から美術館までの間に、天神商店街がある。
クラフトビールの天神ブリュワリーに、焼き肉の
鮮烈ホルモンに焼き鳥の明治屋と、ここから。
老舗の、鰻の若菜館と馬肉うどんの中村屋と、
とんかつの一力と、それぞれ訪れたことがあり、
どこも旨い。そこに混じって、中華屋モリタが在る。
間口の狭い年季の入った店構えは、以前から気になって
いたものの、まだ足を踏み入れたことがなかった。
美術館へ行く前の昼酒に立ち寄ってみたのだった。
扉を開けるとサラリーマンが二組、昼飯を食べている。
外観同様、店内も昭和の落ち着きがある。
奥のテーブルでは、野球帽をかぶったおじいさんが、
スーパードライと紹興酒を飲みながら腑抜けていた。
ビールを水がわりに紹興酒ですか。
おじいさん、昼間から素敵です。
品書きを開いてみれば、麺類とご飯ものと一品料理、
どれも値段が手頃で好い。しかも麺は自家製麵とある。
家族で営む店で、厨房でお父さんとお母さんと
息子さんが料理を作り、お嫁さんがお運びをしている。
壁に貼ってある古い新聞の切り抜きは、開店当時の
ものだった。昭和43年創業で、今年で55年を迎える。
新聞の写真を見ると、かつてこの通りは、
ニューパール通りと呼ばれていた。お嫁さんに尋ねたら、
ニューパールという映画館が、中村屋の向かいに
在ったという。ビールは、アサヒとサッポロとキリンを
揃えている。
辛味の効いた揚げワンタンをつまみに黒ラベルを
飲んでいたら、おじいさんの友だちのおじさんが
入ってきて、一緒に飲み始めた。厨房からお母さんが
出てきて、餃子食べる?とおじいさんに尋ねながら、
漬け物を出していた。
うん。それと野菜炒めもちょうだいとおじいさんが
答える。しばらくすると、お父さんがやって来て、
またなにやらつまみを出しながら、おじいさんの友だちに、
どう、景気は?と話しかければ、
ぜんぜんだめだよー。駅前で待っていても、だーれも
乗らないんだもんとこぼす。
タクシーの運ちゃんで、夜勤明けの昼飲みと察しがついた。
お父さんの服や前掛けに白い粉がついていて、
麺はお父さんが打っているのだった。
家族で営んでいて、だらしのないヨッパに優しい店は
間違いがない。好い店だのおと思いながら、
ウーロンハイを頼んだら、なかなか濃い目の味だった。
あっさりと優しい味のラーメンで締めて、次回は
焼きそばかな。
再訪が楽しみなことだった。

長閑なり酔って腑抜けのじいさんと。


  


宮崎まで

2023年03月03日

 へこりと at 08:19  | Comments(0)

弥生 1

九州の宮崎へ出かけた。
甥っ子の結婚式があったのだった。
函館で暮らす兄夫婦の子で、高校を卒業したのち、
宮崎大学へ進学した。
卒業後、地元の飲食店に勤めて、お嫁さんと
知り合った。二年前の七夕の日に入籍したものの、
コロナ禍で、なかなかお披露目が出来なかった。
ようやく祝いの宴の日を、迎えられるのだった。
羽田から飛行機に乗り、宮崎空港を出たら、
あ・・暑い・・・
氷点下の長野から来た身は、コートを脱いで
上着を三枚脱いでしまった。
電車に乗り換えて宮崎駅に行ったら、甥っ子夫婦が
黒ラベルを片手に出迎えてくれた。
大きな通りを歩いて行くと、いたるところに
ヤシの木が並んでいる。ホテルにチェックインをして、
散策に出た。
繁華街を歩いて行くと、規模がでかい。
歩けども歩けども、延々と縦横に通りが続いている。
立ち並ぶ店を眺めれば、
地鶏地鶏地鶏、ホルモン、焼き肉、地鶏地鶏地鶏、
ホルモン、焼き肉、地鶏地鶏地鶏・・・
どんだけ肉が好きなんだ・・・
昭和の風情の残る繁華街にも、ヤシの木が高々と
並んでいて、なんとも個性豊かな景色だった。
一軒の店に立ち寄って、さっそく地鶏焼きを
注文したら、思いのほか肉が柔らかく、味も
そんなにしつこくない。黒霧島のお湯割りを
飲みつつ、いくらでも焼酎がいけるなあと
思った次第だった。
宮崎で酒といえば焼酎で、品書きに芋に麦、いろんな
銘柄が並んでいる。日本酒は、申しわけ程度にふたつ。
織田信長に豊臣秀吉という得体の知れない銘柄が
あった。店員さんに尋ねたら、岐阜の酒だという。
九州には、佐賀や福岡という銘酒処があるのに、
残念なことだった。
九州は、醤油が甘いと聞いていた。
刺身を頼んで、なめてみたら、・・・確かに。
甘いというか優しい味というか、地元長野の
かどの立ったしょっぱい味とは全然ちがう。
さつま揚げを頼んだら、これまた甘い味付けだった。
山に囲まれ寒さ厳しい長野とちがい、初めての宮崎は、
なんともおおらかな空気の土地と感じられた。
そんな風情が地元の味にもうかがえたのだった。
店を出てホテルに戻る道すがら、うどん屋が在った。
品書きから選んだ釜揚げうどんは、やっぱりかなり
甘い汁だった。

ヤシの木と地鶏の街や春の月。