たるんだ身を
如月 6
日の出がはやくなって、冷え込んだ朝の空気が、
すこし丸みをおびてきた。
冬は善光寺へお参りに来る人の姿も、
めっきり減っていた。
毎朝見かけた、おじいさんやおばあさんが来なくなり、
犬の散歩のついでに寄り集まっては、
談笑していた愛犬家のかたがたも見なかった。
このごろになり、待ちわびたように、
ぽつりぽつりと、人の姿も増えているのだった。
12月からの3か月、体を動かすことをせずに、
飲み食いばかりしていたら、体が重たくて切れがわるい。
朝夕の冷え込みに負けて、
腰と膝の古傷の痛みを言いわけに、
汗をかくのをさぼっていた。
友だちに、太ったんじゃない?といぶかしがられ、
たしかに、締まりがなくなってますと冴えないのだった。
胃腸のよわい体質で、すぐに腹をこわす。
おかげで、体重が増えることがなく、
高校時代のままだった。
二年前から、明治のヨーグルトR1を飲むようになってから、
あきらかに調子が良くなった。
口にしたものすべてが、
身に付くようになったのかもしれない。
免疫力がつよくなって、花粉症が治る。
そういわれて飲みはじめたのに、
そちらのほうはさっぱりだから、うまくいかないのだった。
女性は太めが好みでも、
我が身が太くなるのはおもしろくない。
気持ちのたるみがあるから身もたるむ。
季節も変わる折り、
日々の在りかたを見返さないといけないのだった。
早朝、散歩に出た。
運動着に着替えて、氏神さんの階段を上がれば、
東の空を乳白色の雲が流れていく。
拝殿にお参りをして、ラジオ体操をする。
旭山の上に、ぽっかり月が浮かんでいた。
日の出まえの一時間の気配が好き。
そうブログに書いていたのはどなただったか。
思いだしながら早足で歩きだす。

日の出がはやくなって、冷え込んだ朝の空気が、
すこし丸みをおびてきた。
冬は善光寺へお参りに来る人の姿も、
めっきり減っていた。
毎朝見かけた、おじいさんやおばあさんが来なくなり、
犬の散歩のついでに寄り集まっては、
談笑していた愛犬家のかたがたも見なかった。
このごろになり、待ちわびたように、
ぽつりぽつりと、人の姿も増えているのだった。
12月からの3か月、体を動かすことをせずに、
飲み食いばかりしていたら、体が重たくて切れがわるい。
朝夕の冷え込みに負けて、
腰と膝の古傷の痛みを言いわけに、
汗をかくのをさぼっていた。
友だちに、太ったんじゃない?といぶかしがられ、
たしかに、締まりがなくなってますと冴えないのだった。
胃腸のよわい体質で、すぐに腹をこわす。
おかげで、体重が増えることがなく、
高校時代のままだった。
二年前から、明治のヨーグルトR1を飲むようになってから、
あきらかに調子が良くなった。
口にしたものすべてが、
身に付くようになったのかもしれない。
免疫力がつよくなって、花粉症が治る。
そういわれて飲みはじめたのに、
そちらのほうはさっぱりだから、うまくいかないのだった。
女性は太めが好みでも、
我が身が太くなるのはおもしろくない。
気持ちのたるみがあるから身もたるむ。
季節も変わる折り、
日々の在りかたを見返さないといけないのだった。
早朝、散歩に出た。
運動着に着替えて、氏神さんの階段を上がれば、
東の空を乳白色の雲が流れていく。
拝殿にお参りをして、ラジオ体操をする。
旭山の上に、ぽっかり月が浮かんでいた。
日の出まえの一時間の気配が好き。
そうブログに書いていたのはどなただったか。
思いだしながら早足で歩きだす。
朝の散歩で
如月 5
ニュースを見ていたら、飯田市で梅が咲いたという。
渓流釣りが解禁になり、御代田町の湯川で、
イワナを釣っているおじさんがインタビューを受けていた。
翌朝、曇天の空の下、散歩に出た。
今日はこれから雪になるといい、明日はよく晴れるという。
この冬は、すっかりそんな天気のくりかえしですぎている。
蔵春閣の入口の梅を見上げたら、
こちらはまだ開く気配がない。
清泉女学院の入口は、かたく門が閉ざされて、
用のないかたの立ち入り禁止と貼ってある。
その昔、夜中にテニス部の部室に侵入して、
運動着を盗んだ同級生を思いだした。
堀切橋を渡っていくと、雲の切れ間から陽が見えた。
招魂社でお参りをして、城山団地の中を抜けていったら、
にぎやかな、集団登校の小学生とすれちがう。
坂を下りておおきな通りを渡っていくと、
白い肩掛かばんが目印の、
柳町中学校の女の子が、急ぎ足で追い越して行った。
県短期大学の時計台を見上げながらすぎて、
相ノ木通りを渡る。
三輪小学校のグラウンドは、遊んでいる子の姿もなく、
あっけらかんとしていた。
踏み切りの手前を右に折れて、
線路沿いの道を歩いていけば、
ぎっしり人を詰め込んだ、銀色の電車が走っていった。
その先の踏み切りでは、黄色い旗を持ったおじさんが、
通学途中の子供たちの安全を見守っている。
セブンイレブンに立ち寄って、珈琲を飲みながらひと休み。
歩いていると、風の肌ざわりに、
この春ももうじきのこととわかるのだった。
ついでにもうひとつ身に染みた。
30分の散歩で、目がしばしばになり鼻水が出てきた。
もう花粉が舞っていて、
毎年それだけが、春のやっかいごととうらめしい。

ニュースを見ていたら、飯田市で梅が咲いたという。
渓流釣りが解禁になり、御代田町の湯川で、
イワナを釣っているおじさんがインタビューを受けていた。
翌朝、曇天の空の下、散歩に出た。
今日はこれから雪になるといい、明日はよく晴れるという。
この冬は、すっかりそんな天気のくりかえしですぎている。
蔵春閣の入口の梅を見上げたら、
こちらはまだ開く気配がない。
清泉女学院の入口は、かたく門が閉ざされて、
用のないかたの立ち入り禁止と貼ってある。
その昔、夜中にテニス部の部室に侵入して、
運動着を盗んだ同級生を思いだした。
堀切橋を渡っていくと、雲の切れ間から陽が見えた。
招魂社でお参りをして、城山団地の中を抜けていったら、
にぎやかな、集団登校の小学生とすれちがう。
坂を下りておおきな通りを渡っていくと、
白い肩掛かばんが目印の、
柳町中学校の女の子が、急ぎ足で追い越して行った。
県短期大学の時計台を見上げながらすぎて、
相ノ木通りを渡る。
三輪小学校のグラウンドは、遊んでいる子の姿もなく、
あっけらかんとしていた。
踏み切りの手前を右に折れて、
線路沿いの道を歩いていけば、
ぎっしり人を詰め込んだ、銀色の電車が走っていった。
その先の踏み切りでは、黄色い旗を持ったおじさんが、
通学途中の子供たちの安全を見守っている。
セブンイレブンに立ち寄って、珈琲を飲みながらひと休み。
歩いていると、風の肌ざわりに、
この春ももうじきのこととわかるのだった。
ついでにもうひとつ身に染みた。
30分の散歩で、目がしばしばになり鼻水が出てきた。
もう花粉が舞っていて、
毎年それだけが、春のやっかいごととうらめしい。
冷えた休日に
如月 4
マイナンバーカードを取りに来いと通知が届いた。
休日の朝、通りを下って市役所まで出向いた。
この冬は寒暖の差がはげしく、ころころと陽気が変わる。
前日は、朝から一日暖かく、
春が来たかのように和んだ。
今朝はずいぶん気温が下がり、ちらちら雪が舞っている。
褪せた街路樹のむこうに、モノクロの空がひろがっていた。
権堂のアーケードを歩いていくと、
通勤途中のおじさんたちが、急ぎ足ですぎて行く。
夜はさびれた風情の鶴賀の飲み屋街も、
朝は、間の持たないしらけた気配になっている。
写真屋のわきの小路を抜けると、
馴染みの飲み屋の前に出る。
来月いっぱいで店じまいをすると、
知らせを受けたのだった。
恰幅のよい御主人と、愛想の良い奥さんで営んでいて、
酒の品ぞろえが好く、料理も旨い。
そのわりに値段が手ごろだから、
酒徒にも、酒を飲まないかたにも、
迷わずお勧めできる店だった。
なくなってしまうのは、よくよくさみしいことなのだった。
ひと気のない緑町の小路を抜けると、
建て替えられたばかりの、市役所の前に出る。
入り口を入って、
係りのお姉さんの指示に従って、手続きをした。
暗証番号を決めろと言われ、
どんなときでも使っている、好みの酒の銘柄に、
ゆかりの数字を組んだ番号を入力する。
すみやかにカードを受けとって、来た道をひき返した。
中央通りに出て上がっていくと、
スキー板を担いだ外人さんたちとすれちがう。
この頃は長野でも、
外人さんを見かけることが、すっかり珍しくなくなった。
かどの大丸さんで、
ビールとかけ蕎麦の朝ごはんを済ませたら、
そのままぶらぶら散歩をする。
西側の通りをまっすぐ行った先に、
友だちの営む本屋兼カフェがある。
立ち寄って、久しぶりのお顔を拝見しながら、
コーヒーを二杯。
春を待つ桜の話でひととき温まった。
休日のたびに、町を徘徊して、昼酒の算段をして。
飽きることがないのだった。

マイナンバーカードを取りに来いと通知が届いた。
休日の朝、通りを下って市役所まで出向いた。
この冬は寒暖の差がはげしく、ころころと陽気が変わる。
前日は、朝から一日暖かく、
春が来たかのように和んだ。
今朝はずいぶん気温が下がり、ちらちら雪が舞っている。
褪せた街路樹のむこうに、モノクロの空がひろがっていた。
権堂のアーケードを歩いていくと、
通勤途中のおじさんたちが、急ぎ足ですぎて行く。
夜はさびれた風情の鶴賀の飲み屋街も、
朝は、間の持たないしらけた気配になっている。
写真屋のわきの小路を抜けると、
馴染みの飲み屋の前に出る。
来月いっぱいで店じまいをすると、
知らせを受けたのだった。
恰幅のよい御主人と、愛想の良い奥さんで営んでいて、
酒の品ぞろえが好く、料理も旨い。
そのわりに値段が手ごろだから、
酒徒にも、酒を飲まないかたにも、
迷わずお勧めできる店だった。
なくなってしまうのは、よくよくさみしいことなのだった。
ひと気のない緑町の小路を抜けると、
建て替えられたばかりの、市役所の前に出る。
入り口を入って、
係りのお姉さんの指示に従って、手続きをした。
暗証番号を決めろと言われ、
どんなときでも使っている、好みの酒の銘柄に、
ゆかりの数字を組んだ番号を入力する。
すみやかにカードを受けとって、来た道をひき返した。
中央通りに出て上がっていくと、
スキー板を担いだ外人さんたちとすれちがう。
この頃は長野でも、
外人さんを見かけることが、すっかり珍しくなくなった。
かどの大丸さんで、
ビールとかけ蕎麦の朝ごはんを済ませたら、
そのままぶらぶら散歩をする。
西側の通りをまっすぐ行った先に、
友だちの営む本屋兼カフェがある。
立ち寄って、久しぶりのお顔を拝見しながら、
コーヒーを二杯。
春を待つ桜の話でひととき温まった。
休日のたびに、町を徘徊して、昼酒の算段をして。
飽きることがないのだった。
真田丸を楽しみに
如月 3
城下町の上田が好きで、ときどき訪れている。
そこかしこに昔の風情ののこる静かな町並みが好く、
ぶらぶら歩きまわっては、蕎麦屋の昼酒をたしなんでいる。
このたびNHKの大河ドラマで、
上田ゆかりの真田一族を描いた、「真田丸」が始まった。
上田びいきの身は、見逃すわけにはいかない。
1月10日の初回の放送で、どんと六文銭が映ったときは、
ちょっと胸がじんときた。
地元のかたのよろこびはさぞかしと、うかがえるのだった。
これまでに5話が放送されて、
毎回、草刈正雄の存在感ある芝居にほれぼれとしている。
ドラマの放送に合わせて、上田城跡公園に
真田丸 大河ドラマ館ができたという。
電車に乗って足を運んだのだった。
上田駅を出れば、真田氏ゆかりの地を巡る、
周遊バスの案内が目に留まる。
上田高校のわきを抜けていけば、
グラウンドで男の子たちが運動をしていた。
上田第二中学校は、改築工事の真っ最中で、
白い塀のむこうに、お城のような構えの、
おしゃれな校舎が建っていた。
冬枯れのけやき並木を眺めながら公園に入れば、
朝の冷え込みに、お堀の水も白く凍っている。
雪を積んだ石垣のわきでは黄色いクロッカスが咲いていて、
陽あたりの良い場所の梅の木は、淡く開花していた。
急な石段を上り、櫓の中を覗いてから、
ドラマ館へ向かう。
館内では、真田氏の生きた時代と人間関係の説明や、
役者さんたちが身につけた衣装に、
赤備えの甲冑が展示されていた。
おおきなスクリーンでは、上田市での撮影の様子が流れ、
見晴らしの好い景色が映しだされていた。
出口の手前には、
出演者のかたがたのサインがずらりと並べられ、
内野聖陽、近藤正臣、
藤岡弘に桂文枝に西村雅彦などなどなど、
そうそうたる名前をほれぼれと眺めた。
城跡公園の桜が満開になるころ、
さらにたくさんの人が訪れて、
上田の春が盛りあがる。
まさに上田イヤーの1年なのだった。

城下町の上田が好きで、ときどき訪れている。
そこかしこに昔の風情ののこる静かな町並みが好く、
ぶらぶら歩きまわっては、蕎麦屋の昼酒をたしなんでいる。
このたびNHKの大河ドラマで、
上田ゆかりの真田一族を描いた、「真田丸」が始まった。
上田びいきの身は、見逃すわけにはいかない。
1月10日の初回の放送で、どんと六文銭が映ったときは、
ちょっと胸がじんときた。
地元のかたのよろこびはさぞかしと、うかがえるのだった。
これまでに5話が放送されて、
毎回、草刈正雄の存在感ある芝居にほれぼれとしている。
ドラマの放送に合わせて、上田城跡公園に
真田丸 大河ドラマ館ができたという。
電車に乗って足を運んだのだった。
上田駅を出れば、真田氏ゆかりの地を巡る、
周遊バスの案内が目に留まる。
上田高校のわきを抜けていけば、
グラウンドで男の子たちが運動をしていた。
上田第二中学校は、改築工事の真っ最中で、
白い塀のむこうに、お城のような構えの、
おしゃれな校舎が建っていた。
冬枯れのけやき並木を眺めながら公園に入れば、
朝の冷え込みに、お堀の水も白く凍っている。
雪を積んだ石垣のわきでは黄色いクロッカスが咲いていて、
陽あたりの良い場所の梅の木は、淡く開花していた。
急な石段を上り、櫓の中を覗いてから、
ドラマ館へ向かう。
館内では、真田氏の生きた時代と人間関係の説明や、
役者さんたちが身につけた衣装に、
赤備えの甲冑が展示されていた。
おおきなスクリーンでは、上田市での撮影の様子が流れ、
見晴らしの好い景色が映しだされていた。
出口の手前には、
出演者のかたがたのサインがずらりと並べられ、
内野聖陽、近藤正臣、
藤岡弘に桂文枝に西村雅彦などなどなど、
そうそうたる名前をほれぼれと眺めた。
城跡公園の桜が満開になるころ、
さらにたくさんの人が訪れて、
上田の春が盛りあがる。
まさに上田イヤーの1年なのだった。
善光寺燈明祭りに
二月になって、冷え込みのきびしい朝がつづく。
この冬は雪がすくなく、空気が乾燥しているのも、
寒さを際立たせているのかもしれない。
それでも陽が上がり、晴れた空を見上げれば、
温まる空気の肌ざわりに、柔らかさが感じられるようになった。
今年の春ももうすぐのことと、気分が癒されるのだった。
二月上旬、今年も善光寺の燈明祭りが始まった。
仁王門に山門に本堂がライトアップされて、
まわりの宿坊も門戸を開いて、精進料理などを提供する。
ふだん静かな、夜の門前界隈がにぎやかになるものの、
喜んでばかりもいられないのだった。
期間中、仲見世の土産物屋もずっと店を開けている。
ところが、訪れるのは地元の人がたいがいだから、
土産を買っていかない。
界隈の蕎麦屋では、スタンプラリーを行なっている。
12店舗ぜんぶまわると景品がもらえるという企画で、
ふだんの量の半分の、半ざる半かけで提供しているから、
いそがしいわりに売り上げがない。
おおきなイベントを、まわりで商いをするかたがたの、
体力気力とがまんが支えているのだった。
初日の土曜日、友だち夫婦と連れだって出かけた。
赤く照らされた本堂を眺めて、中央通りへ行くと、
道いっぱいに、小学生や中学生の作った灯篭が並んでいた。
どの作品も絵柄が個性にあふれていて、
なかなかのものと感心した。
陽が沈むと、二月の冷え込みに身もふるえる。
そのまま鶴賀の千酔さんの入れ込みに落ち着いたのだった。
月曜日の夕方、晩酌をしていたらメールが来た。
なじみの蕎麦屋の若旦那からで、
仕事の合間に、他の蕎麦屋を食べ歩いたらしい。
蕎麦の写真が添えてあり、
スタンプラリー、最大の難関は間違いなくこの店だと思います。
蕎麦が喉を通らなかったという台詞に、
思わず笑いがこみ上げて、どの店か容易に見当がつく。
おそろしく不味い店があるのだった。
そのおかげで、蕎麦好きの身でも、
スタンプラリーが制覇できないでいる。
祭りの喧騒が終わったら、ゆっくりと一献。
馴染みの店でののひとときが待ち遠しいのだった。

この冬は雪がすくなく、空気が乾燥しているのも、
寒さを際立たせているのかもしれない。
それでも陽が上がり、晴れた空を見上げれば、
温まる空気の肌ざわりに、柔らかさが感じられるようになった。
今年の春ももうすぐのことと、気分が癒されるのだった。
二月上旬、今年も善光寺の燈明祭りが始まった。
仁王門に山門に本堂がライトアップされて、
まわりの宿坊も門戸を開いて、精進料理などを提供する。
ふだん静かな、夜の門前界隈がにぎやかになるものの、
喜んでばかりもいられないのだった。
期間中、仲見世の土産物屋もずっと店を開けている。
ところが、訪れるのは地元の人がたいがいだから、
土産を買っていかない。
界隈の蕎麦屋では、スタンプラリーを行なっている。
12店舗ぜんぶまわると景品がもらえるという企画で、
ふだんの量の半分の、半ざる半かけで提供しているから、
いそがしいわりに売り上げがない。
おおきなイベントを、まわりで商いをするかたがたの、
体力気力とがまんが支えているのだった。
初日の土曜日、友だち夫婦と連れだって出かけた。
赤く照らされた本堂を眺めて、中央通りへ行くと、
道いっぱいに、小学生や中学生の作った灯篭が並んでいた。
どの作品も絵柄が個性にあふれていて、
なかなかのものと感心した。
陽が沈むと、二月の冷え込みに身もふるえる。
そのまま鶴賀の千酔さんの入れ込みに落ち着いたのだった。
月曜日の夕方、晩酌をしていたらメールが来た。
なじみの蕎麦屋の若旦那からで、
仕事の合間に、他の蕎麦屋を食べ歩いたらしい。
蕎麦の写真が添えてあり、
スタンプラリー、最大の難関は間違いなくこの店だと思います。
蕎麦が喉を通らなかったという台詞に、
思わず笑いがこみ上げて、どの店か容易に見当がつく。
おそろしく不味い店があるのだった。
そのおかげで、蕎麦好きの身でも、
スタンプラリーが制覇できないでいる。
祭りの喧騒が終わったら、ゆっくりと一献。
馴染みの店でののひとときが待ち遠しいのだった。
曇天の休日に
如月 1
休日の早朝、町をひと走りした。
ここのところ、左ひざの調子がわるくて
運動できずにいたのだった。
ゆっくりとひろい通りを南へ向かい、
丹波島橋の手前を左に曲がる。
まっすぐに進んで行くと、
うす暗い中、日赤病院に灯る明かりに目が留まる。
南俣神社の前を過ぎて左へ曲がる。
すき家の中では、おじさんが3人朝ごはんを食べていた。
あたらしくなった市民会館のわきを通り、
七味唐辛子の、八幡屋磯五郎の工場の前をすぎる。
西の宮神社へたどり着いて、
今月も無事に仕事ができますよう拝んだ。
午前に用事を済ませたら、
蕎麦屋のかんだたさんの暖簾をくぐる。
ビールを飲みながら眺めれば、
カウンターの端っこに桜が活けてあった。
もう咲いているんですかと奥さんに問えば、
花屋は季節がはやいのよと返ってきた。
この暖冬で、氏神さんの桜の枝も、
すでに蕾をつけていたと思い出し、
今年の開花は早いかなと楽しみになるのだった。
豆腐の鴨汁煮で、端正な味わいの北光正宗を酌み、
小松菜と油揚げのお浸しで、
やわらかな信濃光の燗を酌み、
つめたいもりでさっぱりと締めた。
曇天のうす灰色の空がひろがる日で、風がつめたい。
のんびりと住宅街の路地を抜け、
往生地の坂を上がっていく。
歯医者のとなりのお宅では、
職人さんが足場の上で黙々と作業をしている。
雪の積もった往生地公園の、
ジャングルジムやすべり台がにぶく冴えている。
朽ち果てたセリカXXも雪に埋もれて、
ひと気のないりんご畑の木々も、寒そうに褪せていた。
白く照る町を見下ろしながら坂を下りる。
長野高校の五差路まで来たところで、電話が鳴った。
ひさしぶりの友だちからで、
これから用事があって長野に来るという。
会える時間はわずかというから、
では日をあらためてゆっくりとと伝え、電話を切った。
歩き出して、元気な声に気持ちがのこる。
思い返して、
駅ビルMIDORIの立ち飲み屋で。
メールを打って、駅ビルまでの急ぎ足となったのだった。

め
休日の早朝、町をひと走りした。
ここのところ、左ひざの調子がわるくて
運動できずにいたのだった。
ゆっくりとひろい通りを南へ向かい、
丹波島橋の手前を左に曲がる。
まっすぐに進んで行くと、
うす暗い中、日赤病院に灯る明かりに目が留まる。
南俣神社の前を過ぎて左へ曲がる。
すき家の中では、おじさんが3人朝ごはんを食べていた。
あたらしくなった市民会館のわきを通り、
七味唐辛子の、八幡屋磯五郎の工場の前をすぎる。
西の宮神社へたどり着いて、
今月も無事に仕事ができますよう拝んだ。
午前に用事を済ませたら、
蕎麦屋のかんだたさんの暖簾をくぐる。
ビールを飲みながら眺めれば、
カウンターの端っこに桜が活けてあった。
もう咲いているんですかと奥さんに問えば、
花屋は季節がはやいのよと返ってきた。
この暖冬で、氏神さんの桜の枝も、
すでに蕾をつけていたと思い出し、
今年の開花は早いかなと楽しみになるのだった。
豆腐の鴨汁煮で、端正な味わいの北光正宗を酌み、
小松菜と油揚げのお浸しで、
やわらかな信濃光の燗を酌み、
つめたいもりでさっぱりと締めた。
曇天のうす灰色の空がひろがる日で、風がつめたい。
のんびりと住宅街の路地を抜け、
往生地の坂を上がっていく。
歯医者のとなりのお宅では、
職人さんが足場の上で黙々と作業をしている。
雪の積もった往生地公園の、
ジャングルジムやすべり台がにぶく冴えている。
朽ち果てたセリカXXも雪に埋もれて、
ひと気のないりんご畑の木々も、寒そうに褪せていた。
白く照る町を見下ろしながら坂を下りる。
長野高校の五差路まで来たところで、電話が鳴った。
ひさしぶりの友だちからで、
これから用事があって長野に来るという。
会える時間はわずかというから、
では日をあらためてゆっくりとと伝え、電話を切った。
歩き出して、元気な声に気持ちがのこる。
思い返して、
駅ビルMIDORIの立ち飲み屋で。
メールを打って、駅ビルまでの急ぎ足となったのだった。
め