インフォメーション
長野県・信州ブログコミュニティサイトナガブロ
ログイン

ホームページ制作 長野市 松本市-Web8

アクセスカウンタ
読者登録
メールアドレスを入力して登録する事で、このブログの新着エントリーをメールでお届けいたします。解除は→こちら
現在の読者数 11人
オーナーへメッセージ

なじみの飲み屋で

2019年04月28日

 へこりと at 11:37  | Comments(0)
卯月 5

黄金週間が始まった。
善光寺門前も、この時期は観光客で混雑する。
人混みの中、わざわざ訪ねてくるお客もなく、
いつもにも増してひまになるのだった。
おまけに今年は10連休という。
ひと月の三分の一もひまになるかと思うと、
酒でも飲まなきゃやっていられない。
日銭が入らぬというのに、馴染みの飲み屋で散財はする。
まことに困ったことだった。
その、馴染みの飲み屋のご主人がたが、
そろいもそろって、この4月はお客が来ないとこぼしていた。
世の酒飲みのお父さんたちが、
10連休に備えて、
出費を控えてしまったのかもしれない。
4月は花粉症がひどくて、飲みに出かける気になれなかった。
売り上げに貢献せず、申し訳ないことをした。
先日、久しぶりの店におじゃまをした。
カウンターの奥に先客の二人組がいて、
その若いほうが、やたらとでかい声でご主人に話しかけている。
静かに酒を飲みたいのに、いやでも話し声が入ってくる。
話の中身もくだらないことで、
長野市の飲み屋の名前をちらほら出しては、
俺はいろんな店の味を知っているぞとひけらかしているのだった。
御主人の卵焼きはどんな味なの?
へえ、それなら駅前のどこそこと同じ味だね。
長野の人は卵焼きは甘くないとだめだよね。
などと決めつけたことをいう。
アホか。この店の卵焼きはこの店の味。
こちとら、砂糖の入っていないだし巻きが大好きだわと
腹の中で毒づいた。
こいつら、卵焼きを注文してまだ居座るのかとイラっとしたら、
幸いじきに勘定を済ませて出て行った。
ようやく、静かな店内で酒を味わえたのだった。
ご主人に、どこのどいつですかと尋ねたら、
千曲市の、老舗の料理屋の跡取り息子だった。
上から目線の偉そうぶった物言いに、
生意気な若造だねえとあきれた。
老舗の当主というだけで、
なにか勘ちがいをしているのが見て取れた。
世話になっている店では、行儀よく控えめに、
酒と肴を楽しんで酩酊するように。
我が身にもよくよく言い聞かせて、
卵焼きと日本酒をいただいた。










  


ハリー・K・シゲタ展へ

2019年04月25日

 へこりと at 16:40  | Comments(0)
卯月 4

上田市立美術館で、
写真家、ハリー・K・シゲタの作品展が始まった。
先月美術館でチラシを見て、気になっていた。
本名は重田欣二。明治20年に、上田市の原町に生まれた。
15歳のときに、現在の上田高校を中退して渡米した。
技術を身に着け、
商業写真家としてシカゴにスタジオを構え、
多くの企業の広告写真を手掛けたかただった。
没後同館に、遺族や友人から1200枚のネガが寄贈されたといい、
当時の技法でネガをプリントするという、
地道な作業をしてきたという。
その写真の特徴は、自らの意図する魅力を出すために、
抜かりない構図で撮った写真に、
丹念に手を加えることという。
光の加減を変えたり、余分なものを消したり、
今ならパソコンを開いてちゃちゃっとできることを、
どれだけの労力と技術を駆使したのか、
計り知れないことだった。
拝見した作品たちは、モノクロの濃淡が柔らかで、
まるで丁寧に描かれた鉛筆画のような作品だった。
そこはかとない、幻想的な気配を覚えたのだった。
美術館を出れば、日中の夏日のような暑さも和らいでいる。
城跡公園の石段を上がっていけば、
花見のときのにぎやかさも去って、
薄暮のしずけさが戻っている。
さんざん堪能した桜も散って、お堀の水面のあちこちに、
うす紅色の花びらが、いくえにも重なって浮いていた。
稼ぎどきを終えたテキ屋のおじさんおばさんが、
にぎやかにおしゃべりをしながら、屋台の片づけをしていた。
もうしばらくすれば、公園も新緑の爽やかさに包まれる。
その前の、葉桜と褪せた緑の景色も
風情があって好いものだった。
緑の季節にもう一度、美術館を訪ねてみたいことだった。
そう思えるほどの、本日の素敵な写真展だった。




  


夜桜見物に

2019年04月19日

 へこりと at 15:58  | Comments(0)
卯月 3

この春も、花見に出かけている。
あちこちの桜だよりを目にするものの、
桜に酒はつきものだから、
電車と徒歩の場所しか行けない。
毎年おなじところばかりを訪ねている。
先週は、上田城跡公園に2回おじゃました。
週の初めに満開のしだれ桜を見て、
週の終わりに満開のソメイヨシノを見た。
自宅の先に映える氏神さんの桜が、
そろそろ散りかけている。
玄関先にまで、花びらが舞ってくるのだった。
連日花見客の絶えない城山公園の桜も、
この週末で盛りがすぎる。
近くなのに、なんだか花粉症がひどくて、
あまり行かなかったのは意気地のないことだった。
桜の名所100選の、須坂の臥竜公園も、
晴天つづきに、見ごろが早いと見当をつけた。
須坂市観光協会に電話をかけて確かめたら、
まさに本日満開になりましたという。
予定を急遽変更して、須坂詣でと相成った。
電車に揺られて20分。
駅を出て通りを上がっていくと、
いつものように須坂高校の敷地から、
吹奏楽のラッパの音が聞こえてくる。
音色を聞きながら、
校舎の前の桜を見上げていたら、
ジャージ姿の男の子たちが、
ものすごいいきおいでわきを駆け抜けていった。
小山小学校の金網越しには、りっぱな桜の木が2本。
男の子たちが、満開の桜の下でボールを蹴っていた。
つぎつぎと人と車が吸い込まれる公園に入っていくと、
池のまわりの桜が、まさに見ごろと咲き誇っていた。
はるか彼方の夕焼け空が暮れると、
小高い山の斜面から、ぼんやり月が顔を出す。
桜が明かりに照らされて、花見客のざわめきの中、
しずかな気配の夜桜を楽しんだのだった。







  


上田の桜詣でに

2019年04月11日

 へこりと at 12:15  | Comments(0)
卯月 2

上田城跡公園のしだれ桜が、見ごろを迎えたという。
この春最初の桜詣でに出かけた。
花冷えの日がつづく合間の、暖かな日で、
たくさんの人が城門前のおおきなしだれ桜を、
見上げたり写真に収めている。
ゆったりと薄紅色に満ちて、背後の櫓を彩っていた。
門をくぐれば、学校帰りの子供たちや、
子連れの若いお母さんに、犬の散歩に来た人が、
お堀のまわりの桜を眺めて行く。
日が暮れて辺りが暗くなってくると、
光の中に柔らかく、
桜が浮かび上がってくるのだった。
翌朝、町なかを散歩に出た。
ひと気のない通りを抜けていくと、
ちいさな毘沙門堂の境内に、桜の木が2本ある。
まだ3分程度の咲きぐあいだった。
しずかな住宅街にさまよい行くと、
日当たりのいい公園に、満開の桜が並んでいた。
ここで花見もわるくない。
缶ビールを持参してこなかったのが悔やまれた。
上田の町なかは、
ところどころに昔ながらの建物が残っていて、
軒先に、梅や桜が咲いて、
歩いていると気分が和む。
城下町らしく古刹が多く、
海禅寺の参道をつつむ桜はまだ早かった。
矢出沢川沿いの遊歩道へ降りて、
城跡公園へ歩いていく。
川沿いにぽつりぽつりとしだれ桜があって、
こちらも見ごろにはもう少し。
城跡公園の堂々としたしだれ桜が、
先陣切って満開になってから、
ちいさな城下町の桜たちは、
思い思いに満ちていくのだった。
城跡公園に戻ってくると、
すでに駐車場には車の列ができている。
午前から、
たくさんのちびっこや観光客がやってきて、
芝生では、車座で宴を始めたおじさんたちに、
場所取りの番をしているスーツ姿のお兄さんに、
桜の下で見つめあうカップルもいる。
お堀のまわりのソメイヨシノは5分の咲きぐあい。
今週末あたりがよろしかろうと、
狙いをつけているのだった。






  


新年度に

2019年04月05日

 へこりと at 14:18  | Comments(0)
卯月 1

城山小学校の前を通ったら、
正門に男の先生が、入学式の看板をしばりつけていた。
ほどなく仕事場の前を、黄色い帽子の女の子が、
真新しい水色のランドセルを背負って、
お母さんと歩いて行った。
門出にふさわしい、暖かな陽の降り注ぐ朝だった。
大きな組織で働く友だちは、転勤を命ぜられた。
思いのほか遠い赴任地に、
早起きをしなくてはいけないとこぼしていた。
会社を辞めて独立した知人がいる。
起業の際に、以前の職場から、
嫌がらせを受けたりしたものの、
すこしづつ、波に乗りつつあるのがうかがえる。
新婚生活を始めたのは、
友だち家族の娘さんだった。先だって、
わざわざ結婚の報告に来てくれたのだった。
そばかす顔のちっちゃな子が、
いつのまにやらすっかりきれいになって、
もうそんな歳になっていた。
子供のころから見知っている身には、
感慨深いことだった。
東の町の小学生の友だちは、2年生に進級した。
昨年1年生になったときは、新しい環境に戸惑って、
学校に行きたくないと、泣いてお母さんを困らせていた。
仲良しの友だちができて、
楽しく学校生活を送るようになったと聞いて、
ほっとしたものだった。
新しい居場所に立つ人も、変わらぬ居場所に立つ人も、
無事に、新年度からの生活を過ごせるようにと
よくよく願うのだった。
この4月は、平成さいごの春になる。
5月から天皇陛下がお代わりになって、
元号も、平成から令和に代わる。
霊感のつよい知人がいる。
先日訪ねてきたときに、
令和、どうですかね?と聞いてみたら、
だめですね。れいわと聞いた瞬間に、
暗い霊気におそわれたという。
景気のわるい時代になりますよと、
お先真っ暗なことをいうのだった。
どんな時世になろうとも、
我が身のことは成るようにしか成らない。
中途半端な見聞に右往左往せず、
歩幅乱さず歩いていく。
それだけを心がけたいと思う、新年度の始まりだった。