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雨に降られて

2012年05月29日

 へこりと at 13:16  | Comments(0)
皐月 八

休みの日は温泉に出かけている。
家から歩いて二十分のうるおい館の朝風呂や、
天気の好さにさそわれて、ちょっと遠くの湯まで
足をのばしたりしている。
先週は須坂の湯っ蔵んどまで、原付バイクを飛ばして行った。
坂の一本道を上がって行き、臥竜公園を通りこしてさらに上がった
高台にある。
露天風呂のぬるめの湯に浸かり顔を上げれば、
青い空におおきな雲がもっくりとわいて、晴れの日雨の日くりかえしながら
季節は夏にむかっているとわかる。
平日の温泉は訪れる人もたくさんいないから、
ゆっくりと飲み疲れの体を癒せるのだった。
さんざん飲んだ次の日、めずらしく目覚めさわやかに早起きをした。
午後から天気がくずれるという。
それならば午前中にバイクに乗って、大町温泉郷まで行こうときめた。
スーパーカブにまたがって中条村をぬけていけば、
ゆるやかな道のりに車の姿もすくなく、川を見下ろしながら
のんびりとことこ走ってゆける。
小川村に入ると、風のあたりがくっきりと涼しくなる。
トンネルをぬけたら、残雪かかえたアルプスの山並みが見え、
両側の緑の色ぶかさがせまってくる。
目の前の雲が重たさを増して、もう降りそうなのか?
いぶかしんだとたんに降ってきてしまった。
こりゃだめだ、あきらめて来た道あわててひきかえす。
温泉であたたまるはずが、雨に打たれてつめたくなって、
とほほの気分で帰ってきたら、長野はまだ降った気配もない。
これから来るのかな。思っていたらごろごろ空で音がして
ほどなくぽつりぽつりとやってきた。
近所の蕎麦屋に足を運び
野沢菜つまみに昼酒酌んでひといきつけば、雨足どんどんつよくなり、
突然のどしゃぶりに道行く人もあわてて傘を求めたり、
軒下で雨宿りをしてうらめしそうに空に目をむける。
石畳の通りに雨が打ち付け、歩道の草木もつやつやと映え、
雨の景色もわるくないと眺めながら、ゆるゆると酌んだ。
降りがおさまったら、酔い覚ましにうるおい館まで歩いて行って
あたたまりますか。
きめて、締めのさらしな一枚注文した。




  


同級生というものは

2012年05月22日

 へこりと at 13:56  | Comments(6)
皐月 七

仕事を終えて飲みに出かけた。
いつものように駅の東口にあるいいださんでと思ったら
本日十九時半からの営業と張り紙がしてありふられた。
西口へと引き返してまんちさんへ向かった。
まんちさんは午前二時まで営業していて
いいださんで飲んだあと、店を閉めた御主人と
ときどき一緒に出かけている。
そのときはこちらはすでに酩酊してるから、
たいていビール一杯酒一杯ですぐに舟をこいでしまう。
しらふで伺うのははじめてなのだった。
ビールをもらってからアスパラ焼きと茶まめとふき味噌と
きゅうりを注文する。
ふき味噌の季節も終わりだねえと話しながら
澤の花を酌み、伯楽星を酌んだ。
三杯目の伯楽星に口をつけていたら電話がなった。
知り合いの酒屋のたかしさんからで、
今、仲間と駅前の飲み屋にいるという。
それではと腰をあげて向かい、宴の席に顔を出せば
たかしさんに、馴染みの飲み屋のみちのかのがくさんと
スタッフさん二人、そして初対面の女性が三人、
みんな高校の同級生や後輩の間柄という。
若い方の輪にまぜてもらい酌み合えば、
すっかり気心許しあっている馴染み同士の空気が
はたから眺めていても気持ちが好い。
みんないい仲間だねえ。自然と口にでた。
五十歳になり、すでに彼岸へ旅立った同級生や同窓生もいて、
無理なく会える友だちが身近にいることのありがたさを
しみじみ感じる歳になっている。
二十八歳で逝った同級生がいた。
病気になって帰省していると聞いて、ときどき見舞いに顔を出した。
行けばいつも自分は飲めないくせにエビスビールで
もてなしてくれた。
体調のいいときに戸隠までドライブに出かけたり、
夏、同級生何人かで集まって花火をしたり宴をした。
ついこの間のように思いだせるのに二十二年も経っていた。
進歩のないまま歳だけかさねた呑み助は、
エビスを飲むときときどき思い出す。

  


緑の季節にさいごの桜

2012年05月18日

 へこりと at 09:17  | Comments(0)
皐月 六

不安定な天気の日がつづく。
さっぱりと晴れる日があれば、とつぜん土砂降りの日もある。
一日気温が上がらずさむざむとした日もあるから、
仕事場にも茶の間にもまだストーブが欠かせない。
身の回りにも、風邪をひきましたという人がいるから
体調管理に気をつけなくてはいけない。
花粉症の時期をすぎたのに、やけに目がしょぼしょぼと
鼻がぐずぐずとしてあやしい。
バイクや外の窓枠にうっすら積もった黄色いほこりに
黄砂が舞っているせいと合点がいった。
そんなふうに天気の様子をいぶかしんでいるうちに
気がつけば、すっかり緑の季節になっていた。
向かいのお宅の壁が、つやつやとつたの葉で覆われた。
その隣のお宅の広い庭の木々も葉を繁らせて、
借景を楽しませてくれている。
善光寺界隈の高い木々もまんべんの葉を湛え、
近く遠くに眺めれば、五月の景色に気持ちもはればれとなる。
休みの日、カブに跨り軽井沢まで出かけた。
足を運ぶのはひさしぶりのことだった。
国道を東に向かって走っていけば、
あたたかな陽射しを受けて、千曲川がきらきら流れてゆく。
御代田町に入ったあたりから風の気配が変わってくる。
只今の気温17℃。
標高千メートルの町は、長野に比べてさすがに涼しいのだった。
駅前にバイクを停めて通りを歩く。
若いカップル、家族連れに外人さん。観光客の姿があちこちにある。
旧軽井沢の通りを抜けてショー記念館まで行けば
若い親子が記念写真を撮っていた。
お昼どき、ロータリーのそばの大きな蕎麦屋も混んでいる。
入ろうかと迷ったものの、この店は酒の品揃えが好い。
入れば飲みたくなるからと横目で見ながら通りすぎた。
大きな通りをそれてわき道を歩くと、すぐに緑の木立に囲まれる。
それにまじって、いまだ桜が春の色を咲かせていた。
これがほんとに今年の見納めと眺めた。
駅前に戻り喫茶店に入ったら、お客の姿もなく
静かに濃い目のコーヒーをいただく。
ゆっくりとした平日の観光地のひとときとなった。

  


酒器様々

2012年05月16日

 へこりと at 16:14  | Comments(6)
皐月 五

酒が好きで毎晩酌んでいる。
春の初め、長野にあるアトリエのブログで桜のグラスが紹介されていた。
うす桃の色合いで、これからの季節、
冷や酒を酌むのにちょうどいいと気になった。
ところが足を運ぶ折がなく、展示の期間もすぎてしまい
残念なことをとあきらめた。
しばらくして、近所に暮らす若い方々の花見の席に招かれた。
桜吹雪の中でごきげんに酔っていたら、遅れてやってきた女の子がいて、
話をしたら、桜のグラスの作り手さんだった。
ぐうぜんの出会いがありがたく、後日持ってきていただくことと相成った。
四月の終わりの誕生日には、飲み仲間の女の子から
うすはりのグラスをいただいた。
これもまた、しゅくしゅくと冷や酒を酌むのにちょうどいい。
五月の連休になると岐阜の陶器市に出かける友だちがいる。
行けば土産を買ってきてくれて、
このたびはうす青がかったぐい飲みを買ってきてくれた。
気に入りの銘柄をすこし温めて酌んでみたい。
木彫りを生業にしている知り合いがいて、
鬼無里の山の中で、毎日こつこつと木と向かい合っている。
ひさしぶりにお会いしたときに、ぐい飲みをいただいた。
以前作ってくださいとお願いしたのを覚えていてくださったのだった。
えんじゅの木をくりぬいて、くずした笑の文字が彫ってある。
そうです。酒は楽しく笑いながら酌むのがいちばんです。
木の手触りがやさしくて、唯一無二の作品作ってくれたことに感謝した。
戸棚のすみには小ぶりのグラスが置いてある。
親しくしていた人からの贈り物で、日本酒を酌んだり
寝酒のウイスキーを飲むときに使っている。
今ではすっかり縁遠くなったものの、
ずいぶんとあたたかい時間をくれた方だったから、
酌みながら思い出すことがある。
買ったもの、いただいたもの。
形あるものにはそのときどきの思いもくっ付いている。

  


一日一膳

2012年05月11日

 へこりと at 14:40  | Comments(4)
皐月 四

このところ食事の量を、朝昼ぬいて夜だけにしている。
胃持ちが軽いと朝から体の動きも調子がいい。
もともと胃腸の弱い体質で、少しの油ものがすぐ腹にくる。
焼き肉カツ丼カップラーメンなどなど食べたあとは
かならず百草丸を飲まなくてはいけない。
胃に負担をかけないことは、よくよく体質に合っているとわかる。
飲みに出れば、馴染みの店で酌みながら、旨い肴に箸をのばす。
家にてひとりで晩酌のときは、そっけないつまみをつまんでいる。
米をご飯で口にすること少なくなって、
もっぱら毎晩液体ばかりを酌んでいる。
栄養がたりないと問われたものの、
仕事のあとに苦もなく十キロのランニングもできるから
問題ないと構えている。
宴の席で話したら、蕎麦屋のよういちろうさんが
ぜったい無理です。一日一食では蕎麦が打てませんという。
焼き肉を美味しそうにつぎからつぎへと食べている、
横に大きい体を眺めれば、
そうだなあ無理だなあと素直に合点がいくのだった。
定期購読しているダンチュウの今月号の特集は、
人生最後の一食。1000円で何を食べるか?
焼きそばとたいやき、すきやきランチ、海鮮丼。
ジャガバタチーズ、メンチカツとまぐろ納豆の定食。
有名人の方々が、それぞれ好みの一食を挙げている。
小山薫堂さんは、儀式的にきりっと潔く終えたい。
もり蕎麦を食べたあとに、蕎麦つゆに蕎麦湯を注いで
わさびを少し溶いて飲む。
そしてもう一杯、蕎麦湯だけを頂いて食事を締めるといい、
蕎麦好きの身は、一票を差し上げたい気分になった。
酒好きで、胃持ち軽く終えたいと思えば
やっぱり最後は日本酒がくる。
すこし濃い目の蕎麦湯をなめながら、
気に入りの銘柄を飲みつづける。
杯をかさねて酩酊してつぶれたら、そのまま逝けるというのが好い。
みなさんの最後の一食はなんでせう?



  


菜の花を眺めに

2012年05月10日

 へこりと at 09:50  | Comments(2)
皐月 三

飯山へでかけた。
カブに乗り、赤い橋を渡って川沿いの道を行けば
右手の高台に黄色のかたまりが見えてくる。
菜の花を見に来たのだった。
いつも黄金週間のあたりが盛りになる。
春前の冷え込みが長くつづいたせいで、今年は開花が
おそかった。
連休過ぎて足を運んだこの日満開だったのは
なによりのことだった。
駐車場のすみにバイクを停めて、ゆっくり公園の中を歩く。
あたたかく晴れた日、菜の花畑の空にこいのぼりが
ゆうゆうと泳いでいる。
公園のあちこちには、となりにある東小学校の生徒の書いた
標語が立てられている。
菜の花と千曲川が合いますね。
合いますではなく、合いますと思うでもなく、
合いますねというところが好い。
宴をやる若い家族の集まりに、りっぱなカメラで写真を撮っている
おじさんやおばさんの団体に、もくもくと絵筆をうごかす人もいて
みなさん景色を楽しんでいた。
久しぶりのお湯に浸かろうと、公園をあとにして馬曲温泉へとむかった。
木島平の坂道をぐいぐい上っていけば、空気が涼しくなって
ぽつりぽつり、いまだ見頃の桜が咲いている。
深い谷あいの緑を眺めながら露天風呂に入っていれば
目の前の桜が風に揺れ、花びら舞うなかのぜいたくなひとときとなる。
帰り道、信濃町で気に入りの黒姫山の雄姿を眺め
戸隠を走っていくと、ここでも満開の桜があちこちでむかえてくれた。
ひと休み、なじみのクローバーさんでコーヒーとケーキを頂いて
ひと息つけば、山の空気に冷えた体もあたたまり、
北信濃の春を楽しんだ一日となる。





  


あっちのぜいたく、こっちのぜいたく

2012年05月04日

 へこりと at 12:16  | Comments(2)
皐月 二

薬屋の若旦那と飲みに出かけた。
若旦那行きつけの長七でひとときを過ごした。
店に入れば若旦那と同じ町内の年配の御夫婦が
カウンターで一献やっていた。
紹介をしてもらい、話に混ぜてもらいながら酌んだ。
年配の御主人はバイクと車が大好きで、
バイクはホンダの大きいやつを、
車はドイツの高級車に乗っているという。
この間、おなじホンダのスポーツタイプの大きいのを
買ったら、
ハンドルが低すぎて、窮屈な姿勢で乗る羽目になりたえられない。
一週間で手放したと笑う。
やっぱりハーレーでゆったり乗るのがいい。
車も流行のハイブリッドなんてつまらない。
V8のエンジンでばんばん飛ばしたいと
目をきらきらさせながらいう。
御年重ね六十歳をすぎても、楽しそうにバイクや車を欲しがるさまは
若くてたいしたものと微笑ましく感心をした。
かたやこちとらといえば、昨年、250㏄のバイクを
110㏄のスーパーカブに換えた。
250㏄の大きさですら取り回すのが面倒くさくなり、
気楽にさらっと乗れるのが好いと換えたのだった。
110㏄あればそこそこ遠くまで行ける。
見慣れたスタイルにも愛嬌がある。
これはこれでまた楽しいと満足している。
ゴールデンウィークになり、善光寺界隈にも
ツーリングに来たバイクの集団を見かけるようになる。
たいてい車一台買えるような大きなバイクで
太い音をひびかせて走ってゆく。
かと思えば、年季のはいった原付バイクでやってくる
大きなバッグを背負った若者も見かけた。
酒のひとときにしても、この日の夜のように
上等の酒と肴を楽しむ日もあれば、
気に入りの安くて旨い本醸造を、きゅうりの漬物あたりで
ちびりとやる、ゆるい楽しみもある。
いろいろな事がらかさね、付き合いつづけてきた中で
上から下、ぜいたくの引き出しをいくつも持てる
そんな奥行きのある歳になっている。
そのときどき楽しみながら、日々を往きたい。

  


ふところふかく

2012年05月03日

 へこりと at 14:43  | Comments(4)
皐月 一

友だち夫婦とランチに出かけた。
休日が同じになったとき、ときどき昼酒のひとときを
いっしょに過ごしている。
この日は馴染みのきらくさんへ、連れ立って足を運んだ。
穏やかな陽気の日で、乾杯のビールがのどにせいせいと旨い。
シュウマイと焼きそばをつまみに、おまかせで頼んだ
筍の煮物やホタルイカのサラダもテーブルに並ぶ。
日本酒に杯を換え、木曽の十五代九朗右衛門、
岐阜の竹雀、三重の而今、美味しい料理と酒に
昼からぜいたくな宴の時を楽しんだ。
ほろ酔いかげんで帰り道を行けば、
ひと気のない住宅街に、連休のにぎやかさの届かない静けさがある。
のんびりと歩きながら、友だちの背中を眺めれば、
こいつとの付き合いも長いとあらためて思う。
事あるにつけ、うれしい酒を酌み、せつない酒も酌み、
今年で四十一年目になるのだった。
月変わり、南の町に住んでいる友だちからワインが届いた。
このたびは、五十歳の節目のお祝いにと送ってくれたのだった。
ピアノを弾くことを生業にしている人で、
箱を開ければ、音符の並ぶ紙につつまれた城戸さんの赤が出てきた。
添えられていた手紙には、おめでとうのあとに、
元気でないと乾杯もご一緒できない。
おたがい元気で元気でいましょうの言葉がつづく。
何年か前に義理のお姉さんを亡くし、
二年前には親しい友人を亡くされていた。
それぞれ早すぎる旅立ちに向き合ってきた人の気遣いが
しみじみ伝わってくる。
ふり返れば、出来のわるさは我ながらあきれるほどで、
しょっちゅう会える友だちも、なかなか会えない遠くで暮らす友だちも、
あたたかい縁をつづけてこれたのは、
ひとえに相手の懐の深さあってのこととわかる。
身の回りの人たちにずいぶんと救われ支えられている。