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同級生というものは

2012年08月25日

 へこりと at 12:22  | Comments(0)
葉月 四

お盆に中学校の同級生が帰省してきた。
横浜の社会福祉団体でカウンセラーの仕事をしている。
長い間、長野の病院で看護士をしていた人で、
旦那さんの転勤で横浜に行ってから、
暮らしの中で思い悩むこと積み重なり、
旦那さんが長野に戻ってきたあとも、娘二人と横浜に残り、
仕事をしながら子育てをしているのだった。
久しぶりに酌み交わしながら話を聞けば、
看護学校に通っていた長女は無事看護士になり、
大きな病院で働いているという。
高校を卒業した次女も、お姉ちゃんとおなじ看護学校にすすみ、
ふたりしてお母さんとおなじ道ゆき歩いているのは
なによりのことだった。
そんな娘二人を見て、近い将来もういちど看護士の仕事に
戻るつもりという。
重たい病かかえた患者さんの言葉を聞いて答えて支えてあげられる、
そんな仕事をしたいという。
この歳からの新しい往きかたを語る友だちと向き合って、
昔からこの子の前を向く姿勢には、いつも元気をもらっていたと
思いだす。

お盆をすぎれば夜の明けるのもおそくなる。
朝の四時、蝉の鳴き声と空の明るさに目を覚ましていたのが
金星の残る薄暗さと、しずかな虫のささやきにかわっている。
町をひとまわり走りに出れば、
丹波島橋を折り返すときこうこうと照っていた太陽は、
ようやく東の山陰から顔を出すようになり、
日中はまだまだなごりの暑さがきびしいものの、
夕方から朝にかけての涼しさに、少しずつ秋の気配が増している。
休みの日、バイクに乗って山の道を行く。
戸隠を抜けて信濃町へと下りてゆけば、
道沿いに名物のとうもろこしの店が並んでいる。
夏が終わる前に、信州の夏の味を届けよう。
都会でがんばる同級生に、娘といっしょに食べてくださいと
宅配便をお願いした。



  


緑の下で

2012年08月18日

 へこりと at 16:01  | Comments(0)
葉月 三

ビールと冷や酒の飲みすぎに、
深夜のオリンピック観戦の寝不足も手伝って、
この夏は、ことにけだるい日がつづいた。
お盆初日の早朝、二日酔いの寝ぼけた顔で菩提寺に行けば
先に来ていた父と母に、ご先祖様に失礼とたしなめられる。
いくつになっても夏の暑さに気持ちがゆるくなるのは
なさけのないことだった。
朝から暑さの増す中を、墓参りにバイクをとばした。
緑の山道に入ったとたん、風が急に涼しくなった。
黒姫山のてっぺんは雲におおわれて見えない。
道沿いの田んぼに水が入り、青々と稲が揺れている。
鳥居川に沿った砂利道を抜けて墓地に着けば
幾人かの墓参りの家族連れの姿があった。
世話になった人の墓前で手を合わせ祈れば、
じりじりと、静かに蝉の鳴き声がひびく。
旅立って今年でちょうど十年。
寡黙でおだやかで、波風立てることをしない人だったと
思い出せばなつかしい。
鳥居川を渡りまっすぐに行くと、
この町の名物のとうもろこしの売店が並び、車がたくさん停まっている。
しょうゆのこげた匂いに誘われて、店先の椅子に腰を下ろした。
一本二百円の焼きもろこしは甘味がつよくて美味しい。
もう一本とそそられたものの、腹をこわすにきまっているからと
あきらめた。
かじりながら眺めていれば、次から次へと戸隠にむかって
車が上がってゆく。
赤、黄、赤、フェラーリの美しい車体が三台つづき見惚れた。
車の列についてゆくと、奥社は午前から相変わらずの混雑ぶりで、
パワースポットブームはまだおとろえない。
広がりはじめていた厚い雲から雨が降り始め、いきおいを増してきた。
こりゃ雨宿りとケーキ屋のクローバーさんへと向かった。
ふだん甘いものは食べないものの、
この店は、日ごろ世話になっている人の娘さんがやっているから
戸隠へ来たときは足を運んでいるのだった。
シェフのみまほちゃんが、お盆はクリスマスの次にいそがしい、
今日も午後からいそがしくなるという。
まだしずかな店内で、ほっとひと息くつろげたのは幸いなことだった。





  


上田花火大会

2012年08月10日

 へこりと at 12:52  | Comments(0)
葉月 二

上田へ花火を見に出かけた。
友だちと待ち合わせをして、電車に乗り込むなり
早速缶ビールの栓を抜く。
花火好きの友だちは、夏になるといそがしい。
カメラと機材を抱えては、今日は柏崎、明日は長岡、
あちこちの花火大会へと飛びまわっている。
上田の花火もずいぶんレベルが上がったというから、
一年ぶりの今夜が楽しみになるのだった。
途中の駅から色とりどりの甚平を着た女の子や、
小さな子供を連れた若いお父さんとお母さんたちが乗ってくる。
向かいの席に座った男の子は、ねじり鉢巻をして気合が入っている。
上田駅から人ごみに混ざって堤防沿いの道を上がれば
長々屋台が並び、揚げ物のいい匂いがただよってくる。
薄暮の空を大きな雲がゆっくりと流れ、
打ち上げを待つたくさんの人のざわめきに、川沿いの空気が
つつまれていた。
市長さんの挨拶がおわり、いよいよ始まれば、
次から次へと夜空に華が咲き、つられてビールを飲むペースも速くなる。
浴衣姿で肩寄せ合って見上げている恋人同士に目をやれば、
こんなときもありましたと、若いころがなつかしい。
青木煙火いいなあ。カメラを覗きながらの友だちの台詞に、
ほんとにねえとうなずいた。
打ち上げの中休み、BGMになつかしいかぐや姫の神田川が流れてきた。
千曲川のほとりなのに神田川というのがおかしい。
つづいて流れる女性の声にとなりの女の子が、
誰の歌とお父さんに聞いている。
お父さんも首をかしげているから、ペギー葉山の学生時代と教えてあげた。
市長の好みなのかなと、意味のわからない選曲も
ゆるいのどかさがあって好い。
テンポ良く上がりつづけて一時間半。
さいごのスターマインは、これでもかとばかりの音と光が乱舞して
迫力あるひとときを堪能させていただいた。
夏にひとつ。川のある城下町の花火に、来年もまた来てみたい気分になった。
いやあ、よかったよかった言い合って、余韻を肴に一杯を。
そそくさと帰りの電車に乗り込んだ。


  


美味しい時間

2012年08月03日

 へこりと at 09:33  | Comments(2)
葉月 一

美味しいものを食べに来ませんか。
電車に揺られて木曽まで出かけた。
木曽福島の駅で降りれば、誘ってくれた友だち二人、
にこにこと迎えてくれる。
川の町を抜け、開田高原の道を行く。
夏のさかりの暑い日は、あいにくと雲が多くて御嶽山の姿が見えない。
上がって下がって走った先、草花茂る緑の中に、
わらび野さんの一軒家が建っていた。
引き戸を開けてぴかぴかの板張りの部屋へ上がれば
白衣姿の御主人が、ようこそとあいさつをしてくれる。
さっそくビールと芋のロックとお茶で乾杯をして、
無事の再会がめでたいと祝う。
長芋の小鉢にしんじょのお椀と始まって、いわなとサーモンの刺身が出てくれば
日本酒を頼まないわけにはいかない。
地元の中乗りさんの原酒は、きれいな旨みの口当たりが好い。
BGMのない静かな中を、裏山からの風が通りぬけ
久しぶりの方々とのひとときが心地いい。
いわなの塩焼き、鹿肉のロースト、さっぱりと素麺で腹を満たして、
デザートのアイスクリームまでしっかりとたいらげた。
このあとはかき氷と行きましょうのお言葉に、ごちそうさまと店を出て
木曽福島へと戻る。
通りを曲がって小路を行ったら、白地に赤く氷と描かれた暖簾が見えた。
年季のはいった店を切り盛りする玉井よしえさんは、御歳九十六歳になるという。
髪をきれいに染めて、なめらかに動きまわるさまを眺めていれば
とてもそんな歳には見えませんとほれぼれする。
氷は上高地の天然水。あずきと砂糖は毎日自分で煮ているといい、
手間ひまかかった宇治金時をしみじみと味わった。
遠くに暮らす友だちは、なかなか会えることがない。
ブログを覗けば元気にしているとわかるものの、
声かけてもらい、美味しいひととき共にすれば、ほどよい距離のつながりが
あらためて気持ちが好いと気づく。
明日からまたがんばりましょう。
元気をもらえたのがなによりのこととありがたい。