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共に美味しいものでも

2017年03月26日

 へこりと at 10:38  | Comments(0)
弥生 6

ひさしぶりに上田の町を訪ねた。
地元に暮らす友だちと、
となりの坂城町で暮らす友だち夫婦と
飲み会をしたのだった。
初めて伺った店は、フレンチの「ル・カドル」さん。
駅からまっすぐ上がって、松尾町の信号を、
60メートルほど過ぎた通り沿いに在る。
階段を上がって扉を開けると、
広い店内にゆったりと間をおいて
テーブルが並んでいて、
こりゃぜいたくな空間ですなと眺めた。
御夫妻二人で営まれていて、厨房の御主人は、
上田の町の雰囲気にひかれて、
東京から越してきたという。
店名は、フランス語で額縁のことで、
すてきな額縁が中の絵を引き立てるように、
お客さんの食事のひとときを、
すてきに引き立てられる店にしたいという。
ワインを飲みながら、料理を分け合って口にすると、
肉も野菜もパテも味付け良く、量も多い。
地元の友だちは、
ふだん観光列車の客室乗務員をしている。
なかなか聞けない仕事の裏話に、
ご苦労されてますねえと、笑わせてもらった。
坂城町の友だち夫婦は、ワイン用のブドウを作っていて、
これからいそがしくなるという。ブドウの話や、
来年立ち上げるワイナリーの話を聞けば、
早々に期待も膨らんでくるのだった。
気の置けない友だちと美味しい時間を過ごして、
御夫妻に見送られて店を出た。
ほんとに小さな町なのに、まだまだ良い店が有る。
上田、好きだなあ。
城跡公園の桜が咲くころに、また足を運びたいのだった。
梅が開きはじめた春の初め、
身近な用事にばたばたと追われた。
そのさなか、
日ごろ馴染みのかたがたの気遣いに励まされた。
ろくでなしの酔っぱらいなのに、
どういうわけだか、人の縁にだけは恵まれている。
いっしょに美味しいものを飲み食いして、言葉を交わす。
明るく穏やかに、この春を行こうと元気をもらえる。
ありがたいことと、胸に染み入るのだった。




  


春の兆し

2017年03月18日

 へこりと at 13:12  | Comments(0)
弥生 5

友だちから電話がかかってきた。
勤め先で、今月退職されるかたがいるという。
酒好きだから、餞別にうまい日本酒を送りたい。
手配をしてくれというのだった。
ふだん、人の役に立つことはなにもしてないが、
酒がらみのことなら任せなさい。
馴染みの酒屋のみねむら君に電話をかけた。
4合瓶の2本入りを3箱、予算はひと箱5千円くらいで。
その金額なら、かなりいい酒用意できますといい、
配達してくれたのは、宮城の伯楽星と滋賀の笑四季の
純米大吟醸だった。
これなら友だちも満足すると、
預かっている旨を連絡したら、
しばらくして受け取りにやってきた。
ところが、2箱を車に積んだかと思ったら、
残りのひと箱を、いつも世話になっているからと、
こちらに差し出したのだった。
とんでもないと遠慮をしたら、
いいからいいからと押し付けて、
さっさと車に乗って帰って行った。
見送って、まいったなあ。
世話になっているのはこちらのほうなのに、
思いがけない好意にちょっと泣きたくなった。
朝の冷えこみがゆるくなり、起きるのが楽になった。
ひとまわり散歩をしていたら、学生服の男の子と、
きれいな格好のお母さんとすれちがい、
今日が城山小学校の卒業式とわかる。
空を薄い雲がおおい、遠くの山並みが霞がかって見える。
信濃美術館の梅のつぼみがほころびはじめ、
白い花がぽつぽつ咲いていた。
泣いても笑っても今年の春になるのだなと、
おおきく息を吸った。
頂いた純米大吟醸を利きながら、
静かにしずかにむかえたいのだった。






  


夜明け前

2017年03月12日

 へこりと at 22:19  | Comments(0)
弥生 4

3月11日、馴染みの飲み屋のべじた坊さんへ出かけた。
上伊那郡辰野町で「夜明け前」を醸す、
小野酒造さんを招いての酒の会が有ったのだった。
早めに着いて、ビールを飲みながら待っていれば、
ぽつぽつと、顔見知りの常連さんたちが集まってきた。
宴の前に、6年前の今日、
犠牲になられたかたがたに黙とうをささげた。
毎年この日を迎えると、食べて飲んで語り合える、
当たり前の日々のありがたさを感じるのだった。
小野酒造さんは、かつての宿場町の小野宿の在った、
国道153号線沿いにお蔵が在る。
酒の名は、島崎藤村の代表作、
「夜明け前」に由来しているという。
藤村のお父さんが、ときどき小野宿に来ていたことと、
お蔵の創業が明治維新前夜だったことから、
藤村の生誕100年の折りに、
ご子息さんの許可を得て、名前をいただいたのだった。
「夜明け前を」語るからには、
旨い酒を造ってくれと言われたという。
石高は1500石。
米は、いちばん安い普通酒以外は、
兵庫県産の特等の山田錦を使っている。
県外の名を馳せた銘酒と勝負するには、
上等の米を使わなければというのだった。
仕込みに使う井戸水は軟水で、
酒のあと味の柔らかさはこの水のおかげという。
酵母は何をと尋ねたら、
まあいろいろをとはぐらされて、秘密のようだった。
自家培養でもしているのかな。
手ごろな価格の本醸造から大吟醸まで、
含み香と旨味とあと口のバランスが良く、
この銘柄はいつ飲んでも、うなるほど美味しい。
名前は「夜明け前」でも、天高くぴかぴかの、
すっかり長野を代表する銘柄なのだった。
というか、長野の誇る銘柄は、どれだけあるのだと思う。
水尾、北光正宗、豊賀、積善、幻舞、十九、登水、明鏡止水、
和和和、澤の花、真澄、御湖鶴、本金、十六代九朗右衛門、
今錦、あとに続く銘柄も、まだまだ有る。
なんて素晴らしいこの地と、うれしいことだった。



  


ラ・ランコントルさんへ

2017年03月11日

 へこりと at 16:02  | Comments(0)
弥生 3

近所でコンビニを営む友だちがいる。
景気の浮き沈みや、出来のわるい従業員のおかげで、
毎日気苦労が絶えない。
たまには気分転換に、
旨いものでも食べに行きますかとなったのだった。
金曜日の夜伺ったのは、
昨年12月に近所にできた「ラ・ランコントル」さん。
フレンチの店で、店名は、出会いを意味するという。
古民家を改装した店内は落ち着きがあり、
カウンター越しのきれいな厨房で、
ご主人がせっせと料理を作っている。
ディナーのコースは10品目。前菜だけで四つもある。
店を営むのは、ご主人の瀬下努さんと奥さんと、
スタッフの夏目さんで、三人とも、
東京のオテル・ドゥ・ミクニに勤めていて知り合ったという。
なぜ長野に店をと尋ねたら、
善光寺門前の独特な雰囲気に魅かれたという。
子供のころから見慣れた風景に
そんなに魅力があるのかと、
あらためておどろく次第だった。
こちらの頃合いを見計らって出される料理は、
前菜から魚に肉、
県内外の食材に、思いがけない手間がかけられている。
器もご主人の個性が出ていて、
有田のkamachi陶房の繊細な白い器は、
冷酒を酌むのに良いではないかと、欲しくなった。
ゆっくりゆったりとワインと料理を味わえば、
日ごろいそがしい友だちも、
こんなに優雅な時間は久しぶりというのだった。
白1本に赤2本を空にして、美味しいひとときを満喫した。
気持ちのこもった料理を食べると、
こちらの気持ちも元気になる。
日ごろ、そんな店に恵まれているのは
ありがたいことだった。
それにしても、飲んだワインが3本で済んでよかった。
人選によっては、6本や7本でも足りないかもしれない。
馴染みの、酒豪のかたがたの顔が目に浮かぶのだった。





  


啓蟄の日に

2017年03月10日

 へこりと at 13:28  | Comments(2)
弥生 2

ずいぶんと空気の当たりが柔らかくなった。
思い出したように、寒がもどって雪が舞っても、
すぐに消えていく。
この冬の、なごり雪と眺めているのだった。
父の付き添いで大きな病院へ出かけた。
春の兆しが見えてきたというのに、
ただいまインフルエンザが流行っているという。
病院内ではマスクをして、
入院患者への面会も制限しますと、
あちこちに張り紙がしてある。
いつも体の弱った人であふれているから、
神経をとがらせているのだった。
病院の2階にはタリーズが在って、
父の診察が長引くときは、
コーヒーを飲みながら待っている。
行き来する看護師さんたちを見ながら、
そういえばどうしたかなと思いだす。
都会に暮らす友だち家族がいて、
次女が大きな病院で看護師をしていたのだった。
明るくて元気なお嬢さんだったのに、
正月に酌み交わしながら話を聞いたら、
今、体調をくずしていると顔を曇らした。
仕事に行こうとすると、
体がこわばって、涙があふれてしまい、
休職しているというのだった。
父の付き添いから帰ってくると、
たいしたことをしていないのに、いつも気疲れが残る。
おそらく、体力気力の弱った人たちの雰囲気に、
気を持っていかれてるせいと察しがつく。
そんな中で、毎日てきぱきと仕事をこなすお医者や看護師は、
相当タフなかたたちと、いつも感心をしてしまう。
忙しすぎるほど忙しいのが、
処置をほどこす様子からわかるから、
よくよく疲れてしまったかと、
心身の調子をくずした話に胸が痛んだ。
毎朝、氏神さんにお参りをしている。
階段わきの桜の蕾もすこし膨らんできた。
それぞれの思いを抱えた身に、
今年の春がやってくるのだった。





  


あたらしいワイナリーを

2017年03月03日

 へこりと at 11:38  | Comments(0)
弥生 1

宴の帰り道、締めにワインを一杯と、
駅前のオステリア・ガットに立ち寄った。
出してもらったのは、アルプスワインの白。
葡萄は地元の善光寺竜眼で、
さっぱりと好い口当たりだった。
善光寺竜眼とかコンコードとかマスカットベリーAとかは、
ワインの味を覚えたころは、およそ地味な印象の葡萄だった。
飲んでも甘ったるい味わいで、すすんで買うことはなかった。
長野のワイン自体もそんなに旨いと思わなかったのに、
長野県で、良い商品にはお墨をつけますよと、
原産地呼称制度を始めたり、
既存の大手のワイナリーに加えて、個人でブドウを作り、
ワインを造る小さなワイナリーが増えてから、
今長野のワインはほんとに美味しい。
生きててよかったわと思えるのだった。
坂城町でブドウを作っている友だち夫婦がいる。
シャインマスカットやナガノパープルといった
生食用の葡萄といっしょに、
カヴェルネソービニヨンやメルローなど、
ワイン用の葡萄も手掛けているのだった。
天候不順やけものの来訪に悩まされながら、
毎日畑で汗を流している。
おととしの夏、高台の畑におじゃましたことがある。
緑の葉っぱの向こうに、
千曲川の流れる坂城の町を見下ろし、
里山を抱えた空がゆうゆうと広がっていた。
好い町と飽きずに眺めたのだった。
このたび、おなじ坂城町出身の
オステリア・ガットのオーナーが立ち上げるワイナリーに、
共に参加することになったという。
ワイナリーの名は、(株)坂城葡萄酒醸造。
渋すぎて素敵だ。
来年の開設を目指しているといい、
場所は、坂城駅から歩いて10分の住宅地という。
直営ショップやレストランも併設するというから、
早々に先々の楽しみが増えてしまった。
これから、地元で育んだ葡萄で、
ちいさな町が盛り上がっていく。
微力でも、年下の友だちを応援できるのは、
こちらもちょいとうれしいことだった。
無事に開設成りますよう願うのだった。