花ひとつで
2012年01月27日
へこりと at 07:23 | Comments(2)
睦月 八
朝、菩提寺へ行く。
本堂に手を合わせ、先代のご住職の墓に手を合わせ、
祖父母の墓に手を合わせる。
墓地には長野では有名な商家の墓もある。
大きくて立派な墓は、老舗の風格があり
堂々としている。
それなのに花挿しには、いつも変わらぬ造花が
突っ込んである。
不釣合いな造花の貧弱さが、見るたびにかなしい。
納戸の片付けをしていたら、形見の品がでてきた。
いとこの家から頂いたもので、
仕舞いこんだまま忘れていたのだった。
料理人をしていたいとこの使っていた大ぶりの徳利で、
量ってみたら800㏄の量が入る。
仕事のあとに一、二品のあてで飲むのが楽しみでと
話していたのを思い出す。
亡くなったあとに、仕事の流れの良くなかったことや
家族に波風尽きなかったことを耳にした。
飲まなくてはいられない心持ちだったのか。
毎日この徳利一本空けていたのか。
十年前、五十三の歳で肝臓をわるくして逝ってしまった。
古いものが好きな人で、店には伊万里の蕎麦猪口や
昔の柱時計がたくさん飾られていた。
乳白色の地に、さっぱりと青い絵柄の徳利も
年季のほどが感じられる。
半間の床の間に置いたらなかなかに合う。
近所のいちょうえんに行き、ゆきやなぎを買ってくる。
ちいさな葉とちいさな白い花の枝を刺せば、
六畳の部屋の気配に色がでた。
かますの一夜干しを肴に写楽の純米を酌み、眺めれば
ひかえめなたたずまいの枝ひとつで
酒のひとときに奥ゆきがでる。
ささやかなぜいたくと杯をかさねた。
ならんだ枝ものの中に、桜の姿があった。
早いものでもう出ていた。
うすべに色の花を目にすれば、春を待つ思いが増す。
冷え込み和らぐころに求めてきて、飾りたい。

朝、菩提寺へ行く。
本堂に手を合わせ、先代のご住職の墓に手を合わせ、
祖父母の墓に手を合わせる。
墓地には長野では有名な商家の墓もある。
大きくて立派な墓は、老舗の風格があり
堂々としている。
それなのに花挿しには、いつも変わらぬ造花が
突っ込んである。
不釣合いな造花の貧弱さが、見るたびにかなしい。
納戸の片付けをしていたら、形見の品がでてきた。
いとこの家から頂いたもので、
仕舞いこんだまま忘れていたのだった。
料理人をしていたいとこの使っていた大ぶりの徳利で、
量ってみたら800㏄の量が入る。
仕事のあとに一、二品のあてで飲むのが楽しみでと
話していたのを思い出す。
亡くなったあとに、仕事の流れの良くなかったことや
家族に波風尽きなかったことを耳にした。
飲まなくてはいられない心持ちだったのか。
毎日この徳利一本空けていたのか。
十年前、五十三の歳で肝臓をわるくして逝ってしまった。
古いものが好きな人で、店には伊万里の蕎麦猪口や
昔の柱時計がたくさん飾られていた。
乳白色の地に、さっぱりと青い絵柄の徳利も
年季のほどが感じられる。
半間の床の間に置いたらなかなかに合う。
近所のいちょうえんに行き、ゆきやなぎを買ってくる。
ちいさな葉とちいさな白い花の枝を刺せば、
六畳の部屋の気配に色がでた。
かますの一夜干しを肴に写楽の純米を酌み、眺めれば
ひかえめなたたずまいの枝ひとつで
酒のひとときに奥ゆきがでる。
ささやかなぜいたくと杯をかさねた。
ならんだ枝ものの中に、桜の姿があった。
早いものでもう出ていた。
うすべに色の花を目にすれば、春を待つ思いが増す。
冷え込み和らぐころに求めてきて、飾りたい。
この記事へのコメント
素敵に活けましたね、染付けでしょうか?
800ccというと・・・
4合半ぐらいかな、毎晩にしては量があるでしょうか。
徳利も盃も自分に馴染んだものになるまで時間がかかります。その点、亡父が愛用していたものなどは即使えて、とてもいいです。
800ccというと・・・
4合半ぐらいかな、毎晩にしては量があるでしょうか。
徳利も盃も自分に馴染んだものになるまで時間がかかります。その点、亡父が愛用していたものなどは即使えて、とてもいいです。
Posted by Yackle at 2012年01月27日 23:45
Yackleさん、お父さんの形見の
盃で一杯なんてよいですね。
盃が好きで、何かの折につい買ってしまうことがあります。
たしかに馴染むまで時間がかかります。
馴染んでくると、ふちが欠けたりしてるのも愛着がわきます。
今夜も寒いです。
燗酒でもやりますか。
盃で一杯なんてよいですね。
盃が好きで、何かの折につい買ってしまうことがあります。
たしかに馴染むまで時間がかかります。
馴染んでくると、ふちが欠けたりしてるのも愛着がわきます。
今夜も寒いです。
燗酒でもやりますか。
Posted by へこりと
at 2012年01月28日 17:11
