母の帽子を。
2025年02月07日
へこりと at 11:05 | Comments(2)
如月 2
寒くなって上着を一枚余計に着ている。
それでも朝の冷え込みに耐えられず、さらにもう一枚
着こんでしまうときがある。
仕事の際に着ているのは、黒のTシャツやスウェットに
パンツと決めている。仕事柄いくつか薬品を使うので、
衣服に付いても汚れが目立たないからだった。
飲み屋に行ったり蕎麦屋に行ったり、私用のときは、黒や
青や白、柔らかな生地の服を着ている。
その日の気分で服を選んで、馴染みの店を目指して行く。
還暦を過ぎて、もともとだらしのない顔つきに、ますます
拍車がかかっている。
せめて、服装だけは見苦しくないようにしなければいけないの
だった。
ときどき、出向いた先で顔見知りのかたに、おしゃれですねと
声をかけていただくことがある。
嬉しくなってついつい杯が進みすぎ、結局だらしないヨッパに
なっているのだった。
先日実家の片づけをしていたら、押し入れから、母のバッグが
入った箱と、帽子が入った箱が出てきた。バッグは未使用の
物が四点有った。年老いてから、外出といえば医者通いだけで、
保険証と診察券を入れっぱなしの赤いバッグだけ使っていたっけ。
四点のうち、小ぶりの革のリュックは、散歩のときに
カメラを収めるのにちょうど好い。使わせてもらうことにした。
残りのバッグは母の知人に、形見分けとしてもらっていただく
ことにする。
帽子は六点有った。黒いのが三点に、薄紫と茶色のが一点づつ。
どれも男性が被っても違和感のないデザインで、使わせてもらう
ことにした。残ったもう一点の帽子は、
黒色の地に、赤にオレンジに緑に白に紫の柄が施された物だった。
遊びに行くときに、好んで被っていたのを覚えている。
帽子の内側のタグに「Kiyoko Koga」とあったので、検索してみたら、
すごいデザイナーのかたの作品だった。
高価な衣類や小物を、ユニクロのTシャツを買うように、ほいほい
買っていたなあ。人目を引くような服装を、よく着こなしていたっけ。
母の顔が浮かんだのだった。
日脚伸ぶ母の形見の帽子かな。
この記事へのコメント
なんか、実家が宝の箱のよう。
でも、思い出の品の処分には、悩ませられますね。
でも、思い出の品の処分には、悩ませられますね。
Posted by 上穂悠生
at 2025年02月07日 21:43

先日四十九日の法要を済ませました。
その折りに、義姉と姪っ子に
いくつか洋服と帽子を持って行ってもらいました。まだまだ片付かん・・
その折りに、義姉と姪っ子に
いくつか洋服と帽子を持って行ってもらいました。まだまだ片付かん・・
Posted by へこりと
at 2025年02月12日 10:29
