蔓も伸びて
2014年07月11日
へこりと at 15:31 | Comments(0)
文月 四
梅雨どきの雨降りの日がつづく。
日がな一日降る日もあれば、
午後、陽射しをさえぎる厚い雲がひろがって、
雷雨になるときもある。夜中に降り出すときもあり、
屋根をたたく雨音を聞きながら、ワールドカップを見ていた。
ワイン用の葡萄を育てている。
生業にしている友だちに、
苗木を一本頂いて、プランターに刺した。
空の恵みを受けてから、ぐいぐいと蔓が伸び、
添え木を超すいきおいを見せている。
育てているといっても、できるのは水くれくらいなもので、
さて、どうしたものかとメールをしたら、
あとで来てくれるというから、ほっとした。
子供のときに、家の玄関先に葡萄の棚があった。
善光寺の裏手に団地が出来たとき、
両親が土地を買って、家を建てた。
園芸好きだった父が、棚を作って育て始めたのだった。
黄緑色のマスカットで、あまり好みではなかった。
家の裏には桃の木もあって、
そちらのほうが、実のなるのが楽しみだった。
こじんまりとしたちいさな家で、
会社の社長やデパートの社長、
テレビ局の重役たちの、おおきな家に囲まれていたから、
よけい貧弱に見えた。
いちど泥棒に入られたことがある。
勝手口をこわされて財布をとられた。
まわりにこれだけ立派なお宅が並んでいるのに、
今から思えば、ずいぶんと欲のない泥棒だった。
高校二年のときに建て替えをして、
葡萄の棚も、桃の木もなくなってしまった。
部屋数の多い、おおきな家になったのに、
振り返れば、葡萄の緑が目に映えた、
ちいさな家で過ごした日々がなつかしい。
酔っぱらって帰ってきたら、折好く友だちが来てくれた。
慣れた手つきで柵を作って、蔓をまとめてくれて、
上手いもんだなあと、酔ったまま感心をした。
こうした地道な作業の先に旨いワインがある。
心して飲まなければいけないのだった。

梅雨どきの雨降りの日がつづく。
日がな一日降る日もあれば、
午後、陽射しをさえぎる厚い雲がひろがって、
雷雨になるときもある。夜中に降り出すときもあり、
屋根をたたく雨音を聞きながら、ワールドカップを見ていた。
ワイン用の葡萄を育てている。
生業にしている友だちに、
苗木を一本頂いて、プランターに刺した。
空の恵みを受けてから、ぐいぐいと蔓が伸び、
添え木を超すいきおいを見せている。
育てているといっても、できるのは水くれくらいなもので、
さて、どうしたものかとメールをしたら、
あとで来てくれるというから、ほっとした。
子供のときに、家の玄関先に葡萄の棚があった。
善光寺の裏手に団地が出来たとき、
両親が土地を買って、家を建てた。
園芸好きだった父が、棚を作って育て始めたのだった。
黄緑色のマスカットで、あまり好みではなかった。
家の裏には桃の木もあって、
そちらのほうが、実のなるのが楽しみだった。
こじんまりとしたちいさな家で、
会社の社長やデパートの社長、
テレビ局の重役たちの、おおきな家に囲まれていたから、
よけい貧弱に見えた。
いちど泥棒に入られたことがある。
勝手口をこわされて財布をとられた。
まわりにこれだけ立派なお宅が並んでいるのに、
今から思えば、ずいぶんと欲のない泥棒だった。
高校二年のときに建て替えをして、
葡萄の棚も、桃の木もなくなってしまった。
部屋数の多い、おおきな家になったのに、
振り返れば、葡萄の緑が目に映えた、
ちいさな家で過ごした日々がなつかしい。
酔っぱらって帰ってきたら、折好く友だちが来てくれた。
慣れた手つきで柵を作って、蔓をまとめてくれて、
上手いもんだなあと、酔ったまま感心をした。
こうした地道な作業の先に旨いワインがある。
心して飲まなければいけないのだった。