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金沢へ行こうと

2014年06月06日

 へこりと at 17:10 | Comments(0)
水無月 二

実家へ出かけたら、
母が顔に青あざをこしらえていた。
どうしたのかと尋ねたら、
旅先でころんだと、ばつのわるい顔をする。
呉服屋の招待で、金沢へ行ったのだった。
好物の、中田屋のきんつばを土産に買い求め、
店を出るときにつまずいてころんだという。
幸い打ち身だけで済んだものの、
気をつけておくれと、日ごろ、
酔ってころんでいるのを棚に上げてたしなめた。
金沢には、母のふるい友だちがいる。
東京の、専門学校時代の同級生で、
母より三歳年下だった。若いときは、
長野と金沢を行き来して旧交をあたためていた。
老いて、会う機会がまれになったものの、
電話で話をしたり、金沢の旨い酒や魚が届けば、
蕎麦や林檎を送ったりと、付き合いが絶えない。
金沢に戻って寿司屋の女将になり、
旦那さんと一緒に店を切り盛りしてきた。
豪放磊落、酒が好きで気前が好い。
会えばからから笑いながら、
もっと飲んでえと酒をすすめてくる。
亡くなった旦那さんの法事のときには、
生前贔屓にしていた芸者を呼んで、
胡蝶蘭で埋まった座敷で舞ってもらったという。
ひさしぶりの再会と、ホテルで待ち合わせをしたら、
髪をきっちり結い上げて、白い絣の着物で現れた。
呉服屋の社長が、息をのむほど見事なあつらえで、
母も思わず、のぶちゃんすてきと見惚れたら、
呉服屋さんが来るのに、
へんなかっこうはできんしねえと笑ったという。
時間でうごくツアーの旅行だったから、
長々会っていられない。
母とのわずかなひとときのために手間ひまかけて、
粋なことをと鼻の奥がつんとなった。
菓子処の金沢に暮らしているのに、
長野のみすゞ飴が大好きで、来るたび買っていた。
気遣いに感謝してさっそく送るときめる。
北陸新幹線が開通すれば、距離がぐっと近くなる。
はやばやと、母を連れて行く算段をしているのだった。

金沢へ行こうと





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