思い出話に
2013年05月28日
へこりと at 13:00 | Comments(0)
皐月 十二
馴染みのおでん屋の女将さんが亡くなって
もうすぐ半年になる。
手伝いに来ていた息子さんがそのままあとを
引き継いでくれたのは、
拠りどころがなくならず、なによりのことだった。
常連さんも欠けることがなく、このごろは
あたらしく通いはじめる客も増え、
ちいさな店内が満席になることもある。
孤軍奮闘、おでんを盛ったりネギ塩豚を炒めたり、
徳利に酒を注いだり。
知り合って一年、せまい厨房でのかっこうも
すっかりさまになってきた。
もともと旅をして暮らすのが好きだった。
北海道で昆布を採って暮らしたり、
沖縄でさとうきびを栽培して暮らしたり。
旅先で知り合った友だちが、はるばる店まで
訪ねてくることもある。
虫が騒ぎはじめて商いをやめぬよう、
ひまな二月と八月はまるまる休業して
旅に出るのもよいではないか。
常連さんも快く受けいれてくれると、
このごろはそんな話をしているのだった。
女将さん家族の古い友だちが横浜から
お参りに訪ねてきてくれた。
子供がちいさかったころから
家族ぐるみの付き合いをしてきたといい、
息子さんに女将さんの旦那さん、友だち御夫婦の
なつかしい宴の席に、交ぜてもらい酌み交わす。
息子さんが高校生のときに
長野へ遊びに来たことがあるという。
撮ったビデオをCDに編集してきてくれたといい、
高山村の温泉でくつろぐ
女将さんと旦那さんを観ながら、
みんな若いねえと話が盛りあがる。
笑顔で話す女将さんに、
おふくろの声、ひさしぶりに聞いたなあと
ぽつり息子さんがつぶやいた。
旦那さんが、
生前女将さんがつくったという短歌を見せてくれた。
雷鳴が 轟く前の 雲行きは
流れるごとく あふれるごとく
病になってもじたばたせずに、ありのままを
受けいれていた人柄がうかがえる。
思い出話をする旦那さんを見ていれば、
まだせつない想いをかかえているとわかる。
旧知のかたがたとのひとときに、
うれしそうに杯をかさねる姿が目に残った。

馴染みのおでん屋の女将さんが亡くなって
もうすぐ半年になる。
手伝いに来ていた息子さんがそのままあとを
引き継いでくれたのは、
拠りどころがなくならず、なによりのことだった。
常連さんも欠けることがなく、このごろは
あたらしく通いはじめる客も増え、
ちいさな店内が満席になることもある。
孤軍奮闘、おでんを盛ったりネギ塩豚を炒めたり、
徳利に酒を注いだり。
知り合って一年、せまい厨房でのかっこうも
すっかりさまになってきた。
もともと旅をして暮らすのが好きだった。
北海道で昆布を採って暮らしたり、
沖縄でさとうきびを栽培して暮らしたり。
旅先で知り合った友だちが、はるばる店まで
訪ねてくることもある。
虫が騒ぎはじめて商いをやめぬよう、
ひまな二月と八月はまるまる休業して
旅に出るのもよいではないか。
常連さんも快く受けいれてくれると、
このごろはそんな話をしているのだった。
女将さん家族の古い友だちが横浜から
お参りに訪ねてきてくれた。
子供がちいさかったころから
家族ぐるみの付き合いをしてきたといい、
息子さんに女将さんの旦那さん、友だち御夫婦の
なつかしい宴の席に、交ぜてもらい酌み交わす。
息子さんが高校生のときに
長野へ遊びに来たことがあるという。
撮ったビデオをCDに編集してきてくれたといい、
高山村の温泉でくつろぐ
女将さんと旦那さんを観ながら、
みんな若いねえと話が盛りあがる。
笑顔で話す女将さんに、
おふくろの声、ひさしぶりに聞いたなあと
ぽつり息子さんがつぶやいた。
旦那さんが、
生前女将さんがつくったという短歌を見せてくれた。
雷鳴が 轟く前の 雲行きは
流れるごとく あふれるごとく
病になってもじたばたせずに、ありのままを
受けいれていた人柄がうかがえる。
思い出話をする旦那さんを見ていれば、
まだせつない想いをかかえているとわかる。
旧知のかたがたとのひとときに、
うれしそうに杯をかさねる姿が目に残った。
