日本の愛車
師走 三
車のない生活をしている。
遠出の散歩をするときは、
もっぱら原付バイクばかりに乗って出かけている。
スピードを出して飛ばす柄ではない。
のんびりとことこ走る身に、このくらいの小さいバイクが性に合う。
もう一台、中型のバイクも持っていた。
大きさと重たさに、
動かすのをおっくうがって今年は二回しか乗らなかった。
観光シーズンになると、大型バイクに乗ったおじさんたちの集団が
善光寺界隈にもやってくる。
ものぐさな身は、よくもまああんな重たいものを操れると、
眺めては感心していた。
おわん型のヘルメットをかぶっっては、
原付ばかりにまたがっていた。
それでも山の景色を眺めに行くときに、
えんえんつづく坂道を原付バイクで上るのは
負担がかかりすぎてかわいそうなこととなる。
乗らない中型バイクを、小ぶりですこしパワーのある
スーパーカブの110㏄に買い換えたのだった。
ベージュの車体で、マフラーとミラーを換えた。
馴染みのバイク屋さんが、中型バイクをずいぶん良い値段で
下取りしてくれたから、出費も少なくありがたかった。
生産されて五十年、町なかで目に馴染んだスタイルは、
新車なのにほっとするなつかしさがある。
かなしいことに、カブも生産中止になるという。
長い間国内で造られてきたものの、
これからはコストのかからない外国で造られる製品に
取って代わられると聞いて、
日本を代表する名車なのにとかなしくなった。
預かり物の原付バイクはベンリィSで、
これもすっかり生産中止になっている。
赤いフレームに銀色タンクのデザインは、
見ていて飽きない持ちの好さがある。
ホンダの二台、末々長く愛用したい。