朝の景色を眺めながら

へこりと

2011年11月15日 12:58

霜月 三

すっかり朝晩の冷え込みが増した。
茶の間に小さなこたつを出したら、部屋の空気がすこしおちつく。
もうすぐ西ノ宮神社のえびす講が始まる。
それを過ぎると冬の気配も身近になってくる。
暮れになると、手描きのカレンダーを、友だちや知り合いに差し上げている。
毎年この時期になると、どこかの町を歩いては、
景色を写真に収めて描いて作る。
住んでいる町に信濃町、鬼無里に木島平に須坂に小布施、
上田に松本を描いてきた。
今年のカレンダーには飯山の景色を十二枚描いた。
馴染みの酒蔵に名の知れた古刹、さびれた裏通りの美容室に
木造の教会など。
町を散策したあとに、山手の蕎麦屋で昼酒を楽しんだ。
休日の朝、前の晩からの雨がひきつづきぱらついている。
このごろは休みの日は、裾花川沿いの温泉まで朝風呂に通っている。
いつもは原付バイクを飛ばしていくものの、
この日はぶらぶら歩いて出かけた。
町なかの紅葉も今が見ごろと、赤や黄色の彩りが映えている。
温泉は、六時すぎからおじさんやおじいさんの姿が多い。
ぬるめのお湯でゆっくり体を温めていると
寝ぼけた頭もだんだん覚めてくる。
風呂から上がって外へ出たら、
教会の向こうの空に虹がかかっていて、今日は晴れるとわかる。
帰り道、絵になる眺めを探しながらのんびりと歩く。
善光寺の西側のこの界隈は、古い家並みや路地が残っているから
さびれた風情がある。
来年のカレンダーは身近なこのあたりを描こうと決めた。
目にとまった町のひとかけらを、携帯電話のカメラで撮りながら歩く。
西部中学や長野商業の生徒が、学校へと向う姿とすれちがう。
眠たそうな顔でひとりで歩いている子もいれば、
友だちとにぎやかに話しながら行く子もいる。
古い町の朝の景色に馴染んでいれば、
湯上りの汗もだんだんとひいてくる。