テキーラは久しぶり

へこりと

2011年11月05日 13:06

霜月 二

近所に飲食店ができた。
看板がないから、うっかりすると通り過ぎてしまう。
若いご夫婦がやっていて、
奥さんとは、以前馴染みの飲み屋で
席をご一緒させてもらったことがあった。
蕎麦屋で昼酒をたしなんだあと、ぶらぶら通りを上がっていったら
外に出てきた奥さんに、ビールありますよと声をかけられた。
声をかけられたら寄らないわけにはいかない。
締めの一杯のつもりが三杯飲んで酔っ払った。
素木のカウンターに木のテーブルがひとつ。
昔のランプがぶら下がり、ガラスケースの戸棚には
古い器がかさなっている。
店の奥には洋服も何枚かぶら下がっていて、
それもどうやら売り物らしい。
ビールを飲みながら通りを眺めていると、
近所のおじさんやおばさんが立ち寄って、
話をしたり珈琲を飲んでいっぷくしていく。
夕方、飲みに出る道すがら、立ち寄るときがあり、
かるく一杯と、小鉢物で飲んでいれば、
手の空いた旦那さんもいっしょに飲みはじめるから
話がはずんで杯をかさねてしまう。
日本酒をたのむと、
好みの純米酒が出てくるのも好いところなのだった。
月曜日の夕方、飲み会の前に訪ねたら、
カウンターに女性客ふたりに、テーブルにおじさんふたりがいて
繁盛している。
カウンターのすみに腰掛けてビールを飲んでいれば、
いつものように、ちょこちょこ小鉢が並ぶ。
日本酒をたのんだら、この日は木曽漆器の片口で出してくれた。
テーブルのおじさんがたのんだら、そちらには
ふるい松代焼きの片口で出していた。
昔の松代焼き、今のと雰囲気がちがうねと旦那さんにいえば、
そうなんですよお。昔のやつの、
うわぐすりのあらあらしい感じが好きなんですと
顔をほころばせる。
いちどビールが切れていて、旦那さんおすすめの
テキーラをちびちび飲んだことがあった。
昼間のテキーラはずいぶんと効いた。