十月のおわりに
神無月 十二
朝晩の冷え込みが増してきて、
町なかの街路樹や善光寺の境内の木々たちや
近くの里山も、秋の色合いを深めている。
仕事が終わってからランニングをしている。
夕方の車の列を眺めながら町をひとまわりする。
このところ腰や膝が痛くなり、ふくらはぎの張りがとれない。
夜中にふくらはぎがつって、痛くてもだえ苦しむ日がつづいた。
整骨院でマッサージをしてもらえば、
今までになく疲れてますねえといわれて、
走ってひと風呂浴びてから飲みに出る日もあるから、
夜な夜な権堂を徘徊しているのも
足の疲れに輪をかけているのかもしれない。
早寝をした次の日早起きをして、
久しぶりに夜明け前の町を走った。
ひんやりとした空気に一枚厚着をしてゆっくりと走った。
日赤病院の前の通りは、歩道が整備されていて
走りやすくて好い。
中央通りを駆け上がって善光寺へ戻ってくれば、
今日も朝から観光客の姿が目につく。
秋になり人出が多く、平日でもにぎわっている。
お米作りをしている知人がいる。
仕事をするかたわら、週末になると田んぼへ行って
稲の世話をしている。
月の半ば、新米を持ってきてくれたのだった。
今年は思いのほか豊作で、はぜかけをしてもなかなか終わらずに
疲れたよおと笑う。
さらさらきれいなこしひかりを土鍋で炊けば、
つるつるぴかぴかの色白美人が湯気を立てる。
ほおばればほのかな甘みが美味しくて、
米といえば液体ばかりで足りている身も、
新米のこのときばかりはご飯がすすむ。
近所の蕎麦屋の軒先には新蕎麦の張り紙が貼られ、
これもまた、楽しみごとのひとつになる。
あいまいに胸に残っていた名残りごとに
けじめをつけられたかと思えたような十月だった。
新米、新蕎麦、もうすぐ新酒。
たしなみながら、ゆっくりと往きたい。