深ぶか秋の酒
神無月 十一
日本酒のイベントに出かけた。
飲み仲間の方がたと、にぎわい混雑している
ホテルの会場の中をかきわけて
いろんな蔵の酒の味を利いてまわる。
顔見知りの蔵人さんのいるブースへ顔を出して
やあやあ、ごくろうさんと声かけて注いでもらう。
このイベントで面白いのは、
昨年まで口に合わなかった蔵の酒が、
今年はとてもよかったということがあることで、
酒屋の峯村君から、
北光正宗いいですよお。と聞いていたので
利いてみたら、ほんとに旨くておどろいた。
杜氏さんが最近変わったという。
蔵の息子さんで、二十六歳とまだ若い。
積善の飯田さんと農大で同級生だったといい、
こういう若い人たちがこれだけ旨い酒を造るのだから
信州の日本酒の将来は、
捨てたもんじゃないとうれしくなった。
うれしさが拍車をかけて、そのままみんなで
馴染みのべじた坊さんへ直行して、
楽しい酒を酌み、みごとにつぶれた。
月に一度、馴染みのおでん屋さんで日本酒の会をやっている。
常連さん五、六人、四合瓶を持ち寄って飲み比べをする。
この日は貸し切りにしてくれるから、
顔なじみの方々と、気をおかずのひとときが楽しめる。
日本酒の会といっても、うんちく並べることはなく、
これは旨い、これはすっきりしているぐらいのことを
言いながら、女将さんの料理を肴に杯をかさねる。
杯をかさねてゆくうちに、ちょろりちょろりと
個人的な話ができるのも、気さくな店の良さと思う。
この日並んだのは、手取川に鍋島、
帰山に愛宕の松に大那が二本。
青いラベルはあとから駆けつけてきてくれた
酒屋の新崎さんが持ってきてくれた。
そろってきれいな旨みが持ち味で、美味しくいただけた。
締めの一杯をと上乃家さんへ電話をしたら、
おそい時間なのに開けて置いてくれるという。
唐沢君の言葉に甘えてお邪魔した。
ポテトサラダをつまみに越乃白雁のひやおろしを酌んで、
今宵もおいしいひとときを過ごせました。
ずいぶん昔から知っている銘柄なのに、
白雁のひやおろしを口にしたのは、初めてのことだった。