伯楽星の蔵元へ 2
神無月 五
お昼ごはんを食べたあとに
米を削る精米機を見せてもらった。
精米機は、蔵からすこし離れた倉庫の中にある。
精米機はおそろしく値の張る機械だから
数ある酒蔵の中でも持っているところは少ない。
伯楽星の新澤さんは、
三年前の岩手宮城内陸地震で被害にあったときに
こんなときこそ質をあげた酒を造ると
気持ちを奮い立たせて購入したのだった。
高々そびえる精米機の前には、米の袋が積まれている。
蔵の華にササニシキ、美山錦にひとめぼれ。
使う米はすべて地元の農家さんと契約して
作ってもらっているという。
質の良い米を使うために、新澤さんのところでは
社員に等級検査師の免許をとってもらい、
米の検査を、作った農家さんと共におこなっている。
純米酒や純米吟醸酒のようなグレードの高い酒で
お米を四割から五割削る。
新澤さんのところでは、これから特別な酒を仕込む。
精米歩合七パーセント。
九割三分を削った蔵の華で酒を仕込むという。
米を削るだけで十三日間かかったといい、
きらきらと輝く小さな粒は、
日ごろ米を見慣れている長野の蔵人さんたちも
目をみはっていた。
昨年この蔵の、
精米歩合九パーセントの酒を飲む機会に恵まれた。
そこまで磨いてあれば、
ずいぶんすっきりした味になるのかと思いきや
以外にもしっかり旨みがあっておどろいた。
その旨を伝えたら、雑味をすっかり削ったあとの
米の糖分しか残らないから旨みが出ると教えてくれる。
ならばさらに削った七パーセントの味わいは
いったい如何ほどのものになるのでしょうか。
口にできる機会が来ることを願わずにいられない。