ブランデーと梅酒と
水無月 八
ブランデーを頂いた。
洋酒といえば、ウイスキーはよく飲むものの
ブランデーはめずらしい。
太陽にほえろで育った世代は
ブランデーと聞けば、上等のスーツに身をつつみ
グラスを傾けているボスの姿を連想する。
お金持ちの人の酒。
そんなイメージが残っていたのかもしれない。
ワインは赤でも白でも好きなくせに
蒸留したブランデーになじみがなかったのは
酒飲みの身としてはずいぶんうかつなことだった。
甘酸っぱい旨みが口に含めば心地いい。
調べてみれば、安いものから高いものまで
値段に幅がある。
ふところ痛めず買える中で、どれがいちばんお薦めか
バーテンダーの井浦さんに教えを請いたい。
昨年の夏は太陽のいきおいが半端ではなかった。
ちまたに馴染んだハイボールを家でも飲むこと多くなり、
冷蔵庫にビールといっしょに炭酸水が欠かせない。
頂き物のマッカランの十二年で作って飲んでいたら
訪ねてきた友だちに、
ぜいたくなハイボールをとあきれられた。
ブランデーで作ってみたら、爽やかさが増して
より暑い日にふさわしく、夏の楽しみがひとつ増えた。
今年も梅の実を頂いた。
毎年友だちが獲れると持ってきてくれるのだった。
このたびはいつもよりたくさん頂いたから
梅酒もひと瓶よけいに作ることとなる。
近所のモンマートで、愛知の上等なみりんを買い込んでくる。
青々とした実を洗って、瓶に入れ、とくとく注ぐ。
雪の舞い散るころになれば、梅の酸味とみりんの旨みが
ほどよく溶け合って、美味しい梅酒が出来上がる。
みりんで梅酒を作ります。
会計のとき、モンマートの奥さんに話したら
ぜいたくな梅酒ねえと言われた。まったく。
甲斐性もないくせに、
旨い酒のためならばと気合いが入る。
この費用と気力をもうすこし、
他のことにまわせぬものかとときどき思う。