手土産の刺身で一献

へこりと

2011年06月15日 12:03

水無月 五

ひとり暮らしの身にありがたいのは
訪ねてきてくれる輩にめぐまれていること。
この日は花屋の若旦那と家飲みをした。
セブンイレブンで、ビールとシュウマイと
ポテトサラダとチーズを仕入れて待っていたら
角煮と、鯛にとびうおにほうぼうを刺身にして
持ってきてくれた。
酒の肴も自分で作れば安く上がると、
若旦那は、肉も魚も自分でさばいて晩酌をしている。
このごろ日本酒を酌むようになったという。
気に入りは、飯山の水尾の特別純米で、
きれいな旨みは、信州を代表する銘柄のひとつと思う。
山形のほまれこざくらの栓を開けて酌み交わす。
澄んだ味わいが飲みやすく、
ふたりなら余裕で一本空いちゃうなと話す。
せっかくだから飲み比べをしてみるのもおもしろい。
冷蔵庫の一升瓶を並べて、かわるがわる味見をした。
しらぎくに、十九に山和に伯楽星、
それぞれに個性ときれいな酸があり、
飲み飽きせずに酔いへとみちびいてくれる。
しらぎくと十九はともに一升二千円の本醸造で、
気楽に晩酌をするときに、安くて旨いのが好い。
山和の特別純米は、原酒なのに重たくなく、
ほどよいコクと切れの良さに、やはり旨いとうなづいた。
本品は、東北地方太平洋沖地震の震災より
無事救出されたお酒です。
十分な検品の上、品質的にも問題ないと確認しておりますが
万が一お気付きの点がございましたらご連絡ください。
伯楽星に貼られたラベルを読めば、
傾いた蔵で試飲をしている蔵元の姿が思い出され、
洗練された味わいにしみじみとなる。
酒の話をしながら酌みすすめば、
地酒の雄の十四代を、若旦那はまだ飲んだことがないという。
十四代が注目をあびてから、美味しい酒を造る
地方の小さな蔵が増えてきた。
そのあいだ、あっちの銘柄こっちの銘柄酌みながら
なんだか無駄に歳だけ重ねてきたような気がしないでもない。
それでも旨い酒にて和やかに過ごせる縁があるのも
酒好きゆえのことと、あまりふかく考えない性分でいる。
角煮も刺身もきれいさっぱりたいらげた。
十四代、手に入れたらまたやりませう。