向き合い方

へこりと

2011年01月28日 13:00

睦月 十六

近所に料理屋が出来た。
昔、砂糖の卸し問屋だった古くて大きい蔵がある。
あちこちで居酒屋を経営している会社が
内装きれいにあらためて開いたのだった。
入り口に大きな年代物の壷が置いてあり、
奥へと石畳がつづいている。
先日、母が友達と誘い合って
ランチに行ってきたという。
お昼の少しおそい時間にうかがったら、
すでにランチのメニューが終わってしまったという。
ランチより値がはるが、鳥鍋のコースなら出来るといわれ
ではそれでとお願いして、お昼のひとときを過ごしてきた。
部屋に通してもらえば、
かつての大店の面影があり趣きがある。
料理も美味しく、量もあり、お腹がいっぱいになった。
お昼の営業おわるころ、
りっぱな睫毛をつけた茶髪のお姉さんがやってきて、
そろそろ店じまいの時間だから、先にお会計をお願いしますと、
食べている途中で支払いを催促されたといい、
早く帰ってくださいといわれているみたいで
あおられて、さいごにしらけちゃったとのことだった。
馴染みのひ魯ひ魯さんで飲んでいたら
着物姿の男の方が入ってきた。
坊主頭の体格のいい人で、
針医者・藤枝梅安さんの役が似合いそうとながめた。
いつものように作務衣の上に羽織を引っ掛けた格好で
カウンターで飲んでいたら、
いつもその格好なんですかと尋ねてきた。
呉服屋さんの若社長さんとのことで
着物が似合うのも合点がいったのだった。
飲みながら話をすれば、
例にもれず、呉服屋さんも商売が大変だという。
こういうときこそ肝心なのは接客の在り方で、
呉服屋さんのお得意さんには年輩の方が多い。
呉服屋という仕事柄に、違和感持たれるような身なりをせず、
相手の身になって向き合うように、
それを心がけたいという。
この店に足を運ぶのも、店の方の感じが良いからと
カウンターの向こうに目をやるから
同感ですとうなずいた。
わきの甘い人柄は、なおざりな向き合い方をしては
悔いを残してきたことがある。
身の回りの良い手本、わるい手本、
他人事と思わぬように気を入れたいものと思う。