初めての店にて

へこりと

2011年01月26日 14:24

睦月 十五

やまぐち君が訪ねてきた。
ワインを仕入れたので一緒に飲みましょうと
三本持って来てくれた。
長年あちこちのホテルで
サービスの仕事に携わっている。
つい最近まで勤めていた
市内のホテルを退社したところだという。
近所に住んでいる花屋の若旦那にも声をかけて
三人で家飲みと相成った。
持って来てくれたワインは、
どれもフランス産のずいぶん高価な物で
恐縮しながら深い味に酔いしれた。
またホテルに勤め始めれば、
なかなか一緒に飲めなくなる。
近いうちにまた飲み会でもという話しになる。
勤めていたホテルから家へ帰る道沿いに
ときどき立ち寄る店があるという。
料理の品数は少ないが、
店の方の感じが良いのと、値段の安いのがいいという。
ではそこでということに決まり、
週末、花屋の若旦那と連れ立って出かけた。
飲み友達それぞれに、行きつけの店がある。
たまにはふだんのテリトリーはなれ、
友達の場所で過ごすのもおもしろい。
市役所を南に下り、
愛和病院の四つ角を左に曲がったバイク屋のとなり
やまぐち君行きつけの ペーパームーンがある。
ゆっくりジャズの流れる店内は
木の壁や石だたみの床に年季がうかがえる。
尋ねれば、昭和五十七年の開店だから
もう二十八年になる。
店の御主人はジャズマンで、ベースを弾いている。
壁にライブを知らせるチラシが貼ってある。
最初、ビールは一番搾りだったのに
やまぐち君がスーパードライが好きだとわかったら
それから店のビールを換えてくれたのだという。
当たりの好いママさんの手料理をつまみに
スーパードライを飲み、芋焼酎のボトルも入れた。
この日も赤ワイン一本、やまぐち君が持ち込みさせてもらい、
これまたふくざつなめらかな味わいで、
後味のいい余韻がつづく。
ひと月に立て続けに高級ワインを酌んだのは
年明け早々いちばんのぜいたくで、やまぐち君に感謝する。
春ごろに雲上殿の高台に結婚式場が出来るという。
今度はそこに勤めようかと思うとのこと、
いそがしくなる前に、ワインのお礼に
旨い日本酒でもごちそうしたい。