日本酒の力

へこりと

2021年09月16日 15:11

長月 4

毎晩日本酒を酌んでいる。
秋のこの時期、
冬の仕込みからひと夏超えて、旨味の増した
ひやおろしが、
酒屋や飲み屋に出回ることとなる。
コロナのおかげで、飲み屋に客が行かなくなり、
お蔵さんも、仕込んだ酒が売れずに
困っている。
それでも春夏秋冬、きちんと
季節に添った味を造ってくれるのは、
酒徒にとってありがたいことだった。
馴染みの飲み屋のいいださんで、
ときどき顔を合わせるお蔵さんがいる。
先日もカウンターで隣り合わせて、
一献酌み交わした。
酒の売り上げが伸び悩む中、
日本酒がコロナに効けばいいのに。
そうしたらばんばん売れるのにと言ったら、
いや、そのとおり。
日本酒を飲むとコロナの予防になるのですと、
いうのだった。
へっ、そうなの?と驚いたら、
すでに学会でも発表されているという。
ただし、いちどに二升飲まないと効かないといい、
おおやけにすると、
アルコール中毒の患者が増えるから、
伏せているというのだった。
・・・二升ですか・・・
過去の記憶を振りかえると、
サッカーのワールドカップを観ながら、
伯楽星の純米吟醸を飲んだときが最高だった。
日本チームを応援しながら、
気がついたら八合空けていた。
さすがに二升は無理なものの、
日本酒と親しくなって30年あまり。
体にしみ込んだあまたの銘柄が、
コロナを防いでくれるのではと、
淡い期待をしているのだった。
ひやおろしを出し終えたら、お蔵さんは
来季の造りの準備に入る。
先の見えぬ不安を抱え、どこのお蔵も
造りに過大な神経を使わなくてはいけない。
ほんとに大変なことと、
携わるかたがたの、
気苦労がしのばれるのだった。