日本酒を酌みながら

へこりと

2016年01月26日 12:18

睦月 6

冬らしからぬ穏やかな陽気が、
大寒をすぎてきびしい冷え込みに変わった。
界隈に人の姿も少なくなって、
訪ねてくるかたのいない暇な時間、
友だちから借りたDVDを観ていた。
WOWWOWで、
全国の酒蔵さんを紹介する番組をやっていて、
録画して貸してくれたのだった。
番組では、十四代をはじめとする、
名を馳せた銘柄を醸すお蔵さんの跡継ぎが、
造りにまつわる話をしてくれる。
日本酒の売り上げが落ち込む中、
跡を継ぐのも容易なことではなかった。
借金が在ったり、味の評判がわるかったり、
病気や高齢化で杜氏さんが辞めてしまったり、
難題と向き合うこととなる。
造りを始めてからも、古い蔵人とぶつかったり、
身内を作業中の事故で亡くしたり、
おおきな災害で被害を受けたり、どこのお蔵さんも、
波風を乗り越えて酒造りをしているのだった。
長野の下諏訪で「御胡鶴」を醸す、
菱友醸造の社長さんも出ておられた。
27歳のときに、地元のかたがたの協力を得て、
休業していたお蔵を引き継いだという。
搾った酒を、
東京の有名な酒屋に持ち込んだところ、
あっさりダメ出しをされたといい、
あんな不味い酒をを持ってきた酒蔵は
初めてだったという酒屋の社長の台詞に、
思わず笑ってしまった。
それが今では、長野を代表する銘柄となったのは、
あらためてすごいことだった。
日ごろ縁のあるお蔵さんがたも、
今季の造りの真っただ中にいる。
みなさん、体力気力をすり減らして、
毎年ほれぼれとする味を醸している。
冷え込みつづいたあとにはまた暖かくなるといい、
寒仕込みの時期の不安定な気候に、
お蔵さんの気苦労が案じられる。
顔を思い浮かべるたびに、
頑張ってくださいと思うのだった。