秋の彼岸に
長月 10
休日、前夜の深酒が効いて寝坊をした。
連休中日、目の前の道路は、
県外ナンバーの車が数珠つなぎになっている。
車の列を眺めながら歩いていけば、
ひときわ野太い音を出して、
かっこよいスポーツカーがゆっくりとすぎる。
城山小学校の校庭では、子供たちがサッカーの練習をしていた。
子供たちが元気に走り回る様子は、気持ちが和む。
近づいて写真を撮りたくても、昨今は、
ためらわれるご時世になってしまい、いけない。
向かいの信濃美術館では、横井弘三展が始まった。
道路を渡って向かったら、城山公園のベンチで、
ホームレスのおじさんが、ごろりと横になっていた。
横井弘三は、飯田市生まれの画家で、
長野市をはじめ、逗留した先々で、たくさんの作品を残している。
色彩ゆたかな画風は、
日本のアンリ・ルソーと評されているといい、
丸みを帯びた筆さばきは、一見おおらかな作風に見える。
それでも、並んだ作品を通じて感じる暗さがあって、
それが余韻になったのだった。
となりの東山魁夷館では、秋の常設展をやっていて、
このたびは、信州にゆかりのある画家二人の作品を観に、
つぎつぎとお客が入ってきた。
館内のカフェで、パスタとビールで昼ご飯を済ませ、外へ出たら、
秋晴れの空の下、城山公園の噴水が、
涼しげに水しぶきを上げている。
木陰のベンチでは、男性と女性がかたく抱擁を交わしていて、
見てるこっちがどきどきした。
善光寺の庭園でも、葉が色づきはじめてきた。
連休とはいえ、善光寺の境内は、思った以上ににぎわっている。
子供のころから触れてきた門前の景色と気配は、
すっかりあたりまえに馴染んでいる。
里山を背景に、
仁王門と山門と本堂がすがすがしくそびえるさまは、
旅のかたには新鮮に目に映るのかと思ったのだった。
そのまま菩提寺に立ち寄って、彼岸の墓参りをした。
酔ってばかりの身がこんにち無事なのも、
御先祖さんの御加護のおかげとありがたい。