桜が散りはじめ

へこりと

2014年04月25日 10:34

卯月 九

桜も見頃を終えた。
氏神さんの桜も舞って、路地になごりのはなびらが散っている。
夕方、葉ざくらになりかけの木の下で、
若者たちが酔っぱらっていた。
宴の様子にもわびしさがあるのだった。
翌朝、散歩に出た。
日中、春のあたたかさがあっても、
起きたての空気はすこしつめたい。
写真屋の褪せたビルのむこうに、青空がひろがっている。
往生地の坂を上がって、公園の桜を見上げた。
細い道をすすんで行くと、
ちいさな外車の並んでいる家の前に出た。
陽あたりの好い畑で、りんごの白い花がひらいていた。
往生地界隈は、昔ながらの家と、
おしゃれできれいな家が交ざっている。
働き手がなくなって、耕さなくなった畑に、
あたらしい家族が住むからかもしれない。
朽ち果てた空家のわきに、
朽ち果てたセリカXXが放置されていた。
立ち止まり見わたせば、市街地からかなたの山並みへ、
うすぼんやりとした春の気配がひろがっている。
春に生まれた身は、こんな景色にふさわしい、
ぼんやりとした柄になってしまった。
バードラインの入り口の、小高い桜をながめながら、
川沿いの道を下る。
急な階段を上がって御嶽山神社にお参りをしたら、
賽銭箱のわきに、木曽御嶽山という焼酎がころがっていた。
金網ごしの西高校の桜も散りはじめ、
石垣のすみに、はなびらがかさなっている。
プレハブの部室の窓に、赤いシャツがぶら下がっていた。
友だちの息子が野球部に入っていて、
がんばっているかと思い出す。
玄関先に、菜の花を飾ってある家があって、
ふるい佇まいに、黄色の鮮やかさが似合っていた。
ひとまわり歩いてきたら、
今朝もうぐいすの鳴き声が好くひびく。
松木さんのお宅のつたの葉も茂りだし、
緑の季節になるのだった。