名前になやんで

へこりと

2013年04月18日 16:25

卯月 七

友だちがお父さんになった。
お祝いを兼ねて、お母さんと弟さんが営んでいる料理屋で
一献酌み交わす。
ほそい路地を抜けていけば、
店の前の桜の木が、今が見頃と咲きほこり、
祝いの席に花を添えていた。
写真を撮るのが好きで、ことに夏の花火の時期になると、
夜空の大輪をもとめて遠く近く、
あちこちの花火大会をとびまわっている。
音楽も大好きで、クラブのイベントがあるときは
DJブースでしゃかしゃかレコードをまわしている。
いっしょに酒を飲めば、
こちらがふらふらになって帰途に着くときも、
まだまだ余裕と杯をかさねている。
そうやって、ながらくひとり身の自由に
慣れ親しんだ人だったから、
結婚してお父さんになると聞いたときは、
これほどお父さんという言葉が似合わないお父さんもめずらしいと
ぶったまげたのだった。
さっそく姓名判断の本を片手に名前を考えたという。
調べれば調べるほどややこしくなるといい、
早々に、親の悩みがはじまった。
小学校のとき、名前の由来を親に聞いてこいという宿題があった。
今でも仲のよい友だちは、
生まれた当時の、東京大学の学長さんから頂いたといっていた。
長野市でいちばんの高校から、ストレートで国立大学へ行き、
上級職に受かって公務員と、名に違わぬ人生をおくっている。
かたや我が身のことをいわせてもらうならば、
文章の章であきらという名をいただいた。
一章、二章、
もの事に、きちんとけじめをつけられる人になるようにとつけたという。
ところが申しわけないことに、
ずるずるとけじめのつけられぬ、優柔不断のしくじりばかりをくり返し、
この歳まできてしまった。
この名は結婚運がよろしくない。
占い師の先生に言われたことも見事に当たり、
すっかり名前負けの人生なのだった。
今ではもうしょうがないことと、
性格とうらはらの名前に愛着持ってすごしている。
悩みに悩んで友だちは、子供に、
開くに北斗の斗と書いて、かいと君と名づけた。
歯切れのいい響きが好い。
歯切れ好く、人生を切り開いていけますよう。
開斗くんの未来を願いたい。