春めきだんだんと

へこりと

2013年03月19日 12:43

弥生 九

この春は、ことに花粉のいきおいがつよい。
朝に二錠薬を飲めば、一日持ちこたえていたのに、
夕方をむかえるまえに切れてくる。
もう二錠飲んで仕事を終えたあと、毎夜の義務の日本酒を酌めば、
翌朝の体のだるさがけっこうくる。
なじみのおでん屋でそんな話をしたら、
花粉症の薬は肝臓にくるからと教えてもらい、
やっぱり飲み合わせがわるいとあらためてわかる。
おまけに歳をかさねて抵抗力もおちているのだから、
調子がわるくなるのも無理はない。
それでも酒を控える気さらさらなく、
グラスになみなみ満たしてもらっているのだから、
始末におえないのだった。
休みの日、朝から風がつよい。
ごうごうとむかいのお宅や氏神さんの木々が揺れている。
こんな日は花粉も全盛の舞いと、見ているだけで
鼻がむずむずとしてきてしまう。
折りしも、ワールドベースボール・クラシックの準決勝の日だったから
午前中はおとなしく侍ジャパンの応援をする。
初回に一点をとられたあとに、なかなか反撃の糸口がつかめない。
終盤にさらに二点を失点して、侍ジャパンの挑戦はおわってしまった。
残念無念の一杯をと、近所の大丸さんへ出かければ、
若だんなのよういちろうさんが、おおきな顔にマスクをしてむかえてくれる。
花粉、ひどいですとつらそうにいうものだから、
まったくと同胞に相づちうって、クラシック・ラガーを酌んだ。
次の日、近所の花屋の若だんなが、
黄色のサンシュの枝を持ってきてくれた。
黄色は春の始まりの色とはよく言ったものと、
玄関前がはなやかになる。
空もうらうらと春らしい気配になってきた。
ちまたで聞こえる鳥の鳴き声もふえてきて、
善光寺のまわりの里山も、やわらかい色合いを帯びてきた。
城山公園の梅のつぼみもおおきくなって、開花がまちどおしい。
花粉症がつらくても、この春をむかえるよろこびにはかなわない。
陽ものびて、明るいうちから一杯やりながら愛でたいのだった。