頂き物つれづれ
弥生 一
宅配便が届いた。
きれいな箱におさめられたケーキは、
東の町に住む菓子作りの名人からだった。
添えられた手紙には、
バレンタインデー、おそくなってごめんなさいとある。
折につけ、作って送ってきてくれる気持ちがありがたく、
一日一個、三時のおやつにいただいた。
甘いもののあとに辛いものがつづいた。
我が家で宴をしたときに飲み友だちが、
旨かったから終わらないうちにと思ってと、
飲みかけの芋焼酎を持ってきた。
宝山・芋麹全量。ラベルには、アルコール度数二十八度、
気合度数120%と書いてあり、
なめらかでふくよかな味わいは、たしかに気合が入っていた。
南の町に住む知り合いは、地元の酒を送ってきてくれた。
三人の男の子のお母さんで、
ときどき家族みんなで訪ねてきてくれる。
いつも大勢でおしかけて申しわけないとの気遣いだった。
中乗りさん・純米吟醸無濾過生原酒。
力づよさのあるきれいな味は、冷や好し燗好しでいけた。
馴染みの酒屋さんからは麦焼酎をいただいた。
先日ずいぶん世話になったことがあり、
お礼にと、気持ちばかりを差し上げたら、
そのお返しにと持ってきてくれたのだった。
宮崎の柳田酒造の、新春の頃の限定品で、
ラベルには、今年の干支にちなんで癸巳の金文字が
輝いている。
やわらかい旨みの味は、気に入りのひとつになっている。
二月いちばんさいごの日、朝から気温があがった。
陽気のよさに誘われて訪ねてくるかたがつづき
めずらしくいそがしい一日となった。
その合間、友だちが日本酒を差し入れに顔を出してくれ、
いとありがたしと疲れもわすれた。
通っている料理教室で教えてもらった銘柄といい、
中野は志賀泉の一滴二滴。
木島平の名水、龍興寺の湧水で仕込んだ酒なのだった。
この冬は、冷えこみきびしく気分ものらず、
うつうつとした心持ちでいた。
それでもまわりのかたがたに気持ちを向けてもらい、
ちょっとずつのあたたかさをもらっていたと気づくのだった。
冬の終わりと春の始めが見えてきた。