上田花火大会
葉月 二
上田へ花火を見に出かけた。
友だちと待ち合わせをして、電車に乗り込むなり
早速缶ビールの栓を抜く。
花火好きの友だちは、夏になるといそがしい。
カメラと機材を抱えては、今日は柏崎、明日は長岡、
あちこちの花火大会へと飛びまわっている。
上田の花火もずいぶんレベルが上がったというから、
一年ぶりの今夜が楽しみになるのだった。
途中の駅から色とりどりの甚平を着た女の子や、
小さな子供を連れた若いお父さんとお母さんたちが乗ってくる。
向かいの席に座った男の子は、ねじり鉢巻をして気合が入っている。
上田駅から人ごみに混ざって堤防沿いの道を上がれば
長々屋台が並び、揚げ物のいい匂いがただよってくる。
薄暮の空を大きな雲がゆっくりと流れ、
打ち上げを待つたくさんの人のざわめきに、川沿いの空気が
つつまれていた。
市長さんの挨拶がおわり、いよいよ始まれば、
次から次へと夜空に華が咲き、つられてビールを飲むペースも速くなる。
浴衣姿で肩寄せ合って見上げている恋人同士に目をやれば、
こんなときもありましたと、若いころがなつかしい。
青木煙火いいなあ。カメラを覗きながらの友だちの台詞に、
ほんとにねえとうなずいた。
打ち上げの中休み、BGMになつかしいかぐや姫の神田川が流れてきた。
千曲川のほとりなのに神田川というのがおかしい。
つづいて流れる女性の声にとなりの女の子が、
誰の歌とお父さんに聞いている。
お父さんも首をかしげているから、ペギー葉山の学生時代と教えてあげた。
市長の好みなのかなと、意味のわからない選曲も
ゆるいのどかさがあって好い。
テンポ良く上がりつづけて一時間半。
さいごのスターマインは、これでもかとばかりの音と光が乱舞して
迫力あるひとときを堪能させていただいた。
夏にひとつ。川のある城下町の花火に、来年もまた来てみたい気分になった。
いやあ、よかったよかった言い合って、余韻を肴に一杯を。
そそくさと帰りの電車に乗り込んだ。