菜の花を眺めに
皐月 三
飯山へでかけた。
カブに乗り、赤い橋を渡って川沿いの道を行けば
右手の高台に黄色のかたまりが見えてくる。
菜の花を見に来たのだった。
いつも黄金週間のあたりが盛りになる。
春前の冷え込みが長くつづいたせいで、今年は開花が
おそかった。
連休過ぎて足を運んだこの日満開だったのは
なによりのことだった。
駐車場のすみにバイクを停めて、ゆっくり公園の中を歩く。
あたたかく晴れた日、菜の花畑の空にこいのぼりが
ゆうゆうと泳いでいる。
公園のあちこちには、となりにある東小学校の生徒の書いた
標語が立てられている。
菜の花と千曲川が合いますね。
合いますではなく、合いますと思うでもなく、
合いますねというところが好い。
宴をやる若い家族の集まりに、りっぱなカメラで写真を撮っている
おじさんやおばさんの団体に、もくもくと絵筆をうごかす人もいて
みなさん景色を楽しんでいた。
久しぶりのお湯に浸かろうと、公園をあとにして馬曲温泉へとむかった。
木島平の坂道をぐいぐい上っていけば、空気が涼しくなって
ぽつりぽつり、いまだ見頃の桜が咲いている。
深い谷あいの緑を眺めながら露天風呂に入っていれば
目の前の桜が風に揺れ、花びら舞うなかのぜいたくなひとときとなる。
帰り道、信濃町で気に入りの黒姫山の雄姿を眺め
戸隠を走っていくと、ここでも満開の桜があちこちでむかえてくれた。
ひと休み、なじみのクローバーさんでコーヒーとケーキを頂いて
ひと息つけば、山の空気に冷えた体もあたたまり、
北信濃の春を楽しんだ一日となる。