あっちのぜいたく、こっちのぜいたく

へこりと

2012年05月04日 12:16

皐月 二

薬屋の若旦那と飲みに出かけた。
若旦那行きつけの長七でひとときを過ごした。
店に入れば若旦那と同じ町内の年配の御夫婦が
カウンターで一献やっていた。
紹介をしてもらい、話に混ぜてもらいながら酌んだ。
年配の御主人はバイクと車が大好きで、
バイクはホンダの大きいやつを、
車はドイツの高級車に乗っているという。
この間、おなじホンダのスポーツタイプの大きいのを
買ったら、
ハンドルが低すぎて、窮屈な姿勢で乗る羽目になりたえられない。
一週間で手放したと笑う。
やっぱりハーレーでゆったり乗るのがいい。
車も流行のハイブリッドなんてつまらない。
V8のエンジンでばんばん飛ばしたいと
目をきらきらさせながらいう。
御年重ね六十歳をすぎても、楽しそうにバイクや車を欲しがるさまは
若くてたいしたものと微笑ましく感心をした。
かたやこちとらといえば、昨年、250㏄のバイクを
110㏄のスーパーカブに換えた。
250㏄の大きさですら取り回すのが面倒くさくなり、
気楽にさらっと乗れるのが好いと換えたのだった。
110㏄あればそこそこ遠くまで行ける。
見慣れたスタイルにも愛嬌がある。
これはこれでまた楽しいと満足している。
ゴールデンウィークになり、善光寺界隈にも
ツーリングに来たバイクの集団を見かけるようになる。
たいてい車一台買えるような大きなバイクで
太い音をひびかせて走ってゆく。
かと思えば、年季のはいった原付バイクでやってくる
大きなバッグを背負った若者も見かけた。
酒のひとときにしても、この日の夜のように
上等の酒と肴を楽しむ日もあれば、
気に入りの安くて旨い本醸造を、きゅうりの漬物あたりで
ちびりとやる、ゆるい楽しみもある。
いろいろな事がらかさね、付き合いつづけてきた中で
上から下、ぜいたくの引き出しをいくつも持てる
そんな奥行きのある歳になっている。
そのときどき楽しみながら、日々を往きたい。